恵慶集 見直し了(2009.11.4)

 

「恵慶集」(外題)

 

はしめのはる

0001 あさりするよさのあま人ほこるらむ

うらかせぬるくかすみわたれり

二月二日あふさかこゆるほとに

うくひすのこゑをきく

0002 ふるさとへ行人あらは事つて/む

けふうくひすのはつねきゝつと

0003 関守にくちかためてそ我は行

なきぬとつくな山のうくひす」(1オ)

 

ある所に屏風のゑに正月

山さとに梅花ある家をおとこ

かいまみたり

0004 わかやとの梅はときはにゝほは南

人めこひしとおもはさるへく

二月山さとにさくらある所を

おとこ見る

0005 宮こにも花なきならす山桜

たつねておらむ心しら南

三月ふちやなきある家」(1ウ)

 

をおとこゆく

0006 こむらさき柳のいとによりませて

花の錦はわかやとの物

四月神まつる所郭公なく

0007 神まつるしるしありても郭公

けふはつこゑをまちてたる哉

五月菖蒲ふける所を

おとこむまひかせて見る

0008 わかこまのつねはすさめぬあやめ草

ひきならへてはけふこそは見れ」(2オ)

 

 六月よるやとのとあけてなか

めたる所

0009 あけてぬるかひこそなけれわかやとの

まきのいたとに人しいらねは

七月たなはたまつり(+して)たらゐ

に水いれてかけ見る

0010 天河影をやとせる水かゝみ

たなはたつめのあふせしらせよ

八月相坂にこまむかへ」(2ウ)

 

0011 もち月のこまひく時は相坂の

このしたやみも見えすそ有ける

九月志かの山こえ

0012 霧も立紅葉もちれるうりふ山

こえまとひぬるけふにもある哉

十月山さとにたかすへて人き/たり

0013 かりにくる人なかりせは昔み/し

みやこの事をいかてきかまし」(3オ)

 

十一月あれたる家女ことひく

おとこきてとひたり

0014  つゆしもゝとまらぬやとにいとゝ/しく

ひくことのねにそてそぬれぬる

 

0017  こく舟のきしのふち浪たかけれは

まつこゝろをそよすへかりける

花おもしろうさきてすのこに

おとこあり」(3ウ)

 

0018  とはさりし人もとふへくわかやとの

花のさかりをすくさすも哉

海のほとりのやしろにまつる

人あり

0019 おもふ事みつしほよする浦に/ます

神のみやしろつかへてそゆく

山さとのかきねに卯花

さきて女見る

0020  卯花のさかりとなれは山さとの

かたはへかく(ゝ&く)るすまゐをそする」(4オ)

 

はつ秋

0021〔新〕秋といへはちきりをきてやむすふ/らむ

あさ地かはらのけさのしらつゆ

むまにのりたる人秋のゝを/ゆく

0022  秋の野ゝ花に心をよせつゝは

こまうなかさぬけふにも/ある哉

人の家に女ともきたり

0023  わかやとの物とのみゝは秋のよの

月よゝしとも人につけまし」(4ウ)

 

月夜にふえふきておとこ/ゆく

0024〔新古今〕月影にふえのねいたくすみぬ也

またねぬ秋のよやふけぬらむ

山さとの人の家に菊の花

あるしおりてつくろふ

0026  霜雪にあてぬさきより菊花

つくろふ人のそてそつゆけき

子日所

0027  ふた葉よりあひをひしても/見てし哉」(5オ)

 

けふちきりつるのへのこまつと

人の家のやり水のほとり

に柳さくら

0028〔題抄遺〕千とせすむ水にかけさす山吹の

花をのとかにおしむへきかな

人の家にさくらさきたり

0029 桜花人の心のわりなさは

あくともいはしちとせ見るとも

やり水のつらに山吹おほく」(5ウ)

 

さけり水鳥あそふ

0030 水鳥のなかるゝ河の山吹は

影をのみこそいとふへらなれ

月おもしろき夜もみち

を見て人/\ゐたり

0031 もみちはをおしむ心のわりなきに

いかにせよとそ秋のよの月

秋の月山にしかなく

0032 秋の夜の月見(の&見)るたにもあかな/くに」(6オ)

 

しかのねさへになきそふる哉

秋山のほとりに人/\ゆ

きてもみち見る

0033 紅葉見に草の枕やむすふへき

けふもくれなはあすもすくさむ

田のほとりにかりする人あり

0034 さなへとりをのかつくらぬ秋の田/を

かりにきぬとや田ぬしとかめむ

正月ついたちころ人/\」(6ウ)

 

もろともにはつせにまいる

みちにかすみを(=春日野を)見やりて

0035 霞わけわかなつみにやとまら/まし

かすかのゝへもちかつきにけり

おなしころあふみへまかる

みちにかゝみの山のもとに

あめにあひて

0037 鏡山こゆるけふしもはるさめの

かきくもりてやふるへかりける」(7オ)

 

むかし人の家ありける所の

まへなりけるさくらのいとお

もしろかりけるを見て

0038〔拾〕あさ地原ぬしなきやとの桜花

心やすくや風にちるらむ

人ともろともにいちはらのゝ

子日

0039 ふた葉なるのへのこ松にことよせ/て

こたかくならむかけをこそまて

やまとにまかるにゐてといふ」(7ウ)

 

所いとおもしろし

0042〔拾〕山吹の花のさかりにゐてにきて

このさと人となりぬへきかな

中務の君山さとにゐて

春哥十ありけるを見る

そのたいは みねのかすみ

谷の鶯 残雪 春(+の)風

(+霞落歟) むめ さくらをそし

0044 なきぬやとたちゐまちつるうくひ/すは」(8オ)

 

たにのうちよりこゑそきゝつる

のこりのゆき

0045 春立てのこりの雪はきえぬとも

花をかたみに見てもへぬへし

はるかせ

0046 あらたまのひと夜許をへたつるに

風のこゝろそこよなかりける

     梅

0047 にほふから」(8ウ)

 

さくらをそし

0048 山さくらまつに心をつくしては

おしまむほともいかにせよとそ

     柳

0049 はるくれはこすゑもしらすあを/やきの

いとに心をよせみたる哉

をかの松

0050 かたらはむ人もなき哉山さとの(の$は)

をかの松風そよりほかには」(9オ)

 

0051 春をあさみ旅の枕を結へき

草葉もわかきころにもある哉

こひ

0052  ふるさとをこふるた本はきし/ちかみ

おつる山水いつれともなし

ある所にさくらおしむに

0053 桜花まつとせしまに春くれて

そならぬ事は思やはする」(9ウ)

 

山さとに人の許にてさくら

のちるを見て

0054〔新〕さくらちる春の山辺はうかりけり

世をのかれにとこしかひもなく

年かへりて二月になるまて

まつ人のをとつれねは

いひやる

0055 もゝちとりこゑのかきりはなき/ふりぬ

またをとつれぬ物はきみのみ」(10オ)

 

かうふりやなき

0056 あをやきのいとはみとりにある物/を

いつれかあけの衣なる覧

東山に花見にありく

とて山さくら

0057 山桜ちかく見むとの心にて

けふはかすみにかくまるゝ哉

いなりにうたよみてたて

まつるときゝてしものやしろに」(10ウ)

 

0058 いなりのやみつのたまかきうちたゝ/き

わかねき事を神もこたへよ

なかの社

0059 いなり山みつすきなかにますかゝ/み

わかことたてゝたのむかひあれ

かみのやしろに

0060 思事ならさらめやはちはやふる

神のみまへのみはまくさなり

ふかき山にすむひしりの/もとに」(11オ)

 

まかりてたつぬるにあむ

しちのとをゆひて人も

なけれはかへるとてかきつく

0061 草のいほりさしてきつれときみま/さて

かへるみ山のみちのつゆけさ

ひしり返し

0062 あれはてゝ風もはらはぬ草のいほ/り

我はなくともつゆはもりけむ

ある所にかたわきて草合」(11ウ)

 

するに

0063〔拾〕たねなくてなき物くさはおいに/けり

まくといふ事はあらしとそ思

一日郭公まつ心

0064 なかすともなくらむとこそ/またれつ(つ$け)れ

山ほとゝきすけふはいつそは

神なひのもりのまへをわたる

0065 かみなひのもりのありすのほとゝきす

ひとこゑきかてゆきやすきなむ」(12オ)

 

かたらふ人のふかくさといふ

所にありときゝてつかはす

0066 深草のいへゐたつぬとせしほとに

たもとさへこそつゆけかりけれ

返し

0067 あさかりし人の心はふかくさの

なかをわけてはとはしとそ思

ある人のかゝみのはこに

0068 あさひさすかゝみの山はくもらね/と」(12ウ)

 

峯のあさきりたえすも/あら南

かたらふ人つくしにくたり

て年ころをとつれてたより

につけていへる

0069  花鳥を見ても君しもわすれ/ぬは

みやこの方の人にそありける

返し

0070 宮ことりきみにをくれし春より/も

こゑなきよはる我と/しら(△&ら)すや」(13オ)

 

おほしまのなるとゝいふ所

にてしほみちみつまさりて

0071 宮こにといそくかひなくおほしま/の

なたのかけちはしほみちにけり

かたらふ人のとをきくにへ

まかるにかゝみとらすとて

0073 わかるれとかけをはそへつます鏡

年月ふとも思わするな」(13ウ)

 

五月五日めつらしき所に

まかりて

0074 かをとめてとふ人もありやあやめ/くさ

あやしくこまのすさめさりける

六月人海松院にすゝみ

にまかりたる

0075 大井河岸にかけさ(△&さ)すうみまつ/の

風にやせゝの浪もたつらむ

梅津にてうふねのかゝり

を見て」(14オ)

 

0076 梅津河ともすうふねのかゝり火に

そこのみくつもかくれさりけり

七月七夕

0077 たなはたのあふよのかすをいたつら/に

すくす月日になすよしも哉

八月とをくまかる人に

あふきとらすとて

0078 扇とてかりのはかせをふくほとに

わかれむほとやつくへかりける」(14ウ)

 

おなし人かりのこゑをまつ

0079〔拾〕荻の葉もやゝうちそよくほとなる/を

なとかゝりかねをとなかるらん

おなしころ河原院にて

あれたる心

0080〔後〕すたきけむ昔の人もなきやとに

たゝ影するは秋の夜の月

むしのね

0081 たもとかへする物にもか/むしのこゑ」(15オ)

 

衣のすそ(すそ$そて)もそほちはてぬる

東山にて月あかき夜

0082 久方は手に(△&に)とる許なりにけり

くものゐるて(△&て)ふてらにやとりて

きり/\すのこゑ

0083 から衣よかせすゝしくなるなへ/に

きり/\すさへなきみたれつゝ

とりのこのやうなるうりを

ある所にたてまつるとて」(15ウ)

 

0084 わかきみのますへきちよのしるし/には

つるのこにこそうりもなり/けれ

なてしこをある所にたて/まつる

0085 山かつのかきほなからに見るよりは

色まさるへきやとにうつさむ

返し

0086 やとわかすつゆたにそむる物ならは

もとのかきほの色はかはらし

ある所にうりやるとて」(16オ)

 

0087 うりふ山秋たつしかのかりもりに

つゆけきめをも見つるけさ哉

おなし人のもとにあをつゝら

をこにくみてなつめくり

なとを花にませてやるとて

0088 くり返しまかきの内に花つめは

いとまかりにもありとやは思

返し

0089 わさとこそくりはなつめれまか/り木に」(16ウ)

 

はひまつはるゝあをつゝらこは

九月許花見に人/\まかり

て秋のゝ花きりを

0090 たまほこの道ゆきちかふかり人の

あと見えぬまてくらきあさ/きり

花すゝき

0091 秋風にかすへてなひく花すゝき

心よせある方やなからむ

つゆ」(17オ)

 

0092 ひろへとも袖のみぬれてとまらぬは

たまと見えつるつゆにそありける

しか

0093 とを山のおにたつしかのこゑきゝて

もてはなれてもぬるゝそて哉

はき

0094 こむらさきたかそてかけし衣そ/と

見ゆるは秋のゝはきなりけり

きり/\す

0095 なくこゑはわれにてしりぬ/きり/\す」(17ウ)

 

うきよそむきてのへにましかは

くるかり

0096 めつらしと思しなかにはつかりの

まつとせしまにおいはてにけり

をみなへし

0097 色にこそ我は見えけれ女郎花

なにもたかはぬ物にさりける

秋風においをなけく

0098 秋風のふくにつけてそなけきつる

世にへむほとはみしかゝりけり」(18オ)

 

帥のおとゝつくしにくたりたま

てのち西宮いきて見るいとあ

はれ也

0099〔後〕松風も岸打浪もゝろともに

昔にもあらぬをとのするかな

なくなりたる人のにしの京

にすみしいへにいきて見れは

まかきのきくのあはれなるを

0100〔後〕うへをきしあるしはなくて菊花

をのれひとりそつゆけかりける」(18ウ)

 

もみちをはしめて見る

0101 からにしきをりつむみねのむらも/みち

見そむるけふはあからめ(△&め)もせす

かたら(△&ら)ふひしりのとなりなる

所にきてとはさりけれは

0102 したしきもうときもなしときゝし/かと

わきてしもやはとふへかりける

返し

0103 玉桙のみちゆきすにとはすとも

つねに心はゆきかふものを」(19オ)

 

十月許はつせにまてゝかへるに

日くれぬれはさほ山のふも

とにやとりて夜なれはもみち

見えぬ心人/\よむに

0104 佐保山の風の心もしらすして

もみち見すとやこよひあかさむ

又のあしたに山きりにかくれ/たり

0105 もみち見にきたる我ともしらね/はや

さほのかはきりたちかくすらむ」(19ウ)

 

ふかき秋

0111〔続〕紅のいろとる山のこすゑにそ

秋のふかさはまつしられける

十月大井河のもみち見/に

人/\まかる所に

0112 大井河かはへのもみちゝらぬ/まは

となせのきしに/なかゐしぬへし

十二月ある所の哥合せさせ/給しに」(20オ)

 

松 にはのむめ 冬月

池のこほり

0113  むらたつのやとれるや(や=え)たと見る/まてに

まつのみとりもうつむしらゆき

にはのむめ

0114 白雪のふるとしなから庭の梅は

花とかこちてにほひやはせぬ

池の氷

0115 浪よするあしのうらはもおとせぬは」(20ウ)

 

池の氷やとちはてぬらむ

冬のよの月

0116〔拾〕あまのはらそらさへ(+さえ)やまさるらむ

こほりと見ゆる冬のよの月

あふみにひらといふところに

人/\まかりてたいともいた

してうたよみ侍るに山

かはのもみち

0117 からにしきあはなるいとによりけれは」(21オ)

 

やま水にこそたるへらなれ

よるのあらし

0118 もみちゆゑみやまほとりにやとり/して

よるのあらしにしつこゝろなし

ねさめのしか

0119 人もこすとなりたえわ(わ$)たる山さと/に

ねさめのしかのこゑのみそする

きしのほとりのきく

0120 きしちかくのこれるきくはしもなら/て」(21ウ)

 

なみをさへこそしのくへらなる(る=れ)

みつとりなみにあそふ

0121 みる人はおきつあらなみうとけれと

わさとなれゐるをしたかへかも

はつゆきのみねをみて

0122 こほりたにまたやまかはにむすは/ねと

人のかきねはゆきふりにけり

つなてひくふねを見て

0123 よとみなくなみちにかよふあま舟は」(22オ)

 

いとこをやとゝさしてゆくらむ

なみのこゑをきゝて

0124 いそふりにさわくなみたにたかけ/れは

みねのこのはもけふはとまらし

かせのをとのたかきをきゝて

0125  ひらのやまもみちよのまはいかならむ

みねのむらかせうちしきりふく

かへさにきたやまよりこゆ

るにもみちいとおほくちりかゝ/るに」(22ウ)

 

0126 やましけみこのしたゆけはもみちは/も

ころもそほちぬあめとこそふれ

あるやうことなきところより

きくのうつろへるをいたし

たまへれは

0127 やまさとにゝほふを見れはきくの花

たきとのまかきおもひこそやれ

としのをはりにこよみのちく

のもとまてまきよせたる心」(23オ)

 

人/\よむに

0128 まきよするこよみの心はつかしく

のこりのひらにおい見えにけり

つこもりの夜としのゆきかふ

心人/\よむに

0129 ふるゆきにかすみあひてやいたるら/む

としゆきちかふよはのおほそら

すみよしに人/\まてゝすみ

よしといふこゝろよむ」(23ウ)

 

0130 わかとはゝかみよのこともこたへなむ

むかしをしれるすみよしのまつ

かはらの院あれたる心人/\よむ

0131 くさしけみにはこそあれてとしへぬ/れ

わすれぬものは秋のよの月

とやまのゝきはのみちよりたひゝ

とゆくかきはらにかくれゐてゆくか

きこゆるやうにするを見て

0132 見るからにきえこそしぬれのきは/ゆく

人はつゆけきみちやわくらむ」(24オ)

 

あるところにてなてしこをゝ

しむ

0133 心見にかへれはくるしなほさりに

やとやからましなてしこの花

あるところにすのあしくさの

ほたるなつのよの月

0135 あくまてもそこの月かけ見るへきに

あしのうらはのやまにかくれて

くさのほたる」(24ウ)

 

0136 みつくきのあとふみならすわれならは

くさのほたるをよそに見ましや

なつのよの月

0137 ほとゝきすなにならぬかななつのよの

月見るほとにおもひあはせて

しけゆきこにをくれてかなし

ふときゝてつかはす

0138 ちきりあらはまたはこのよにむ/まるとも

おもかはりしてみもわすれなむ」(25オ)

 

ある人かはらにいてゝせうよう

するにかせのいみしうふけは

いひやる

0139 あをはなるかものかはらにむれゐつゝ

あけのころもはすゝしかるらむ

かへしよしのふのあそう

0140 なつころもたちいてゝすゝむ(し&む)かは風に

かへりてけふは人そこひしき

さうしのゑにすまのうらの」(25ウ)

 

かたをかきたるにかみのや

しろにふねよりゆく(+人の)なみの

た(+か)けれはたよせにみてくら

たてまつる

0141 たよせとはおもはさらなむわたつ/うみに

いのる心は神そしるらむ

0142 しらくも(くも=浪)にいろみえまかふみてくらを

たよせにうけよにみ(にみ=嶋主)のこのかみ

おなしゑにたひゆく人」(26オ)

 

十月はかりにもみちのもと

にやとりたるを

0143 ゆくすゑもゝみちのもとにやとゝ/らし

をしむにたひのひかすへに/けり

せんさいあはせのところ

0144 かちまけのかすにはつゆをゝきてやは

花とゝり(ゝり#はなと)のいろにくらふる

わらはへはかたてゝとりとる」(26ウ)

 

0145 おもふことなきよなるへしむらとりの

けふはなくねもたえてきこえ/ぬ

もみちにとりのゐたる所

0146 もみち(+見)てかへらむかたもおほえ(+ぬ)を

よふことりさへなくやまちかな

いしにうみまつのおひたる

あるところにたてまつるとて

0147 うこきなきいはほにねさすうみま/つの

ちとせはたれになみもよすらむ」(27オ)

 

みなつきはかりかはらの院に

かれこれあつまりたり

0148 あとたえてあれたるやとの月見れ/は

秋のとなりになりそしにける

あるみこたちの御いかのすは

まに

0149 ちとせすむみつのなかれはいとゝしく

そこのこすゑのかすをさすかな

     又」(27ウ)

 

0150 よろつよのなみのまなくもよするか/な

つるとかめとのあそふはまへに」(28オ)

 

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