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作 品 歌 頁行 123456789012345678901234567890字
(1オ)
GOSE000000101 後撰和歌集巻第一
GOSE000000102 春(春+哥<朱>)上
GOSE000000103 正月一日(正月一日$元日に<朱>)二条のきさいの宮にてしろき
GOSE000000104 おほうちき(き+を)たまはりて
GOSE000000105 藤原敏行朝臣
GOSE000100106 ふる雪のみのしろ衣うちきつゝ春きにけりとおとろかれぬる
GOSE000000107 はる立日よめる(よめる$<朱>) 凡河内躬恒
GOSE000200108 春立ときゝつるからにかすか山消あへぬ雪の花と見ゆらん
GOSE000000109 兼盛王」1ウ
GOSE000300201 けふよりは荻のやけ原かきわけて若菜つみにと誰をさそはむ
GOSE000000202 ある人のもとににひまいりの女の侍けるか月日ひ
GOSE000000203 さしくへてむ月のついたちころにまへゆるされた
GOSE000000204 りけるに雨のふるを見て
GOSE000000205 よみ人しらす
GOSE000400206 白雲のうへしるけふそ春雨のふるにかひある身とはしりぬる
GOSE000000207 朱雀院の子日におはしましけるにさはる
GOSE000000208 こと侍てえつかうまつらて(らて=すして<朱>)延光朝臣につかはしける
GOSE000000209 左大臣
GOSE00000020901【左大臣】-小野宮
GOSE000500210 松もひきわかなもつます成ぬるをいつしか桜はやもさかなむ」2オ
GOSE000000301 院御返し
GOSE000600302 松にくる人しなけれは春の野ゝわかなも何もかひなかりけり
GOSE000000303 子日におとこのもとよりけふはこ松ひきに(に+のへに<朱>)なん
GOSE000000304 まかりいつるといへりけれは
GOSE000000305 よみ人しらす
GOSE000700306 君のみや野辺に小松を引にゆく我もかたみにつまむわかなを
GOSE000000307 題しらす
GOSE00000030701【題しらす】-古今興風哥相似
GOSE000800308 霞立かすかのゝへのわかなにもなり見てし哉人も(も=に<朱>)つむやと(むやと=まれん<朱>)
GOSE000000309 子日しにまかりける人(人+のとも<朱>)にをくれ(れ+侍<朱>)てつかはしける
GOSE000000310 みつね」2ウ
GOSE000900401 春のゝに心をたにもやらぬ身はわかなはつまて年をこそつめ
GOSE000000402 (\<朱>)宇多院に子日せむとありけれは式部卿
GOSE000000403 のみこをさそふとて
GOSE000000404 行明親王
GOSE00000040401【行明親王】-延喜親王実寛平第十母京極御所
GOSE001000405 (此本無<朱>)ふるさとのゝへ見にゆくといふめるをいさもろともにわかなつみてん
GOSE000000406 はつ(はつ=はやき<朱>)春の哥とて 紀友則
GOSE001100407 水のおもにあや吹みたる春風や池の氷をけふはとく覧
GOSE000000408 寛平御時きさいの宮の哥合のうた
GOSE000000409 よみ人しらす
GOSE001200410 吹風や春たちきぬとつけつらん枝にこもれる花さきにけり」3オ
GOSE000000501 しはす許にやまとへ事につきてまかりけるほと
GOSE000000502 にやとりて侍ける人の家のむすめを思かけて
GOSE000000503 侍けれとやむことなきことによりてまかりのほ
GOSE000000504 りにけりあくるはるおやのもとにつかはしける
GOSE000000505 みつね
GOSE001300506 かすか野におふるわかなを見てしより心をつねに思やる哉
GOSE000000507 かれにけるおとこのもとにそのすみけるかたの
GOSE000000508 にはの木のかれたりけるえたをおりてつかはしける
GOSE000000509 兼覧王女
GOSE001400510 もえいつるこのめを見てもねをそなくかれにし枝の春をしらねは」3ウ
GOSE000000601 女の宮つかへにまかりいてゝ侍けるにめつらしき
GOSE000000602 ほとはこれかれ物いひなとし侍けるをほと
GOSE000000603 もなくひとりにあひ侍にけれはむ月の
GOSE000000604 ついたち許にいひつかはしける
GOSE000000605 よみ人しらす
GOSE001500606 いつのまに霞立覧かすかのゝ雪たにとけぬ冬と見しまに
GOSE000000607 題しらす 閑院左大臣
GOSE00000060705【閑院左大臣】-冬嗣
GOSE001600608 なをさりに折つる物を梅花こきかに我や衣そめてん
GOSE000000609 前栽に紅梅をうへて又の春をそくさきけれは
GOSE000000610 藤原(藤原$中納言<朱>)兼輔朝臣
GOSE00000061001【藤原兼輔朝臣】-入古今中納言右衛門督承平三年薨」4オ
GOSE001700701 やとちかくうつしてうへしかひもなくまちとをにのみにほふ花哉
GOSE000000702 延喜御時哥めしけるにたてまつりける
GOSE000000703 紀貫之
GOSE001800704 春霞たなひきにけり久方の月の桂も花やさくらん
GOSE000000705 おなし御時みつし所にさふらひけるころしつめる
GOSE000000706 よしをなけきて御(御=天<朱>)覧せさせ(せさせ=もせしめ<朱>)よとおほしくて
GOSE000000707 ある蔵人(蔵人=くらむと<朱>)にをくりて侍ける十二首かうち
GOSE000000708 みつね
GOSE001900709 いつことも春のひかりはわかなくにまたみよしのゝ山は雪ふる
GOSE000000710 人のもとにつかはしける
GOSE000000711 伊勢」4ウ
GOSE002000801 白玉をつゝむ袖のみなかるゝは春は涙もさえぬなりけり
GOSE000000802 ひとにわすられて侍けるころ雨のやますふりけ
GOSE000000803 れは よみ人しらす
GOSE002100804 春立てわか身ふりぬる(ぬる=ゆく<朱>)なかめには人の心の花もちりけり
GOSE000000805 題しらす
GOSE002200806 わかせこに見せむと思し梅花それとも見えす雪のふれゝは
GOSE00220080701【わかせこに見せむと思し梅花それとも見えす雪のふれゝは】-万葉
GOSE002300808 きて見へき人もあらしなわかやとの梅のはつ花おりつくしてん
GOSE002400809 ことならは折つくしてむ梅花わかまつ人のきても見なくに
GOSE002500810 吹風にちらすも(すも=てまた<朱>)あら南むめの花わか狩衣ひとよやとさむ
GOSE002600811 わかやとの梅のはつ花ひるは雪よるは月とも見えまかふ(まかふ=わたる<朱>)哉」5オ
GOSE002700901 梅花よそなから見むわきもこかとかむ許のかにもこそしめ
GOSE000000902 素性法師
GOSE002800903 むめの花おれはこほれぬわか袖にゝほひかうつせ家(家=山<朱>)つとにせん
GOSE000000904 おとこにつきてほかにうつりて
GOSE000000905 よみ人しらす
GOSE002900906 心もておるかはあやな梅花かをとめてたにとふ人のなき
GOSE000000907 (本無此詞<朱>)年をへて心かけたる女のことし許をたにまちくら(ら&ら)せ
GOSE000000908 といひけるか又のとしもつれなかりけれは
GOSE003000909 人心うさこそまされはるたてはとまらすきゆるゆきかくれなん
GOSE000000910 題しらす
GOSE003100911 梅花かをふきかくる春風に心をそめは人やとかめむ」5ウ
GOSE003201001 春雨のふらはの山にましり南梅の花かさありといふなり
GOSE003301002 かきくらし雪はふりつゝしかすかにわか家のそのに鴬そなく
GOSE00330100201【かきくらし雪はふりつゝしかすかにわか家のそのに鴬そなく】-万(万=無<朱>)
GOSE003401003 谷さむみいまたすたゝぬ鴬のなくこゑわかみ人のすさめぬ
GOSE003501004 鴬のなきつるこゑにさそはれて花のもとにそ我はきにける
GOSE003601005 花たにもまたさかなくに鴬のなくひとこゑを春とおもはむ
GOSE003701006 君かため山田のさはにゑくつむとぬにれし袖は今もかはかす
GOSE00370100601【君かため山田のさはにゑくつむとぬれにし袖は今もかはかす】-万
GOSE000001007 あひしりて侍ける人の家にまかれりけるに梅
GOSE000001008 の木侍けりこの花さきなむ時かならすせうそ
GOSE000001009 こせむといひ侍けるをことなく侍けれは
GOSE000001010 朱雀院の兵部卿のみこ
GOSE00000101001【朱雀院の兵部卿のみこ】-敦固 寛平第五三品兵部卿延長四年九月薨」6オ
GOSE003801101 梅花今はさかりになりぬらんたのめし人のをとつれもせぬ
GOSE000001102 返し 紀(紀$中納言<朱>)長谷雄朝臣
GOSE00000110303【紀長谷雄朝臣】-延喜二年参議十年権中納言十二年二月薨六十八
GOSE003901104 春雨にいかにそ梅やにほふ覧わか見る枝は色もかはらす
GOSE000001105 春の日事のついてありてよめる
GOSE000001106 よみ人しらす
GOSE004001107 梅花ちるてふなへに春雨のふりてつゝなくうくひすのこゑ
GOSE000001108 かよひすみ侍ける人の家のまへなる柳を思
GOSE000001109 やりて みつね
GOSE004101110 いもか家のはひいりにたてるあをやきに今やなくらむ鴬の声
GOSE000001111 松のもとにこれかれ侍て花を見やりて(やりて=ツカハシ<朱>)」6ウ
GOSE000001201 坂上是則
GOSE004201202 ふか緑ときはの松の影にゐてうつろふ花をよそにこそ見れ
GOSE000001203 藤原雅正
GOSE00000120301【藤原雅正】-タヽ
GOSE004301204 花の色はちらぬま許ふるさとにつねに(に=き<朱>)は松のみとりなりけり
GOSE000001205 紅梅の花を見て
GOSE000001206 みつね
GOSE004401207 紅に色をはかへて梅花かそこと/\にゝほはさりける
GOSE000001208 かれこれまとゐしてさけらたうへけるまへに
GOSE000001209 梅の花に雪のふりかゝりけるを
GOSE000001210 つらゆき
GOSE004501211 ふる雪はかつもけなゝん梅花ちるにまとはす折てかさゝむ」7オ
GOSE000001301 兼輔朝臣のねやのまへに紅梅をうへて侍ける
GOSE000001302 を三とせ許のゝち花さきなとしけるを女とも
GOSE000001303 その枝をゝりてすのうちよりこれは
GOSE000001304 いかゝといひいたして侍けれは
GOSE004601305 春ことにさきまさるへき花なれはことしをもまたあかすとそ見る
GOSE000001306 はしめて宰相になりて
GOSE00000130601【はしめて宰相に】-延喜廿年正月参議中将如元
GOSE000001307 侍ける年になん
GOSE000001308 (巻第一<朱>)」7ウ
GOSE000001401 後撰和歌集巻第二
GOSE000001402 春(春+哥<朱>)中
GOSE000001403 年おいてのち梅花うへてあくるとしの春
GOSE000001404 おもふ所ありて
GOSE000001405 藤原扶幹朝臣
GOSE00000140501【藤原扶幹朝臣】-大納言按察天慶元年七月薨七十五
GOSE004701406 うへし時花見むとしもおもはぬにさきちる見れはよはひ老にけり
GOSE000001407 ねやのまへに竹のある所にやとり侍て
GOSE000001408 藤原伊衡朝臣
GOSE00000140801【藤原伊衡朝臣】-延喜十六年右少将七年蔵人延長三四位同十月中将 延長八年正四位下兼内蔵頭承平四参議七年右兵衛督
GOSE004801409 竹ちかくよとこねはせし鴬のなく声きけはあさいせられす」8オ
GOSE000001501 やまとのふるの山をまかるとて
GOSE000001502 僧正遍昭
GOSE004901503 いその神ふるの山への桜花うへけむ時をしる人そなき
GOSE000001504 花山にて道俗さけらたうへけるおりに
GOSE000001505 素性法師
GOSE005001506 山守はいはゝいは南高砂のおのへの桜折てかさゝむ
GOSE000001507 (+いと<朱>)おもしろきさくらをゝりてともたちのつかはし
GOSE000001508 たりけれは よみ人しらす
GOSE005101509 さくら花色はひとしき枝なれとかたみに見れはなくさまなくに
GOSE000001510 返し 伊勢」8ウ
GOSE005201601 見ぬ人のかたみかてらはおらさりき身になすらへる花にしあらねは
GOSE000001602 さくらの花をよめる よみ人しらす
GOSE005301603 吹風をならしの山の桜花のとけくそ見るちらしと思へは
GOSE000001604 前栽に竹のなかにさくらのさきたるを見て
GOSE000001605 坂上是則
GOSE005401606 桜花けふよく見てむくれ竹のひと夜のほとにちりもこそすれ
GOSE000001607 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE005501608 さくら花にほふともなく春くれはなとか歎のしけりのみする
GOSE000001609 貞観御時ゆみのわさつかう(う=む<朱>)まつりけるに
GOSE000001610 河原左大臣
GOSE00000161001【河原左大臣】-融入古今」9オ
GOSE005601701 けふ桜しつくにわか身いさぬれむかこめにさそふ風のこぬまに
GOSE000001702 家よりとをき所にまかる時前栽のさくらの
GOSE000001703 花にゆひつけ侍ける
GOSE000001704 菅原右大臣
GOSE00000170401【菅原右大臣】-延喜廿二年贈右大臣正二位正暦四年五月右大臣正一位十一月贈太政大臣
GOSE005701705 さくら花ぬしをわすれぬ物ならはふきこむ風に事つてはせよ
GOSE000001706 春の心を 伊勢
GOSE005801707 あをやきのいとよりはへてをるはたをいつれの山の鴬かきる
GOSE000001708 花のちるを見て 凡河内躬恒
GOSE005901709 あひおもはてうつろふ色を見る物を花にしられぬなかめする哉
GOSE000001710 かへるかりをきゝて よみ人しらす」9ウ
GOSE006001801 帰雁雲地にまとふ声すなり霞ふきとけこのめはる風
GOSE000001802 朱雀院のさくらのおもしろきことゝ延光朝臣
GOSE000001803 のかたり侍けれは見るよし(よし=やう<朱>)もあらまし物をなと
GOSE000001804 むかしを思いてゝ
GOSE000001805 大将御息所(三条右大臣女<朱>)
GOSE00000180501【大将御息所】-藤能子女御元更衣三条右大臣女仁善子弟
GOSE006101806 さきさかす我になつけそさくら花人つてにやはきかむと思し
GOSE000001807 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE006201808 春くれはこかくれおほきゆふつく夜おほつかなしも花かけにして(かけにして=のかけにて<朱>)
GOSE00620180801【春くれはこかくれおほきゆふつく夜おほつかなしも花かけにして】-万
GOSE006301809 立渡る霞のみかは山高み見ゆる桜の色もひとつを
GOSE006401810 おほそらにおほふ許の袖も哉春さく花を風にまかせし」10オ
GOSE000001901 やよひのついたちころに女につかはしける
GOSE006501902 なけきさへ春をしるこそわひしけれもゆとは人に見えぬものから
GOSE000001903 はるさめのふらは思ひのきえもせていとゝなけき
GOSE000001904 のめをもやすらんといふふるうたの心はへを
GOSE000001905 女にいひつかはし(し=せり<朱>)たりけれは
GOSE006601906 もえ渡る歎は春のさかなれはおほかたにこそあはれとも見れ
GOSE000001907 女の許につかはしける
GOSE000001908 藤原師尹朝臣
GOSE00000190801【藤原師尹朝臣】-後小一条左大臣左大将天暦二年権中納言左兵衛督
GOSE006701909 あをやきのいとつれなくもなりゆくかいかなるすちに思よらまし
GOSE000001910 (+右<朱>)衛門のみやすん所の家うつまさ(さ+のもと<朱>)に侍けるに
GOSE00000191001【衛門のみやすん所】-能子同人云々父右衛門督之時為更衣両所名不同随其時書歟」10ウ
GOSE000002001 そこの花おもしろかなりとておりにつか
GOSE000002002 はしたりけれはきこ江たりける
GOSE006802003 山さとにちりなましかは桜花にほふさかりもしられさらまし
GOSE000002004 御返し
GOSE006902005 (\<朱>)匂こき花のかもてそしられけるうへて見るらんひとの心は
GOSE000002006 小弐につかはしける 藤原朝忠朝臣
GOSE00000200601【藤原朝忠朝臣】-天暦六年参議応和三中納言康保三薨五十七
GOSE007002007 (\<朱>)時しもあれ花のさかりにつらけれはおもはぬ山にいりやしなまし
GOSE000002008 返し
GOSE007102009 (\<朱>三首本無<朱>)わかためにおもはぬ山のをとにのみ花さかりゆく春をうらみむ
GOSE000002010 題しらす 宮道高風」11オ
GOSE007202101 春の池の玉もに遊にほとりのあしのいとなきこひもする哉
GOSE000002102 寛平御時花の色霞にこめて見せすといふ心を
GOSE000002103 よみ(み=む<朱>)てたてまつれとおほせられけれは
GOSE000002104 藤原興風
GOSE007302105 山風の花のかゝとふゝもとには春の霞そほたしなりける
GOSE000002106 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE007402107 春さめの世にふりにたる心にも猶あたらしく花をこそおもへ
GOSE000002108 京極のみやすん所にをくり侍ける
GOSE007502109 はる霞たちてくもゐになりゆくはかりの心のかはるなるへし
GOSE000002110 題しらす」11ウ
GOSE007602201 ねられぬをしひてわかぬる春の夜の夢をうつゝになす(なす=見る<朱>)よしも哉
GOSE000002202 しのひたりけるおとこのもとに春行幸ある
GOSE000002203 へしときゝてさうそくひとくたりてうして
GOSE000002204 つかはすとて桜色のしたかさねにそへて侍ける
GOSE007702205 わかやとの桜の色はうすくとも花のさかりはきてもおらなん
GOSE000002206 わすれ侍にける人の家に花をこふとて
GOSE000002207 かねみのおほきみ
GOSE007802208 年をへて花のたよりに事とはゝいとゝあたなる名をや立なん
GOSE000002209 よふことりをきゝてとなりの家にをくり侍ける
GOSE000002210 はるみちのつらき」12オ
GOSE007902301 わかやとの花になゝきそ喚子鳥よふかひ有て君もこなくに
GOSE000002302 壬生忠岑か左近のつかひのおさにてふみ
GOSE000002303 をこせて侍けるついてに身をうらみて
GOSE000002304 侍ける返事に
GOSE000002305 紀貫之
GOSE008002306 ふりぬとていたくなわひそはるさめの
GOSE008002307 たゝにやむへき物ならなくに
GOSE000002308 (巻第二<朱>)」12ウ
GOSE000002401 後撰和歌集巻第三
GOSE000002402 春(春+哥<朱>)下
GOSE000002403 贈太政大臣あひわかれてのちある所にて
GOSE000002404 そのこゑをきゝてつかはしける
GOSE000002405 藤原顕忠朝臣母
GOSE00000240501【藤原顕忠朝臣母】-大納言源湛女従五上字栽更衣
GOSE008102406 鴬のなくなる声は昔にてわか身ひとつのあらすもある哉
GOSE000002407 さくらの花のかめにさせりけるかちりけるを
GOSE000002408 見て中務につかはしける
GOSE000002409 つらゆき
GOSE008202410 ひさしかれあたにちるなとさくら花かめにさせれとうつろひにけり」13オ
GOSE000002501 返し
GOSE008302502 (本無<朱>)千世ふへきかめにさせれと桜花とまらむ事は常にやはあらぬ
GOSE000002503 題しらす よみ人も
GOSE008402504 ちりぬへき花の限はをしなへていつれともなくおしき春哉
GOSE000002505 朝忠朝臣となりに侍けるにさくらのいたうちり
GOSE000002506 けれはいひつかはしける
GOSE000002507 伊勢
GOSE008502508 かきこしにちりくる花を見るよりはねこめに風の吹もこさなん
GOSE000002509 女につかはしける よみ人しらす
GOSE008602510 春の日のなかき思ひはわすれしを人の心に秋やたつらん
GOSE000002511 題しらす」13ウ
GOSE008702601 よそにても花見ることにねをそなくわか身にうとき春のつらさに
GOSE000002602 貫之
GOSE008802603 風をたにまちてそ花のちりなまし心つからにうつろふかうさ
GOSE000002604 あれたる所にすみ侍ける女つれ/\におもほえ侍
GOSE000002605 けれは庭にあるすみれの花をつみていひ
GOSE000002606 つかはしける よみ人しらす
GOSE008902607 わかやとにすみれの花のおほかれはきやとる人やあるとまつかな
GOSE000002608 題しらす
GOSE009002609 山高み霞をわけてちる花を雪とやよその人は見るらん
GOSE009102610 吹風のさそふ物とはしりなからちりぬる花のしひてこひしき
GOSE000002611 きよはらのふかやふ」14オ
GOSE009202701 (+うちはへてはるはさはかりのとけきを花の心やなにいそくらん)
GOSE000002702 つねにせうそこつかはしける女ともたちのもとより
GOSE000002703 さくらの花の(の+いと<朱>)おもしろかりける(る+えた<朱>)をゝりてこれそこ
GOSE000002704 の花に見くらへよとありけれは
GOSE000002705 こわかきみ
GOSE00000270501【こわかきみ】-惟喬親王女
GOSE009302706 わかやとの歎はゝるもしらなくに何にか花をくらへても見む
GOSE000002707 ちゝのみこの心させるやうにもあらて(て=す<朱>)つねに物思
GOSE000002708 ける人にてなんありける
GOSE000002709 春の池のほとりにて
GOSE000002710 よみ人しらす
GOSE009402711 はるの日の影そふ池のかゝみには柳のまゆそまつは見えける
GOSE000002712 はるのくれにかれこれ花おしみける所にて」14ウ
GOSE009502801 かくなからちらて世をやはつくしてぬ花のときはもありと見るへく
GOSE000002802 延喜御時殿上のをのことものなかにめしあけら
GOSE000002803 れてをの/\かさしさし侍けるついてに
GOSE000002804 凡河内躬恒
GOSE009602805 かさせとも老もかくれぬこの春そ花のおもてはふせつへらなる
GOSE000002806 題しらす よみ人も
GOSE009702807 ひとゝせにかさなる春のあらはこそふたゝひ花を見むとたのまめ
GOSE000002808 花のもとにてかれこれほともなくちることなと
GOSE000002809 申けるついてに つらゆき
GOSE009802810 春くれはさくてふことをぬれきぬにきする許の花にそありける
GOSE000002811 はる花見にいてたりけるに(に=を見つけて<朱>)ふみをつかはしたりける」15オ
GOSE000002901 その返事もなかりけれはあくるあしたきのふの
GOSE000002902 返事とこひにまうてきたりけれはいひつかはしたりける
GOSE000002903 よみ人しらす
GOSE009902904 春霞たちなから見し花ゆへにふみとめてけるあとのくやしさ
GOSE000002905 おとこのもとよりたのめをこせて侍けれは
GOSE010002906 はる日さす藤のうらはのうらとけて君しおもはゝ我もたのまむ
GOSE000002907 題しらす 伊勢
GOSE010102908 鴬に身をあひかへはちるまてもわか物にして(にして=なりと<朱>)花は見てまし
GOSE000002909 元良のみこ兼茂朝臣のむすめにすみ侍けるを
GOSE000002910 法皇のめしてかの院にさふらひけれは(は+え)あふこと
GOSE000002911 も侍らさりけれはあくる年の春さくらのえたに」15ウ
GOSE000003001 さしてかのさうしにさしをかせ侍ける
GOSE000003002 もとよしのみこ
GOSE00000300201【もとよしのみこ】-元良陽成第一三品兵部卿天慶六薨五十四
GOSE010203003 花の色は昔なからに見し人の心のみこそうつろひにけれ
GOSE000003004 月のおもしろかりける夜はなを見て
GOSE000003005 源さねあきら
GOSE00000300501【源さねあきら】-信明
GOSE010303006 あたら夜の月と花とをおなしくはあはれしれ覧人に見せはや
GOSE000003007 あかたのゐとゝいふ家より藤原治方につかはしける
GOSE000003008 橘のきむひらか女
GOSE010403009 宮こ人(こ人=人は<朱>)きてもおらなんかはつなくあかたのゐとの山吹の花
GOSE000003010 すけのふか母身まかりてのちかの(かの=も時々<朱>)家に敦忠
GOSE00000301001【すけのふ】-助信敦忠卿一男天徳二年蔵人少将後右中将
GOSE000003011 朝臣のまかりかよひけるにさくらの花のちりける」16オ
GOSE000003101 おりにまかりて木のもとに侍けれは家の人の
GOSE000003102 いひいたしける よみ人しらす
GOSE010503103 今よりは風にまかせむ桜花ちるこのもとに君とまりけり
GOSE000003104 返し あつたゝの朝臣
GOSE00000310403【あつたゝの朝臣】-天慶二参議左中将五年権中納言六年薨卅八
GOSE010603105 風にしも何かまかせんさくら花匂あかぬにちるはうかりき
GOSE000003106 さくら河といふ所ありときゝて
GOSE000003107 つらゆき
GOSE010703108 常よりも春へになれはさくら河花の浪こそまなくよすらめ
GOSE000003109 前栽に山吹ある所にて
GOSE000003110 かねすけの朝臣」16ウ
GOSE010803201 わかきたるひとへ衣は山吹のやへの色にもおとらさりけり
GOSE000003202 題しらす 在原元方
GOSE010903203 ひとゝせにふたゝひさかぬ花なれはむへちることを人はいひけり
GOSE000003204 寛平御時桜の花の宴ありけるに雨のふり侍けれは
GOSE000003205 藤原敏行朝臣
GOSE011003206 春さめの花の枝より流こは猶(猶=ぬれ<朱>)こそぬれめかもやうつると
GOSE000003207 いつみのくにゝまかりけるにうみのつらにて
GOSE000003208 よみ人しらす
GOSE011103209 はる深き色にもある哉住の江のそこも緑に見ゆるはま松
GOSE000003210 女とも花見むとてのへにいてゝ
GOSE000003211 典侍よるかの朝臣」17オ
GOSE011203301 春くれは花見にと思心こそのへの霞とゝもにたちけれ
GOSE000003302 あひしれりける人のひさしうとはさりけれは
GOSE000003303 花さかりにつかはしける
GOSE000003304 よみ人しらす
GOSE011303305 我をこそとふにうからめ春霞花につけてもたちよらぬ哉
GOSE000003306 返し 源清蔭朝臣
GOSE00000330603【源清蔭朝臣】-大納言陽成院源氏天暦四年薨
GOSE011403307 たちよらぬ春の霞をたのまれよ花のあたりと見れはなるらん
GOSE000003308 山さくらをゝりてをくり侍とて
GOSE000003309 伊勢
GOSE011503310 君見よと尋ておれる山さくらふりにし色と思はさら南
GOSE000003311 宮つかへしける女のいその神といふ所にすみて」17ウ
GOSE000003401 京のともたちのもとにつかはしける
GOSE000003402 よみ人しらす
GOSE011603403 神さひてふりにし里にすむ人は都にゝほふ花をたに見す
GOSE000003404 法師にならむの心ありける人やまとにまか
GOSE000003405 りてほとひさしく侍てのちあひしりて侍ける
GOSE000003406 人のもとより月ころはいかにそ花はさきにた
GOSE000003407 りやといひて侍けれは
GOSE011703408 み吉野のよしのゝ山の桜花白雲とのみ見えまかひつゝ
GOSE000003409 亭子院哥合のうた
GOSE011803410 山さくらさきぬる時は常よりも峯の白雲たちまさりけり」18オ
GOSE000003501 山さくらを見て つらゆき
GOSE011903502 白雲と見えつる物をさくら花けふ(けふ=いま<朱>)はちるとや色ことになる
GOSE000003503 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE012003504 わかやとの影ともたのむ藤の花たちよりくとも浪におらるな
GOSE012103505 花さかりまたもすきぬに吉野河影にうつろふ岸の山吹
GOSE000003506 人の心たのみかたくなりけれは山吹のちりさ
GOSE000003507 したるをこれ見よとてつかはしける
GOSE012203508 しのひかねなきてかはつの惜をもしらすうつろふ山吹の花
GOSE000003509 やよひ許の花のさかりにみちまかりけるに
GOSE000003510 僧正遍昭」18ウ
GOSE012303601 折つれはたふさにけかるたてなからみよの仏に花たてまつる
GOSE000003602 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE012403603 みなそこの色さへ深き松かえにちとせをかねてさける藤波
GOSE000003604 やよひのしもの十日許に三条右大臣かねすけの
GOSE000003605 朝臣の家にまかりて(て=わたり<朱>)侍けるにふちの花さ
GOSE000003606 けるやり水のほとりにてかれこれおほみ
GOSE000003607 きたうへけるついてに
GOSE000003608 三条右大臣
GOSE00000360801【三条右大臣】-兼左大将内大臣高藤三男
GOSE012503609 限なき名におふゝちの花なれはそこゐもしらぬ色のふかさか
GOSE000003610 兼輔朝臣
GOSE012603611 色深くにほひし事は藤浪のたちもかへらて君とまれとか」19オ
GOSE000003701 貫之
GOSE012703702 さほさせとふかさもしらぬふちなれは色をは人もしらしとそ思
GOSE000003703 ことふえなとしてあそひ物かたりなとし侍
GOSE000003704 けるほとに夜ふけにけれはまかりとまりて
GOSE000003705 三条右大臣
GOSE012803706 昨日見し花のかほとてけさ見れはねてこそさらに色まさりけれ
GOSE000003707 兼輔朝臣
GOSE012903708 ひと夜のみねてしかへらは藤の花心とけたる色見せんやは
GOSE000003709 貫之
GOSE013003710 あさほらけしたゆく水はあさけれと深くそ花の色は見えける
GOSE000003711 題しらす よみ人も」19ウ
GOSE013103801 鴬の糸によるてふ玉柳ふきなみたりそ春の山かせ
GOSE000003802 さくらの花のちるを見て
GOSE000003803 みつね
GOSE013203804 いつのまにちりはてぬ覧桜花おもかけにのみ色を見せつゝ
GOSE000003805 あつみのみこの花見侍ける所にて
GOSE000003806 源仲宣朝臣
GOSE00000380601【源仲宣朝臣】-延長八右少将承平六四位右兵衛督大納言貞恒男光孝天皇孫
GOSE013303807 ちること(こと=とき<朱>)のうきもわすれてあはれてふ事をさくらにやとしつる哉
GOSE000003808 さくらのちるを見て
GOSE000003809 よみ人しらす
GOSE013403810 桜色にきたる衣のふかけれはすくる春日もおしけくもなし
GOSE000003811 やよひにうるふ月ある年つかさめしのころ」20オ
GOSE000003901 申文にそへて左大臣の家につかはしける
GOSE000003902 貫之
GOSE013503903 あまりさへありてゆくへき年たにも春にかならすあふよしも哉
GOSE000003904 返し 左大臣
GOSE013603905 つねよりものとけかるへき春なれは(なれは=ひすら<朱>)ひかりに人のあはさらめやは
GOSE000003906 つねにまうてきかよひける所にさはる事侍て
GOSE000003907 ひさしくまてきあはすして年かへりにけり
GOSE000003908 あくるはるやよひのつこもりにつかはしける
GOSE000003909 藤原雅正
GOSE013703910 君こすて年はくれにき立かへり春さへけふに成にける哉」20ウ
GOSE013804001 ともにこそ花をも見めとまつ人のこぬ物ゆへにおしきはるかな
GOSE000004002 返し つらゆき
GOSE013904003 きみにたにとはれてふれは(とはれてふれは=ゆかてへぬれは<朱>)藤の花たそかれ時もしらすそ有ける
GOSE014004004 やへむくら心の内にふかけれは花見にゆかむいてたちもせす
GOSE000004005 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE014104006 おしめとも春の限のけふの又ゆふくれにさへなりにける哉
GOSE000004007 みつね
GOSE014204008 ゆくさきをゝしみし春のあすよりはきにし方にもなりぬへき哉
GOSE000004009 やよひのつこもり つらゆき
GOSE014304010 ゆくさきになりもやするとたのみしを春の限はけふにそ有ける」21オ
GOSE000004101 よみ人しらす
GOSE014404102 花しあらは何かはゝるのおしからんくるともけふはなけかさらまし
GOSE000004103 みつね
GOSE014504104 くれて又あすとたになきはるの日を花の影にてけふはくらさむ
GOSE000004105 やよひのつこもりの日ひさしうまうてこぬ
GOSE000004106 よしいひて(いひて=のせうそこら<朱>)侍ふみのおくにかきつけ侍ける
GOSE000004107 つらゆき
GOSE014604108 又もこむ時そとおもへとたのまれぬわか身にしあれはおしきはる哉」21ウ
GOSE000004201 つらゆきかくておなし年になん
GOSE000004202 身まかりにける
GOSE000004203 (巻第三<朱>)」22オ
GOSE000004301 後撰和歌集巻第四
GOSE000004302 夏(+哥<朱>)
GOSE000004303 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE014704304 今日よりは夏の衣に成ぬれときるひとさへはかはらさりけり
GOSE014804305 卯花のさけるかきねの月きよみいねすきけとやなくほとゝきす
GOSE000004306 う月許友たちのすみ侍ける所ちかく侍てかならす
GOSE000004307 せうそこつかはしてむとまちけるにをとなく
GOSE000004308 侍けれは
GOSE014904309 郭公きゐるかきねはちかなからまちとをにのみ声のきこえぬ
GOSE000004310 返し」22ウ
GOSE015004401 ほとゝきす声まつほとはとをからてしのひになくをきかぬなる覧
GOSE000004402 ものいひかはし侍ける人のつれなく侍けれは
GOSE000004403 その家のかきねの卯花をゝりていひいれて侍ける
GOSE015104404 うらめしき君かゝきねの卯花はうしと見つゝも猶たのむ哉
GOSE000004405 返し
GOSE015204406 うき物と思ひしりなは卯花のさけるかきねもたつねさらまし
GOSE000004407 卯花のかきねある家にて
GOSE015304408 時わかすふれる雪かと見るまてにかきねもたわにさける卯花
GOSE000004409 ともたちのとふらひまてこぬことをうらみつかはすとて
GOSE015404410 白妙にゝほふかきねの卯花のうくもきてとふ人のなきかな」23オ
GOSE015504501 時わかす月か雪かと見るまてにかきねのまゝにさける卯花
GOSE015604502 鳴わひぬいつちかゆかん郭公猶卯花の影はゝなれし
GOSE000004503 う月許の月おもしろかりける夜人につかはしける
GOSE015704504 あひ見しもまた見ぬこひも郭公月になくよそよにゝさりける
GOSE000004505 女の許につかはしける
GOSE015804506 有とのみをとはの山の郭公きゝにきこえてあはすもある哉
GOSE000004507 題しらす 伊勢
GOSE015904508 こかくれてさ月まつとも郭公はねならはしに枝うつりせよ
GOSE000004509 藤原のかつみの命婦にすみ侍けるおとこ人
GOSE000004510 の手にうつり侍にける又のとしかきつはたに」23ウ
GOSE000004601 つけてかつみにつかはしける
GOSE000004602 良岑義方朝臣
GOSE00000460201【良岑義方朝臣】-天慶二蔵人承平六年右少将天慶八年中将天暦元卒
GOSE016004603 いひそめし昔のやとの杜若色許こそかたみなりけれ
GOSE000004604 賀茂祭の物見侍ける女のくるまにいひいれ
GOSE000004605 て侍ける よみ人しらす
GOSE016104606 ゆきかへるやそうち人の玉かつらかけてそたのむ葵てふ名を
GOSE000004607 返し
GOSE016204608 ゆふたすきかけてもいふなあた人の葵てふなはみそきにそせし
GOSE000004609 題しらす
GOSE016304610 このころはさみたれちかみ郭公思みたれてなかぬ日そなき
GOSE016404611 まつ人は誰ならなくにほとゝきす思ひの外になかはうからん」24オ
GOSE016504701 にほひつゝちりにし花そおもほゆる夏は緑の葉のみしけれは
GOSE000004702 朱雀院の春宮におはしましける時たちはきら
GOSE000004703 さ月許御書所にまかりてさけなとたうへて
GOSE000004704 これかれうたよみけるに
GOSE000004705 大春日師範
GOSE016604706 さみたれに春の宮人くる時は郭公をやうくひすにせん
GOSE000004707 夏夜ふかやふか琴ひくをきゝて
GOSE000004708 藤原兼輔朝臣
GOSE016704709 みしか夜のふけゆくまゝに高砂の峯の松風ふくかとそきく
GOSE000004710 おなし心を つらゆき」24ウ
GOSE016804801 葦引の山した水はゆきかよひことのねにさへなかるへら也
GOSE000004802 題しらす 藤原高経朝臣
GOSE00000480205【藤原高経朝臣】-蔵人頭従四位下右兵衛督贈太政大臣長良七男
GOSE016904803 夏の夜はあふ名のみして敷妙のちりはらふまにあけそしにける
GOSE000004804 壬生忠岑
GOSE017004805 夢よりもはかなき物は夏の夜の暁かたの別なりけり
GOSE000004806 あひしりて侍ける中のかれもこれも心さしは
GOSE000004807 有なからつゝむことありて(て+え)あはさりけれは
GOSE000004808 よみ人しらす
GOSE017104809 よそなから思しよりも夏の夜の見はてぬ夢そはかなかりける
GOSE000004810 夏の夜しはし物かたりしてかへりにける」25オ
GOSE000004901 人のもとに又のあしたつかはしける
GOSE000004902 伊勢
GOSE017204903 ふた声と聞とはなしに郭公夜深くめをもさましつる哉
GOSE000004904 ひとのもとにつかはしける
GOSE000004905 藤原安国
GOSE017304906 あふと見し夢にならひて夏の日のくれかたきをも歎つる哉
GOSE000004907 よみ人しらす
GOSE017404908 うとまるゝ心しなくは郭公あかぬ別にけさはけなまし
GOSE000004909 思事侍けるころほとゝきすをきゝて
GOSE017504910 折はへてねをのみそなく郭公しけきなけ木の枝ことにゐて」25ウ
GOSE000005001 四五月許とをきくにへまかりくたらむとするころ
GOSE000005002 郭公をきゝて
GOSE017605003 ほとゝきすきては旅とや鳴渡我は別のおしき宮こを
GOSE000005004 題しらす
GOSE017705005 独ゐて物思ふ我を郭公こゝにしもなく心あるらし
GOSE01770500501【独ゐて物思ふ我を郭公こゝにしもなく心あるらし】-万
GOSE017805006 玉(玉=から<朱>)匣あけつるほとのほとゝきすたゝふたこゑもなきてこし哉
GOSE000005007 さ月許に物いふ(いふ=のたうふ<朱>)女につかはしける
GOSE017905008 かすならぬわか身山への郭公このはかくれのこゑはきこゆや
GOSE000005009 題しらす
GOSE018005010 とこ夏になきてもへなんほとゝきすしけきみ山になに帰らん
GOSE018105011 ふすからにまつそわひしき郭公なきもはてぬにあくる夜なれは」26オ
GOSE000005101 三条右大臣少将に侍ける時しのひにかよふ所侍ける
GOSE00000510101【三条右大臣】-寛平九年右少将延喜六年左中将
GOSE000005102 をうへのをのことも五六人許五月のなかあめ
GOSE000005103 すこしやみて月おほろなりけるにさけたう
GOSE000005104 へむとてをしいりて侍けるを少将はかれかた
GOSE000005105 にて侍らさりけれはたちやすらひてあるしい
GOSE000005106 たせなとたはふれ侍けれは
GOSE000005107 あるしの女
GOSE018205108 さみたれになかめくらせる月なれはさやにも見えすくもかくれつゝ
GOSE000005109 女こもて侍ける人に思心侍てつかはしける
GOSE000005110 よみ人しらす
GOSE018305111 ふた葉よりわかしめゆひしなてしこの花のさかりを人におらすな」26ウ
GOSE000005201 題しらす
GOSE018405202 葦引の(葦引の=ふるさとの<朱>)山郭公うちはへて誰かまさるとねをのみそなく
GOSE000005203 五月なか雨のころひさしくたえ侍にける
GOSE000005204 女の許にまかりたりけれは女
GOSE018505205 つれ/\となかむるそらの郭公とふにつけてそねはなかれける
GOSE000005206 題しらす
GOSE018605207 色かへぬ花橘に郭公ちよをならせるこゑきこゆなり
GOSE018705208 たひねしてつまこひすらし郭公神なひ山にさよふけてなく
GOSE01870520801【たひねしてつまこひすらし郭公神なひ山にさよふけてなく】-万
GOSE018805209 夏の夜にこひしき人のかをとめは花橘そしるへなりける
GOSE000005210 女の物見にまかりいてたりけるにことくるま
GOSE000005211 かたはらにきたりけるに」27オ
GOSE000005301 ものなといひかはしてのちにつかはしける
GOSE000005302 伊勢
GOSE018905303 郭公はつかなるねをきゝそめてあらぬもそれとおほめかれつゝ
GOSE000005304 さ月ふたつ侍けるに思事侍て
GOSE000005305 よみ人しらす
GOSE019005306 さみたれのつゝける年のなかめには物思ひあへる我そわひしき
GOSE000005307 女にいとしのひてものいひてかへりて
GOSE019105308 郭公ひとこゑにあくる夏の夜の暁かたやあふこなるらん
GOSE000005309 題しらす
GOSE019205310 うちはへてねをなきくらす空蝉のむなしきこひも我はする哉
GOSE019305311 常もなき夏の草葉にをくつゆをいのちとたのむせみのはかなさ」27ウ
GOSE019405401 やへむくらしけきやとには夏虫の声より外に問人もなし
GOSE019505402 うつせみのこゑきくからに物そ思我も空き世にしすまへは
GOSE000005403 人のもとにつかはしける
GOSE000005404 藤原師尹朝臣
GOSE019605405 如何せむをくらの山の郭公おほつかなしとねをのみそなく
GOSE000005406 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE019705407 郭公暁かたのひとこゑはうき世中をすくすなりけり
GOSE019805408 ひとしれすわかしめしのゝとこなつは花さきぬへき時そきにける
GOSE019905409 わかやとのかきねにうへしなてしこは花にさか南よそへつゝ見む
GOSE020005410 常夏の花をたに見はことなしにすくす月日もみしかかりなん」28オ
GOSE020105501 常夏に思そめては人しれぬ心の程は色に見え南
GOSE000005502 返し
GOSE020205503 色といへはこきもうすきもたのまれす山となてしこちる世なしやは
GOSE000005504 師尹朝臣のまたわらはにて侍けるとこ夏の
GOSE000005505 花をゝりてもちて侍けれはこの花につけて
GOSE000005506 内侍のかみの方にをくり侍ける
GOSE00000550601【内侍のかみ】-尚侍貴子貞信公一女延喜入文彦太子宮天慶元尚侍応和二薨贈正一位
GOSE000005507 太政大臣
GOSE00000550701【太政大臣】-貞信公
GOSE020305508 なてしこはいつれともなくにほへともをくれてさくはあはれなりけり
GOSE000005509 題しらす よみ人も
GOSE020405510 なてしこの花ちり方になりにけりわか松秋そちかくなるらし」28ウ
GOSE020505601 夜ゐなからひるにもあら南夏なれはまちくらすまのほとなかるへく
GOSE020605602 夏の夜の月は程なくあけぬれは朝のまをそかこちよせつる
GOSE020705603 鵲の峯飛こえてなきゆけは夏の夜渡月そかくるゝ
GOSE020805604 秋ちかみ夏はてゆけは郭公なく声かたき心ちこそすれ
GOSE000005605 桂のみこのほたるをとらへてといひ侍けれは
GOSE00000560501【桂のみこ】-敦慶親王也見大和物語
GOSE000005606 わらはのかさみのそてにつゝみて
GOSE020905607 つゝめともかくれぬ物は夏虫の身よりあまれる思ひなりけり
GOSE000005608 題しらす
GOSE021005609 あまの河水まさるらし夏の夜は流る月のよとむまもなし
GOSE000005610 月ころわつらふことありてまかりありきもせて」29オ
GOSE000005701 まてこぬよしいひてふみのおくに
GOSE000005702 つらゆき
GOSE021105703 花もちり郭公さへいぬるまて君にもゆかすなりにける哉
GOSE000005704 返し 藤原雅正
GOSE021205705 はな鳥の色をもねをもいたつらに物うかる身はすくすのみなり
GOSE000005706 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE021305707 夏虫の身をたきすてゝ玉しあらは我とまねはむ人めもる身そ
GOSE000005708 夏夜月おもしろく侍けるに
GOSE021405709 今夜かくなかむる袖のつゆきけは月の霜をや秋と見つらん
GOSE000005710 (本題しらす<朱>)みな月はらへしに河原にまかりいてゝ」29ウ
GOSE00000571001【みな月はらへ】-古人六月中多出川原修祓不限晦日也
GOSE000005801 月のあかきを見て
GOSE021505802 かも河のみなそこすみてゝる月をゆきて見むとや夏はらへする
GOSE000005803 みな月ふたつありけるとし
GOSE021605804 たなはたはあまのかはらをなゝかへり
GOSE021605805 のちのみそかをみそきにはせよ
GOSE000005806 (巻第四<朱>)」30オ
GOSE000005901 後撰和歌集巻第五
GOSE000005902 秋(秋+哥<朱>)上
GOSE000005903 これさたのみこの家の歌合に(に=のうた<朱>)
GOSE000005904 よみ人しらす
GOSE021705905 にはかにも風のすゝしくなりぬるか秋立日とはむへもいひけり
GOSE000005906 題しらす
GOSE021805907 打つけに物そ悲きこのはちる秋の始をけふそとおもへは
GOSE000005908 物思侍けるころ秋立日人につかはしける
GOSE021905909 たのめこし君はつれなし(し=く<朱>)秋風はけふよりふきぬわか身かなしも
GOSE000005910 おもふこと侍けるころ」30ウ
GOSE022006001 いとゝしく物思やとの荻の葉に秋とつけつる風のわひしさ
GOSE000006002 題しらす
GOSE022106003 秋風のうち吹そむるゆふくれはそらに心そわひしかりける
GOSE000006004 大江千里
GOSE022206005 露わけしたもとほすまもなき物をなと秋風のまたきふくらん
GOSE000006006 女のもとよりふん月許にいひ(いひ=のたうひ<朱>)をこせて侍ける
GOSE000006007 よみ人しらす
GOSE022306008 秋はきを色とる風の吹ぬれはひとの心もうたかはれけり
GOSE000006009 返し 在原業平朝臣
GOSE022406010 あき萩を色とる風は吹ぬとも心はかれし草はならねは」31オ
GOSE000006101 源昇朝臣時/\まかりかよひける時にふん月
GOSE00000610101【源昇朝臣】-大納言
GOSE000006102 の四五日許のなぬかの日のれうにさうそく
GOSE000006103 てうしてといひ(いひ=のたうひ<朱>)つかはして侍けれは
GOSE000006104 閑院
GOSE022506105 あふことはたなはたつめにひとしくてたちぬふわさはあえすそありける
GOSE000006106 題しらす よみひとも(も=しらす<朱>)
GOSE022606107 天河渡らむそらもおもほえすたえぬ別と思ものから
GOSE000006108 ふん月の七日にゆふかたまてこむといひて
GOSE000006109 侍けるにあめふり侍けれはまてこて
GOSE000006110 源中正
GOSE00000611001【源中正】-筑前守大蔵少輔当年子近院右大臣孫」31ウ
GOSE022706201 雨ふりて水まさりけり天河こよひはよそにこひむとや見し
GOSE000006202 返し よみ人しらす
GOSE022806203 水まさり浅きせしらすなりぬともあまのと渡る舟もなしやは
GOSE000006204 七日(七日=なぬか日に<朱>)女のもとにつかはしける
GOSE000006205 藤原兼三
GOSE022906206 織女もあふよありけり天河この渡にはわたるせもなし
GOSE000006207 かれにけるをとこの七日のよまてきたりけれは
GOSE000006208 女のよみて侍ける (+よみ人しらす<朱>)
GOSE023006209 ひこほしのまれにあふよのとこ夏は打はらへともつゆけかりけり
GOSE000006210 七日(七日=なぬかのよ<朱>)人のもとより返事にこよひあはんと
GOSE000006211 いひおこせて侍けれは」32オ
GOSE023106301 こひ/\てあは(は=ひ見<朱>)むと思ゆふくれはたなはたつめもかくそあるらし
GOSE000006302 返し
GOSE023206303 たくひなき物とは我そなりぬへきたなはたつめは人めやはもる
GOSE000006304 題しらす
GOSE023306305 あまの河流てこひはうくもそあるあはれと思せにはやく見む
GOSE023406306 玉鬘たえぬ物からあらたまの年の渡はたゝひとよのみ
GOSE02340630601【玉鬘たえぬ物からあらたまの年の渡はたゝひとよのみ】-万
GOSE023506307 秋の夜の心もしるくたなはたのあへるこよひはあけすもあらなん
GOSE023606308 契釼事の葉今は返してむ年のわたりによりぬる物を
GOSE000006309 七日(七日=なぬかひに<朱>)越後蔵人につかはしける
GOSE000006310 藤原敦忠朝臣」32ウ
GOSE023706401 逢事の今夜過なは織女におとりやし南こひはまさりて
GOSE000006402 七日(七日=なぬか日<朱>) よみ人しらす
GOSE023806403 織女のあまのとわたるこよひさへをち方人のつれなかるらん
GOSE000006404 七夕をよめる
GOSE023906405 天河とをき渡はなけれとも君かふなては年にこそまて
GOSE02390640501【天河とをき渡はなけれとも君かふなては年にこそまて】-万
GOSE024006406 あまの河いはこす浪のたちゐつゝ秋のなぬかのけふ(ふ+を)しそ松
GOSE000006407 紀友則
GOSE024106408 けふ(ふ=さ<朱>)よりはあまの河原はあせな南そこゐともなくたゝわたりなん
GOSE02410640816【そこゐ】-(\<朱>)そよみ清本奥義釈之(本用之<朱>)家本用そこゐ
GOSE000006409 よみ人しらす
GOSE024206410 天河流てこふるたなはたの涙なるらし秋のしらつゆ」33オ
GOSE024306501 あまの河せゝの白浪たかけれとたゝわたりきぬまつにくるしみ
GOSE024406502 (無<朱>)秋くれは河霧わたる天河かはかみ見つゝこふる日のおほき
GOSE024506503 天河こひしきせにそ渡ぬるたきつ涙に袖はぬれつゝ
GOSE024606504 織女の年とはいはし天河雲たちわたりいさみたれなん
GOSE000006505 凡河内躬恒
GOSE024706506 秋の夜のあかぬ別をたなはたはたてぬきにこそ思ふへらなれ
GOSE000006507 七月八日のあした(七月八日のあした=本なぬかのよの又のあした<朱>) 兼輔朝臣
GOSE024806508 たなはたの帰朝の天河舟もかよはぬ浪もたゝ南
GOSE000006509 おなし心を つらゆき
GOSE024906510 あさとあけてなかめやすらんたなはたはあかぬ別のそらをこひつゝ」33ウ
GOSE000006601 思事(事=ところ<朱>)侍て よみ人しらす
GOSE025006602 秋風のふけはさすかにわひしきは世のことわりと思物から
GOSE000006603 題しらす
GOSE025106604 松虫のはつこゑさそふ秋風はをとは山よりふきそめにけり
GOSE000006605 業平朝臣
GOSE025206606 ゆく蛍雲のうへまていぬへくは秋風ふくと雁につけこせ
GOSE000006607 よみ人しらす
GOSE025306608 秋風の草葉そよきてふくなへにほのかにしつるひくらしのこゑ
GOSE000006609 つらゆき
GOSE025406610 ひくらしの声きく山のちかけれやなきつるなへにいり日さすらん
GOSE025506611 ひくらしのこゑきくからに松虫の名にのみ人を思ころ哉」34オ
GOSE025606701 心有てなきもしつるかひくらしのいつれもゝのゝあきてうけれは
GOSE025706702 秋風の吹くるよひは蛬草のねことにこゑみたれけり
GOSE025806703 わかことく物やかなしきゝり/\す草のやとりにこゑたえすなく
GOSE025906704 こむといひしほとやすきぬる秋のゝに誰松虫そこゑのかなしき
GOSE026006705 秋のゝにきやとる人もおもほえすたれを松虫こゝらなくらん
GOSE026106706 あき風のやゝふきしけはのをさむみわひしきこゑに松虫そ鳴
GOSE000006707 藤原元善朝臣
GOSE00000670701【藤原元善朝臣】-宮内卿右京大夫是法子中納言葛野麿孫
GOSE026206708 秋くれは野もせに虫のをりみたるこゑのあやをはたれかきるらん
GOSE000006709 よみ人しらす
GOSE026306710 風さむみなく秋虫の涙こそくさは色とるつゆとをくらめ」34ウ
GOSE026406801 秋風の吹しく松は山なから浪立帰をとそきこゆる
GOSE000006802 是貞のみこの家歌合に 壬生忠岑
GOSE026506803 松のねに風のしらへをまかせては龍田姫こそ秋はひくらし
GOSE000006804 秋大輔かうつまさのかたはらなる家に侍ける
GOSE000006805 におきの葉にふみをさしてつかはしける
GOSE000006806 左大臣
GOSE026606807 山里の物さひしさは荻のはのなひくことにそ思やらるゝ
GOSE000006808 題しらす 小野道風朝臣
GOSE026706809 ほにはいてぬいかにかせまし花すゝき身を秋風にすてやはてゝん
GOSE000006810 ふたりのおとこに物いひける女のひとりにつきにけれは」35オ
GOSE000006901 今ひとりかつかはしける
GOSE000006902 よみ人しらす
GOSE026806903 あけくらしまもるたのみをからせつゝたもとそほつの身とそなりぬる
GOSE000006904 返し
GOSE026906905 心もておふる山田のひつちほは君まもらねとかる人もなし
GOSE000006906 題しらす 藤原守文
GOSE027006907 草のいとにぬく白玉と見えつるは秋のむすへるつゆにそ有ける
GOSE000006908 (巻第五<朱>)」35ウ
GOSE000007001 後撰和哥集巻第六
GOSE000007002 秋(秋+哥<朱>)中
GOSE000007003 延喜御時に秋哥めし(し+あり<朱>)けれはたてまつりける
GOSE000007004 紀貫之
GOSE027107005 秋霧の立ぬる時はくらふ山おほつかなくそ見え渡ける
GOSE027207006 花見にといてにし物を秋の野ゝ霧に迷てけふはくらしつ
GOSE000007007 寛平御時きさいの宮の哥合に
GOSE000007008 よみ人しらす
GOSE027307009 浦ちかくたつ秋きりはもしほやく煙とのみそ見えわたりける」36オ
GOSE000007101 おなし御時のをみなへしあはせに
GOSE000007102 藤原おきかせ
GOSE027407103 おるからにわかなはたちぬ女郎花いさおなしくははな/\に見む
GOSE000007104 よみ人しらす
GOSE027507105 秋の野ゝ露にをかるゝ女郎花はらふ人なみぬれつゝやふる
GOSE027607106 をみなへし花の心のあたなれは秋にのみこそあひわたりけれ
GOSE000007107 はゝのふくにてさとに侍けるにせんたいの御
GOSE000007108 ふみたまへりける御返ことに
GOSE000007109 近江更衣
GOSE00000710901【近江更衣】-源周子右大弁唱女生時明并内親王三人
GOSE027707110 さみたれにぬれにし袖にいとゝしくつゆをきそふる秋のわひしさ」36ウ
GOSE000007201 御返し 延喜御製
GOSE027807202 おほかたも秋はわひしき時なれとつゆけかる覧袖をしそ思
GOSE000007203 亭子院の御前の花のいとおもしろくあさつゆ
GOSE000007204 のをけるをめして見せさせ給て
GOSE000007205 法皇御製
GOSE00000720501【法皇御製】-寛平
GOSE027907206 白露のかはるもなにかおしからんありてのゝちもやゝうきものを
GOSE000007207 御返し 伊勢
GOSE028007208 うへた(た+て)ゝ君かしめゆふ花なれは玉と見えてやつゆもをくらん
GOSE000007209 大輔か後涼殿に侍けるにふちつほより
GOSE000007210 をみなへしをゝりてつかはしける」37オ
GOSE000007301 右大臣
GOSE00000730101【右大臣】-九条
GOSE028107302 折て見る袖さへぬるゝをみなへしつゆけき物と今やしるらん
GOSE000007303 返し 大輔
GOSE028207304 よろつ世にかゝらむつゆをゝみなへしなに思とかまたきぬる覧
GOSE000007305 又 右大臣
GOSE028307306 をきあかすつゆのよな/\へにけれはまたきぬるともおもはさりけり
GOSE000007307 返し 大輔
GOSE028407308 今はゝや打とけぬへき白露の心をくまてよをやへにける
GOSE000007309 あひしりて侍ける女のあたなたちて侍けれはひさ
GOSE000007310 しくとふらはさりけり八月許に女のもとより
GOSE000007311 なとかいとつれなきといひをこせて侍けれは」37ウ
GOSE000007401 よみ人しらす
GOSE028507402 白露のうへはつれなくをきゐつゝ萩のしたはの色をこそ見れ
GOSE000007403 返し 伊勢
GOSE028607404 心なき身は草葉にもあらなくに秋くる風にうたかはるらん
GOSE000007405 おとこのもとにつかはしける
GOSE000007406 よみ人しらす
GOSE028707407 人はいさ事そともなきなかめにそ我はつゆけき秋もしらるゝ
GOSE000007408 ひとのもとにおはなのいとたかきをつかはし
GOSE000007409 たりけれは返事にしのふくさをくはへて
GOSE000007410 中宮宣旨
GOSE028807411 花すゝきほにいつる事もなきやとは昔忍の草をこそ見れ」38オ
GOSE000007501 返し 伊勢
GOSE028907502 やともせにうへなめつゝそ我は見るまねくおはなに人やとまると
GOSE000007503 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE029007504 秋の夜をいたつらにのみをきあかす露はわか身のうへにそ有ける
GOSE029107505 おほかたにをく白露も今よりは心してこそ見るへかりけれ
GOSE000007506 右大臣
GOSE029207507 露ならぬわか身と思へと秋の夜をかくこそあかせおきゐなからに
GOSE000007508 秋のころをひある所に女とものあまたすの内に
GOSE000007509 侍けるにおとこの哥のもとをいひいれて侍けれは
GOSE000007510 すゑはうちより
GOSE000007511 よみ人しらす」38ウ
GOSE029307601 白露のをくにあまたの声すれは花の色/\有としらなん
GOSE000007602 八月なかの十日許に雨のそほふりける日をみ
GOSE000007603 なへしほりに藤原のもろたゝを野辺に
GOSE000007604 いたしてをそくかへりけれはつかはしける
GOSE000007605 左大臣
GOSE029407606 くれはては月も待へし女郎花雨やめてとは思はさらなん
GOSE000007607 題しらす よみ人も
GOSE029507608 秋の田のかりほのやとのにほふまてさける秋はき見れとあかぬかも
GOSE029607609 あきのよをまとろますのみあかす身は夢地とたにそたのまさりける
GOSE000007610 はきの花をゝりて人につかはすとて」39オ
GOSE029707701 時雨ふり/\なは人に見せもあへすちりなはおしみをれる秋はき
GOSE000007702 秋の歌とてよめる つらゆき
GOSE029807703 往還り折てかさゝむあさな/\鹿立ならすのへの秋はき
GOSE000007704 むねゆきの朝臣
GOSE029907705 わかやとの庭の秋はきちりぬめりのちみむ人やくやしと思はむ
GOSE000007706 よみ人しらす
GOSE030007707 白露のをかまく惜き秋萩を折てはさらに我やかくさん
GOSE000007708 年のつもりにけることをかれこれ申けるついてに
GOSE000007709 つらゆき
GOSE030107710 秋はきの色つく秋を徒にあまたかそへて老そしにける」39ウ
GOSE000007801 題しらす 天智天皇御製
GOSE030207802 秋の田のかりほのいほのとまをあらみわか衣手はつゆにぬれつゝ
GOSE000007803 よみ人しらす
GOSE030307804 わか袖に露そをくなる天河雲のしからみ浪やこすらん
GOSE030407805 秋はきの枝もとをゝになり行は白露をもくをけはなりけり
GOSE030507806 わかやとのお花かうへの白露をけたすて玉にぬく物にもか
GOSE000007807 延喜御時歌めしけれは
GOSE000007808 つらゆき
GOSE030607809 さを鹿の立ならすをのゝ秋はきにをける白露我もけぬへし
GOSE030707810 秋の野ゝ草はいとゝも見えなくにをくしらつゆを玉とぬく覧」40オ
GOSE000007901 文室朝康
GOSE030807902 白露に風の吹敷秋のゝはつらぬきとめぬ玉そちりける
GOSE000007903 たゝみね
GOSE030907904 秋のゝにをく白露をけさ見れは玉やしけるとおとろかれつゝ
GOSE000007905 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE031007906 をくからにちくさの色になる物を白露とのみ人のいふらん
GOSE031107907 白玉の秋のこのはにやとれると見ゆるはつゆのはかるなりけり
GOSE031207908 秋のゝにをく白露のきえさらは玉にぬきてもかけて見てまし
GOSE031307909 唐衣袖くつるまてをくつゆはわか身を秋のゝとや見るらん
GOSE031407910 おほそらにわか袖ひ(ひ\<朱>)とつあらなくにかなしくつゆやわきてをくらん
GOSE03140791009【ひとつ】-清本ひつと 家本ひ(ひ\<朱>)とつ也」40ウ
GOSE031508001 あさことにをくつゆそてにうけためて世のうき時の涙にそかる
GOSE000008002 秋哥とてよめる つらゆき
GOSE031608003 秋の野ゝ草もわけぬをわか袖の物思なへにつゆけかるらん
GOSE000008004 ふかやふ
GOSE031708005 いく世へてのちかわすれんちりぬへきのへの秋はきみかく月よを
GOSE000008006 よみ人しらす
GOSE031808007 秋の夜の月の影こそこのまよりおちは衣と身にうつりけれ
GOSE031908008 袖にうつる月のひかりは秋ことに今夜かはらぬ影と見えつゝ
GOSE032008009 秋のよの月にかさなるくもはれてひかりさやかに見るよしも哉
GOSE000008010 小野美材」41オ
GOSE032108101 秋の池の月のうへにこく船なれは桂の枝にさほやさはらん
GOSE000008102 ふかやふ
GOSE032208103 あきの海にうつれる月を立かへり浪はあらへと色もかはらす
GOSE000008104 是貞のみこの家の哥合に
GOSE000008105 よみ人しらす
GOSE032308106 秋の夜の月の光はきよけれと人の心のくまはてらさす
GOSE032408107 あきの月常にかくてる物ならはやみにふる身はましらさらまし
GOSE000008108 八月十五夜(八月十五夜=は月のとうかあまりいつかのよ<朱>) 藤原雅正
GOSE032508109 いつとても月見ぬ秋はなき物をわきて今夜のめつらしき哉
GOSE000008110 よみ人しらす」41ウ
GOSE032608201 月影はおなしひかりの秋の夜をわきて見ゆるは心なりけり
GOSE000008202 月を見て 紀淑光朝臣
GOSE032708203 そらとをみ秋やよくらん久方の月の桂の色もかはらぬ
GOSE000008204 つらゆき
GOSE032808205 衣手はさむくもあらねと月影をたまらぬ秋の雪とこそ見れ
GOSE000008206 よみ人しらす
GOSE032908207 あまの河しからみかけてとゝめ南あかすなかるゝ月やよとむと
GOSE033008208 秋風に浪やたつらん天河わたるせもなく月のなかるゝ
GOSE033108209 あきくれは思心そみたれつゝまつもみちはとちりまさりける
GOSE000008210 ふかやふ
GOSE033208211 きえかへり物思秋の衣こそ涙の河の紅葉なりけれ」42オ
GOSE000008301 よみ人しらす
GOSE033308302 吹風に深きたのみのむなしくは秋の心をあさしとおもはむ
GOSE033408303 秋の夜は人をしつめてつれ/\とかきなすことのねにそなきぬる
GOSE000008304 つゆをよめる 藤原清正
GOSE033508305 ぬきとむる秋しなけれは白露のちくさにをける玉もかひなし
GOSE000008306 八月十五夜(八月十五夜=はつきのとうかあまりいつかのよ<朱>)
GOSE033608307 秋風にいとゝふけゆく月影をたちなかくしそあまの河きり
GOSE000008308 延喜御時秋哥めし(し+あり<朱>)けれはたてまつりける
GOSE000008309 貫之
GOSE033708310 をみなへしにほへる秋のむさしのは常よりも猶むつましき哉
GOSE000008311 人につかはしける 兼覧王」42ウ
GOSE033808401 秋霧のはるゝはうれしをみなへし立よる人やあらんと思へは
GOSE000008402 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE033908403 をみなへし草むらことにむれたつは誰松虫の声に迷そ
GOSE034008404 女郎花ひる見てましを秋の夜の月の光は雲かくれつゝ
GOSE034108405 をみなへし花のさかりにあき風のふくゆふくれを誰にかたらん
GOSE000008406 つらゆき
GOSE034208407 白妙の衣かたしき女郎花さけるのへにそこよひねにける
GOSE034308408 (無<朱>)名にしおへはしひてたのまむ女郎花はなの心の秋はうくとも
GOSE000008409 みつね
GOSE034408410 織女にゝたる物(物=花<朱>)哉女郎花秋よりほかにあふ時もなし
GOSE000008411 よみ人しらす」43オ
GOSE034508501 秋の野によるもやねなんをみなへし花の名をのみ思かけつゝ
GOSE034608502 をみなへし色にもある哉松虫をもとにやとして誰をまつ覧
GOSE000008503 前栽にをみなへし侍ける所にて
GOSE034708504 女郎花にほふさかりを見る時そわかおいらくはくやしかりける
GOSE000008505 すまひのかへりあるしのくれつかたをみなへしを
GOSE000008506 おりてあつよしのみこのかさしにさすとて
GOSE000008507 三条右大臣
GOSE034808508 をみなへし花のなゝらぬ物ならは何かは君かゝさしにもせん
GOSE000008509 (\<朱>)年ころ家のむすめにせうそこかよはし侍けるを女
GOSE000008510 のためにかる/\しなといひてゆるさぬあひたになん侍ける」43ウ
GOSE000008601 法皇伊勢か家のをみなへしをめしけれは
GOSE000008602 たてまつるをきゝて
GOSE000008603 枇把左大臣
GOSE00000860301【枇把左大臣】-仲平兼左大将昭宣公三男
GOSE034908604 女郎花折釼袖のふしことにすきにし君を思いてやせし
GOSE000008605 返し 伊勢
GOSE035008606 をみなへしおりもおらすもいにしへをさらにかくへき
GOSE035008607 物ならなくに
GOSE000008608 (巻第六<朱>)」44オ
GOSE000008701 後撰和歌集巻第七
GOSE000008702 秋(秋+哥<朱>)下
GOSE000008703 題しらす よみ人も
GOSE035108704 ふち袴きる人なみや立なからしくれの雨にぬらしそめつる
GOSE035208705 秋風にあひとしあへは花すゝきいつれともなくほにそいてける
GOSE000008706 寛平御時きさいの宮の哥合に
GOSE000008707 在原棟梁
GOSE035308708 花すゝきそよともすれは秋風のふくかとそきくひとりぬるよは
GOSE000008709 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)」44ウ
GOSE035408801 はなすゝきほにいてやすき草なれは身にならむとはたのまれなくに
GOSE035508802 秋風にさそはれわたる雁かねは雲ゐはるかにけふそきこゆる
GOSE000008803 こしの方に思ふ人侍ける時に
GOSE000008804 つらゆき
GOSE035608805 秋のよに雁かもなきてわたるなりわか思ふ人の事つてやせし
GOSE000008806 題しらす
GOSE035708807 あき風に霧とひわけてくるかりの千世にかはらぬ声きこゆなり
GOSE000008808 よみ人しらす
GOSE035808809 物思と月日のゆくもしらさりつかりこそなきて秋とつけつれ
GOSE000008810 やまとにまかりけるついてに
GOSE035908811 かりかねのなきつるなへに唐衣たつたの山はもみちしにけり」45オ
GOSE000008901 題しらす
GOSE036008902 秋風にさそはれ渡かりかねは物思人のやとをよか南
GOSE036108903 誰きけと鳴雁金そわかやとのお花か末を過かてにして
GOSE036208904 往還りこゝもかしこも旅なれやくる秋ことにかり/\となく
GOSE036308905 秋ことにくれとかへれはたのまぬを声にたてつゝかりとのみなく
GOSE036408906 ひたすらにわかおもはなくにをのれさへかり/\とのみなきわたるらん
GOSE000008907 人のかりはきにけりと申すをきゝて
GOSE000008908 みつね
GOSE036508909 年ことに雲地まとはぬかりかねは心つからや秋をしるらむ
GOSE000008910 やまとにまかりける時かれこれともにて
GOSE000008911 よみ人しらす」45ウ
GOSE036609001 天河かりそとわたるさほ山のこすゑはむへも色つきにけり
GOSE000009002 兼輔朝臣左近少将に侍ける時むさしの御むま
GOSE00000900201【兼輔朝臣】-延喜十三年左少将蔵人十七年蔵人頭十一月四位十九年中将
GOSE000009003 むかへにまかりたつ日にはかにさはることありてか
GOSE000009004 はりにおなしつかさの少将にてむかへにまかりて
GOSE000009005 あふさかより随身をかへしていひをくり侍ける
GOSE000009006 藤原忠房朝臣
GOSE00000900601【藤原忠房朝臣】-延喜十一年左少将十八年四位止少将
GOSE036709007 秋きりのたちのゝ駒をひく時は心にのりて君そこひしき
GOSE000009008 題しらす 在原元方
GOSE036809009 いその神ふるのゝ草も秋は猶色ことにこそあらたまりけれ
GOSE000009010 よみ人しらす」46オ
GOSE036909101 秋の野ゝ錦のことも見ゆる哉色なきつゆはそめしと思に
GOSE037009102 あきのゝにいかなるつゆのをきつめはちゝの草葉の色かはるらん
GOSE037109103 いつれをかわきてしのはむ秋のゝにうつろはむとて色かはる草
GOSE000009104 紀友則
GOSE037209105 声たてゝなきそしぬへき秋きりに友まとはせるしかにはあらねと
GOSE000009106 よみ人しらす
GOSE037309107 誰きけと声高砂にさをしかのなか/\し夜をひとりなくらん
GOSE037409108 打はへて影とそたのむ峯の松色とる秋の風にうつるな
GOSE037509109 (有<朱>)はつしくれふれは山へそおもほゆるいつれの方かまつもみつらん
GOSE03750910901【はつしくれ】-在冬初諸本同
GOSE037609110 いもかひもとくとむすふとたつた山今そ紅葉の錦をりける」46ウ
GOSE037709201 雁なきて寒き朝の露ならし龍田の山をもみたす物は
GOSE037809202 見ることに秋にもなる哉たつたひめもみちそむとや山もきるらん
GOSE000009203 源宗朝臣
GOSE037909204 梓弓いるさの山は秋きりのあたることにや色まさる覧
GOSE000009205 はらからとちいかなることか侍けん
GOSE000009206 よみ人しらす
GOSE038009207 君と我いもせの山も秋くれは色かはりぬる物にそありける
GOSE000009208 題しらす もとかた
GOSE038109209 をそくとく色つく山のもみちはゝをくれさきたつゝゆやをくらん
GOSE000009210 たつた山をこゆとて とものり
GOSE038209211 かく許もみつる色のこけれはや錦たつたの山といふらむ」47オ
GOSE000009301 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE038309302 唐衣たつたの山のもみちはゝ物思人のたもとなりけり
GOSE000009303 もる山をこゆとて つらゆき
GOSE038409304 葦引の山の山もりもる山も紅葉せさする秋はきにけり
GOSE000009305 題しらす
GOSE038509306 唐錦たつたの山も今よりはもみちなからにときはならなん
GOSE038609307 から衣たつたの山のもみちはゝはた物もなき錦なりけり
GOSE000009308 人/\もろともにはまつらをまかるみちに山の
GOSE000009309 もみちをこれかれよみ侍けるに
GOSE000009310 たゝみね
GOSE038709311 いく木ともえこそ見わかね秋山のもみちの錦よそにたてれは
GOSE000009312 題しらす よみ人も」47ウ
GOSE038809401 秋風のうち吹からに山ものもなへて錦にをりかへす哉
GOSE038909402 なとさらに秋かとゝはむからにしきたつたの山の紅葉するよを
GOSE039009403 あたなりと我は見なくにもみちはを色のかはれる秋しなけれは
GOSE000009404 つらゆき
GOSE039109405 玉かつら葛木山のもみちはゝおもかけにのみゝえわたる哉
GOSE039209406 秋霧のたちしかくせはもみちはゝおほつかなくてちりぬへら也
GOSE000009407 鏡山をこゆとて そせいほうし
GOSE039309408 かゝみ(み+やま)山かきくもりしくるれともみちあかくそ秋は見えける
GOSE000009409 となりにすみ侍ける時九月八日伊勢か家の菊に
GOSE000009410 わたをきせにつかはしたりけれは又のあしたおりてかへすとて」48オ
GOSE000009501 伊勢
GOSE039409502 かすしらす君かよはひをのはへつゝなたゝるやとのつゆとなら南
GOSE000009503 返し 藤原雅正
GOSE039509504 露たにも名たゝるやとの菊ならは花のあるしやいくよなるらん
GOSE000009505 九月九日(九月九日=なか月のこゝぬか<朱>)つるのなくなりにけれは
GOSE000009506 伊勢
GOSE039609507 菊のうへにをきゐるへくもあらなくにちとせの身をもつゆになすかな
GOSE000009508 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE039709509 きくの花長月ことにさきくれはひさしき心秋やしるらむ
GOSE039809510 名にしおへはなか月ことに君かためかきねの菊はにほへとそ思
GOSE000009511 ほかのきくをうつしうへて」48ウ
GOSE039909601 旧里を別てさける菊の花たひなからこそにほふへらなれ
GOSE000009602 をとこのひさしうまてこさりけれは
GOSE040009603 何に菊色そめかへしにほふ覧花もてはやす君もこなくに
GOSE000009604 月よに紅葉のちるを見て
GOSE040109605 もみちはのちりくる見れは長月のありあけの月の桂なるらし
GOSE000009606 題しらす
GOSE040209607 いくちはたをれはか秋の山ことに風にみたるゝ錦なるらん
GOSE040309608 なをさりに秋の山へをこえくれはをらぬ錦をきぬ人そなき
GOSE040409609 もみちはをわけつゝゆけは錦きて家に帰と人や見るらん
GOSE000009610 つらゆき
GOSE040509611 うちむれていさわきもこかかゝみ山こえてもみちのちらむかけ見む」49オ
GOSE000009701 よみ人しらす
GOSE040609702 山かせのふきのまに/\もみちはゝこのもかのもにちりぬへら也
GOSE040709703 秋の夜に雨ときこ江てふりつるは風にみたるゝ紅葉なりけり
GOSE040809704 立よりて見るへき人のあれはこそ秋の林にゝしきしくらめ
GOSE040909705 このもとにをらぬ錦のつもれるは雲の林のもみちなりけり
GOSE041009706 秋風にちるもみちはゝをみなへしやとにをりしく錦なりけり
GOSE041109707 葦引の山のもみちはちりにけり嵐のさきに見てまし物を
GOSE041209708 もみちはのふりしく秋の山へこそたちてくやしきにしきなりけれ
GOSE041309709 たつた河色紅になりにけり山のもみちそ今はちるらし
GOSE000009710 つらゆき」49ウ
GOSE041409801 龍田河秋にしなれは山ちかみなかるゝ水も紅葉しにけり
GOSE000009802 よみ人しらす
GOSE041509803 もみち葉のなかるゝ秋は河ことに錦あらふと人や見るらん
GOSE041609804 たつた河秋は水なくあせなゝんあかぬ紅葉のなかるれはおし
GOSE000009805 文室朝康
GOSE041709806 浪わけて見るよしも哉わたつみのそこのみるめもゝみちゝるやと
GOSE000009807 藤原興風
GOSE041809808 この葉ちる浦に浪たつ秋なれはもみちに花もさきまかひけり
GOSE000009809 よみ人しらす
GOSE041909810 わたつみの神にたむくる山姫のぬさをそ人はもみちといひける
GOSE000009811 つらゆき」50オ
GOSE042009901 ひくらしの声もいとなくきこゆるは秋ゆふくれになれはなりけり
GOSE000009902 よみ人しらす
GOSE042109903 風のをとの限と秋やせめつらんふきくることに声のわひしき
GOSE042209904 もみちはにたまれるかりのなみたには月の影こそ移るへらなれ
GOSE000009905 あひしりて侍けるおとこのひさしうとはす侍けれ
GOSE000009906 はなか月はかりにつかはしける
GOSE000009907 右近
GOSE00000990701【右近】-季縄女
GOSE042309908 おほかたの秋のそらたにわひしきに物思ひそふる君にもある哉
GOSE000009909 題しらす よみ人も
GOSE042409910 わかことく物思ひけらしゝらつゆのよをいたつらにをきあかしつゝ
GOSE000009911 あひしりて侍ける人のち/\まてこすなりにけれは」50ウ
GOSE000010001 おとこのおやきゝて猶まかりとへと申をしふと
GOSE000010002 きゝてのちにまてきたりけれは
GOSE000010003 平伊望朝臣女
GOSE00001000301【平伊望朝臣女】-大納言天慶二年薨
GOSE042510004 秋ふかみよそにのみきくしらつゆのたかことのはにかゝるなるらん
GOSE000010005 かれにけるおとこの秋とへりけるに
GOSE000010006 むかしの承香殿のあこき
GOSE042610007 とふことの秋しもまれにきこゆるはかりにや我を人のたのめし
GOSE000010008 紅葉と色こきさいてとを女のもとにつかはして
GOSE000010009 みなもとのとゝのふ
GOSE042710010 君こふと涙にぬるゝわか袖と秋のもみちといつれまされり
GOSE000010011 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)」51オ
GOSE042810101 てる月の秋しもことにさやけきはちるもみちはをよるも見よとか
GOSE000010102 故宮の内侍に兼輔朝臣しのひてかよはし侍
GOSE000010103 けるふみをとりてかきつけて内侍につかはしける
GOSE042910104 なとわか身したはもみちと成にけんおなしなけ木の枝にこそあれ
GOSE000010105 秋やみなる夜かれこれものかたりし侍あひた
GOSE000010106 かりのなきわたり侍けれは
GOSE000010107 源わたす
GOSE00001010701【源わたす】-済
GOSE043010108 あかゝらは見るへき物をかりかねのいつこ許になきてゆくらん
GOSE000010109 菊花おれりとて人のいひ侍けれは
GOSE000010110 よみひとしらす」51ウ
GOSE043110201 徒に露にをかるゝ花かとて心もしらぬ人やおりけん
GOSE000010202 身のなりいてぬことなとなけき侍けるころ
GOSE000010203 紀友則かもとよりいかにそとゝひをこせて侍
GOSE000010204 けれは返事に菊花をゝりてつかはしける
GOSE000010205 藤原忠行
GOSE043210206 枝も葉もうつろふ秋の花(花=きく<朱>)見れはゝてはかけなくなりぬへら也
GOSE000010207 返し とものり
GOSE043310208 しつくもてよはひのふてふ花なれはちよの秋にそ影はしけらん
GOSE000010209 延喜御時秋哥めしありけれはたてまつりける
GOSE000010210 つらゆき
GOSE043410211 秋の月ひかりさやけみもみちはのおつる影さへ見えわたる哉」52オ
GOSE000010301 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE043510302 秋ことにつらをはなれぬかりかねは春帰ともかへらさら南
GOSE000010303 おとこの花かつらゆはんとて菊ありときく所に
GOSE000010304 こひにつかはしたりけれは花にくはへて
GOSE000010305 つかはしける
GOSE043610306 みな人におられにけりと菊の花君かためにそつゆはをきける
GOSE000010307 題しらす
GOSE043710308 吹風にまかする舟や秋のよの月のうへよりけふはこくらん
GOSE000010309 もみちのちりつもれる木のもとにて
GOSE043810310 もみちはゝちるこのもとにとまりけり過行秋やいつちなるらむ
GOSE000010311 わすれにけるおとこのもみちをゝりてをくりて侍けれは」52ウ
GOSE043910401 思いてゝ問にはあらし秋はつる色の限を見するなるらん
GOSE000010402 なか月のつこもりの日もみちにひおをつけて
GOSE000010403 をこせて侍けれは
GOSE000010404 ちかぬかむすめ
GOSE044010405 宇治山の紅葉を見すは長月のすきゆくひをもしらすそあらまし
GOSE000010406 九月つこもりに つらゆき
GOSE044110407 長月の在明の月はありなからはかなく秋はすきぬへら也
GOSE000010408 おなしつこもりに(に=の夜<朱>) みつね
GOSE044210409 いつ方に夜はなりぬらんおほつかなあけぬかきりは
GOSE000010410 秋そとおもはん
GOSE000010411 (巻第七<朱>)」53オ
GOSE000010501 後撰和歌集巻第八
GOSE000010502 冬(冬+哥<朱>)
GOSE000010503 題しらす よみ人も(も$しらす<朱>)
GOSE044310504 はつ時雨ふれは山へそおもほゆるいつれの方かまつもみつらん
GOSE04431050401【はつ時雨ふれは山へそおもほゆるいつれの方かまつもみつらん】-在秋部
GOSE044410505 はつしくれふるほともなくさほ山の梢あまねくうつろひにけり
GOSE044510506 神な月ふりみふらすみ定なき時雨そ冬の始なりける
GOSE044610507 冬くれはさほの河せにゐるたつもひとりねかたきねをそなくなる
GOSE044710508 ひとりぬる人のきかくに神な月にはかにもふるはつ時雨哉
GOSE044810509 秋はてゝ時雨ふりぬる我なれはちることのはをなにかうらみむ」53ウ
GOSE044910601 吹風は色も見えねと冬くれはひとりぬるよの身にそしみける
GOSE045010602 秋はてゝわか身しくれにふりぬれは事の葉さへにうつろひにけり
GOSE045110603 神な月時雨とゝもにかみなひのもりのこのはゝふりにこそふれ
GOSE000010604 女につかはしける
GOSE045210605 たのむ木もかれはてぬれは神な月時雨にのみもぬるゝころ哉
GOSE000010606 山へいるとて 増基法師
GOSE045310607 神な月時雨許を身にそへてしらぬ山地に入そかなしき
GOSE000010608 かみな月許に大江千古かもとにあはむとてまかりたり
GOSE000010609 けれとも侍らぬほとなれはかへりまてきてたつねて
GOSE000010610 つかはしける 藤原忠房朝臣」54オ
GOSE045410701 もみちはゝおしき錦と見しかとも時雨とゝもにふりてゝそこし
GOSE000010702 返し 大江千古
GOSE045510703 もみちはも時雨もつらしまれにきてかへらむ人をふりやとゝめぬ
GOSE000010704 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE045610705 神な月限とや思もみちはのやむ時もなくよるさへにふる
GOSE045710706 ちはやふる神かき山のさか木はゝ時雨に色もかはらさりけり
GOSE000010707 すまぬ家にまてきて紅葉にかきていひつかはしける
GOSE000010708 批杷左大臣
GOSE045810709 人すますあれたるやとをきて見れは今そこのはゝ錦をりける
GOSE000010710 返し 伊勢」54ウ
GOSE045910801 涙さへ時雨にそひてふるさとは紅葉の色もこさまさりけり
GOSE000010802 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE046010803 冬の池の鴨のうはけにをくしものきえて物思ころにもある哉
GOSE000010804 おやのほかにまかりてをそくかへりけれはつかはしける
GOSE000010805 人のむすめのやつなりける
GOSE046110806 神な月時雨ふるにもくるゝ日を君まつほとはなかしとそ思
GOSE000010807 題しらす
GOSE046210808 身をわけて霜やをく覧あた人の事のはさへにかれもゆく哉
GOSE000010809 冬の日むさしにつかはしける
GOSE046310810 人しれす君につけてしわか袖のけさしもとけすこほるなるへし」55オ
GOSE000010901 題しらす
GOSE046410902 かきくらし霰ふりしけ白玉をしける庭とも人の見るへく
GOSE046510903 神な月しくるゝ時そみよしのゝ山のみゆきもふり始ける
GOSE046610904 けさの嵐寒くもある哉葦引の山かきくもり雪そふるらし
GOSE046710905 くろかみのしろくなりゆく身にしあれはまつはつ雪をあはれとそ見る
GOSE046810906 霰ふるみ山のさとのわひしきはきてたわやすくとふ人そなき
GOSE046910907 ちはやふる神な月こそかなしけれわか身時雨にふりぬと思へは
GOSE000010908 式部卿あつみのみこしのひてかよふ所侍けるを
GOSE000010909 のち/\たえ/\になり侍けれはいもうとの前斎
GOSE00001090916【いもうとの前斎宮のみこ】-柔子
GOSE000010910 宮のみこのもとよりこのころはいかにそとあり」55ウ
GOSE000011001 けれはその返事にをんな
GOSE047011002 しら山に雪ふりぬれはあとたえて今はこし地に人もかよはす
GOSE000011003 雪のあしたおいをなけきて
GOSE000011004 つらゆき
GOSE047111005 ふりそめて友まつ雪はむはたまのわかくろかみのかはるなりけり
GOSE000011006 返し 兼輔朝臣
GOSE047211007 くろかみの色ふりかふる白雪のまちいつる友はうとくそ有ける
GOSE000011008 又 つらゆき
GOSE047311009 くろかみと雪とのなかのうき見れはともかゝみをもつらしとそ思
GOSE000011010 返し 兼輔朝臣
GOSE047411011 年ことにしらかのかすをますかゝみ見るにそ雪の友はしりける」56オ
GOSE000011101 題しらす よみ人も
GOSE047511102 年ふれと色もかはらぬ松かえにかゝれる雪を花とこそ見れ
GOSE047611103 霜かれの枝となわひそ白雪のきえぬ限は花とこそみれ
GOSE047711104 氷こそ今はすらしもみよしのゝ山のたきつせこゑもきこ江す
GOSE047811105 夜をさむみねさめてきけはをしそなく払もあへす霜やをくらん
GOSE000011106 雪のすこしふる日女につかはしける
GOSE000011107 藤原かけもと
GOSE047911108 かつきえてそらにみたるゝあは雪は物思ふ人の心なりけり
GOSE000011109 師氏朝臣のかりして家のまへよりまかりける
GOSE00001110901【師氏朝臣】-師氏天慶七参議天徳四年中納言安和二大納言天禄元薨
GOSE000011110 をきゝて よみ人しらす」56ウ
GOSE048011201 白雪のふりはへてこそとはさらめとくるたよりをすくさゝらなん
GOSE000011202 題しらす
GOSE048111203 思つゝねなくにあくる冬の夜の袖の氷はとけすもある哉
GOSE048211204 荒玉の年を渡てあるかうへにふりつむ雪のたえぬしら山
GOSE048311205 まこもかるほり江にうきてぬるかもの今夜の霜にいかにわふらん
GOSE048411206 白雲のおりゐる山と見えつるはふりつむ雪のきえぬなりけり
GOSE048511207 ふるさとの雪は花とそふりつもるなかむる我も思きえつゝ
GOSE048611208 なかれゆく水こほりぬる冬さへや猶うき草のあとはとゝめぬ
GOSE048711209 心あてに見はこそわかめ白雪のいつれか花のちるにたかへる
GOSE048811210 天河冬は氷にとちたれやいしまにたきつをとたにもせぬ」57オ
GOSE048911301 をしなへて雪のふれゝはわかやとのすきを尋て問人もなし
GOSE049011302 冬の池の水になかるゝあしかものうきねなからにいくよへぬらん
GOSE049111303 山ちかみめつらしけなくふる雪のしろくやならん年つもりなは
GOSE049211304 松の葉にかゝれる雪のそれをこそ冬の花とはいふへかりけれ
GOSE049311305 ふる雪はきえてもしはしとまら南花もゝみちも枝になきころ
GOSE049411306 涙河身なく許のふちはあれと氷とけねはゆく方もなし
GOSE049511307 ふる雪に物思わか身おとらめやつもり/\てきえぬ許そ
GOSE049611308 よるならは月とそ見ましわかやとの庭白妙にふりつもるゆき
GOSE049711309 むめかえにふりをける雪を春ちかみめのうちつけに花かとそ見る
GOSE049811310 いつしかと山の桜もわかことく年のこなたにはるをまつらん」57ウ
GOSE049911401 年深くふりつむ雪を見る時そこしのしらねにすむ心ちする
GOSE050011402 としくれて春あけかたになりぬれは花のためしにまかふ白雪
GOSE050111403 春ちかくふる白雪はをくら山峯にそ花のさかりなりける
GOSE050211404 冬の池にすむにほとりのつれもなくしたにかよはむ人にしらすな
GOSE05021140401【冬の池にすむにほとりのつれもなくしたにかよはむ人にしらすな】-古今
GOSE050311405 むはたまのよるのみふれる白雪はてる月影のつもるなりけり
GOSE050411406 この月の年のあまりにたらさらはうくひすはゝやなきそしなまし
GOSE050511407 関こゆる道とはなしにちかなから年にさはりて春をまつ哉
GOSE000011408 みくしけとのゝ別当にとしをへていひ(いひ=のたうひ<朱>)わたり
GOSE000011409 侍(侍$)けるをえあはすしてそのとしのしはすの
GOSE000011410 つこもりの日つかはしける」58オ
GOSE000011501 藤原敦忠朝臣
GOSE050611502 物思とすくる月日もしらぬまにことしはけふにはてぬ
GOSE050611503 とかきく
GOSE000011504 (巻第八<朱>)」58ウ
GOSE000011601 後撰和歌集巻第九
GOSE000011602 恋(恋+哥<朱>)一
GOSE000011603 からうしてあひしりて侍ける人につゝむ
GOSE000011604 ことありて(て+又<朱>)あひかたく侍けれは
GOSE000011605 源宗于朝臣
GOSE050711606 あつま地のさやの中山中/\にあひ見てのちそわひしかりける
GOSE000011607 しのひたりける人にものかたりし侍ける
GOSE000011608 を人のさはかしく侍けれはまかりかへりてつか
GOSE000011609 はしける つらゆき」59オ
GOSE050811701 暁と何かいひけむわかるれは夜ゐもいとこそわひしかりけれ
GOSE000011702 源のおほきかゝよひ侍けるをのち/\はまからす
GOSE000011703 なり侍にけれはとなりのかへのあなよりおほき
GOSE000011704 をはつかに見てつかはしける
GOSE000011705 するか
GOSE050911706 まとろまぬかへにも人を見つる哉まさしから南春の夜の夢
GOSE000011707 あひしりて侍ける人のもとに返事見むとて
GOSE000011708 つかはしける
GOSE000011709 元良のみこ
GOSE051011710 くや/\とまつゆふくれと今はとてかへる朝といつれまされり」59ウ
GOSE000011801 返し 藤原かつみ
GOSE051111802 ゆふくれは松にもかゝる白露のをくる朝やきえはゝつらむ
GOSE000011803 やまとにあひしりて侍ける人のもとにつか
GOSE000011804 はしける よみ人しらす
GOSE051211805 うち返し君そこひしきやまとなるふるのわさ田の思いてつゝ
GOSE000011806 返し
GOSE051311807 秋の田のいねてふ事をかけしかは思いつるかうれしけもなし
GOSE000011808 女につかはしける
GOSE051411809 人こふる心許はそれなから我はわれにもあらぬなりけり
GOSE000011810 まかる所しらせす侍けるころ又あひしりて
GOSE000011811 侍けるおとこのもとより日ころたつねわひて」60オ
GOSE000011901 うせにたるとなむ思つるといへりけれは
GOSE000011902 伊勢
GOSE051511903 おもひ河たえすなかるゝ水のあはのうたかた人にあはてきえめや
GOSE000011904 題しらす 三統公忠
GOSE051611905 思やる心はつねにかよへとも相坂の関こえすもある哉
GOSE000011906 女につかはしける よみ人しらす
GOSE051711907 きえはてゝやみぬ許か年をへて君を思ひのしるしなけれは
GOSE000011908 返し
GOSE051811909 おもひたにしるしなしてふわか身にそあはぬなけきのかすはもえける
GOSE000011910 題しらす
GOSE051911911 ほしかてにぬれぬへき哉唐衣かはくたもとの世々になけれは」60ウ
GOSE052012001 世とゝもにあふくま河のとをけれはそこなる影を見ぬそわひしき
GOSE052112002 わかことくあひ思ふ人のなき時は深き心もかひなかりけり
GOSE052212003 いつしかとわか松山に今はとてこゆなる浪にぬるゝ袖哉
GOSE000012004 女のもとにつかはしける
GOSE052312005 ひとことはまこと也けりしたひものとけぬにしるき心と思へは
GOSE052412006 結をきしわかしたひもの今まてにとけぬは人のこひぬ也けり
GOSE000012007 女の(の+人の)もとにつかはしける
GOSE052512008 ほかのせはふかくなるらしあすか河昨日のふちそわか身なりける
GOSE000012009 返し
GOSE052612010 ふちせともいさやしら浪立さはくわか身ひとつはよる方もなし」61オ
GOSE000012101 題しらす
GOSE052712102 ひかりまつゝゆに心をゝける身はきえかへりつゝ世を(を+そ)うらむる
GOSE000012103 ある所に近江といひける人のもとにつかはしける
GOSE052812104 しほみたぬうみときけはや世とゝもにみるめなくして年のへぬらん
GOSE000012105 あつよしのみこまうてきたりけれとあはすして
GOSE000012106 かへして又のあしたにつかはしける
GOSE000012107 桂のみこ
GOSE052912108 唐衣きて帰にしさよすからあはれと思ふをうらむらんはた
GOSE000012109 あひまちける人のひさしうせうそこなかりけれは
GOSE000012110 つかはしける きのめのと
GOSE00001211007【きのめのと】-陽成院乳母
GOSE053012111 影たにも見えすなりゆく山の井はあさきより又水やたえにし」61ウ
GOSE000012201 返し 平定文
GOSE053112202 浅してふ事をゆゝしみ山の井はほりし濁に影は見えぬそ
GOSE000012203 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE053212204 いくたひかいくたの浦に立帰浪にわか身を打ぬらすらん
GOSE000012205 返し
GOSE053312206 立帰りぬれてはひぬるしほなれはいくたの浦のさかとこそ見れ
GOSE000012207 女のもとに
GOSE053412208 逢事はいとゝ雲井の(雲井の=しらくも<朱>)おほそらにたつ名のみしてやみぬ許か
GOSE000012209 返し
GOSE053512210 よそなからやまんともせす逢事は今こそ雲のたえまなるらめ
GOSE000012211 又おとこ」62オ
GOSE053612301 今のみとたのむなれとも白雲のたえまはいつかあらんとすらん
GOSE000012302 題しらす
GOSE053712303 をやみせす雨さへふれは沢水のまさる覧ともおもほゆる哉
GOSE053812304 夢に谷見る事そなき年をへて心のとかにぬる夜なけれは
GOSE053912305 見そめすてあらまし物を唐衣たつ名のみしてきるよなき哉
GOSE000012306 女のもとにつかはしける
GOSE054012307 枯はつる花の心はつらからて時すきにける身をそうらむる
GOSE000012308 返し
GOSE054112309 あたにこそちると見るらめ君にみなうつろひにたる花の心を
GOSE000012310 そのほとに帰こんとてものにまかりける人のほとをす
GOSE000012311 くしてこさりけれはつかはしける
GOSE054212312 こむといひし月日をすくすをはすての山のはつらき物にそ有ける」62ウ
GOSE000012401 返し
GOSE054312402 月日をもかそへける哉君こふるかすをもしらぬわか身なに也
GOSE000012403 女に年をへて心さしあるよしをのたうひわたり
GOSE000012404 けり女猶ことしをたにまちくらせとたのめける
GOSE000012405 をその年もくれてあくる春まていとつれなく侍けれは
GOSE054412406 このめはる/\の山田を打返し思やみにし人そこひしき
GOSE05441240601【このめはる/\の山田を打返し思やみにし人そこひしき】-在春中諸本同
GOSE000012407 心さし有なからえあはす侍ける女のもとにつかはしける
GOSE000012408 贈太政大臣
GOSE00001240801【贈太政大臣】-時平左大臣左大将
GOSE054512409 ころをへてあひ見ぬ時は白玉の涙も春は色まさり(まさり=かはり<朱>)けり
GOSE000012410 返し 伊勢
GOSE054612411 人こふる涙は春そぬるみけるたえぬおもひのわかすなるへし」63オ
GOSE000012501 おとこのこゝかしこにかよひすむ所おほくてつねに
GOSE000012502 しもとはさりけれは女も又色このみなる名たちけ
GOSE000012503 るをうらみ侍ける返事に
GOSE000012504 源たのむかむすめ
GOSE00001250401【源たのむかむすめ】-頼
GOSE054712505 つらし鞆いかゝ怨む郭公わかやとちかくなく声はせて
GOSE000012506 返し あつよしのみこ
GOSE054812507 里ことに鳴こそ渡れ郭公すみか定ぬ君たつぬとて
GOSE000012508 えかたかるへき女を思かけてつかはしける
GOSE000012509 春道のつらき
GOSE054912510 かすならぬみ山かくれの郭公人しれぬねをなきつゝそふる
GOSE000012511 いとしのひたる女にあひかたらひてのち人めに」63ウ
GOSE000012601 つゝみて又あひかたく侍けれは
GOSE000012602 これたゝのみこ
GOSE00001260201【これたゝのみこ】-是忠光孝第一一品式部卿延喜廿年出家
GOSE055012603 逢事のかた糸そとはしりなから玉のを許何によりけん
GOSE000012604 女のもとより忘草(忘草=萱草の花<朱>)にふみをつけてをこせて侍けれは
GOSE000012605 よみ人しらす
GOSE055112606 思とはいふ物からにともすれはわするゝ草の花にやはあらぬ
GOSE000012607 返し たいふのこといふ人
GOSE055212608 うへて見る我はわすれてあたひとにまつわすらるゝ花にそ有ける
GOSE000012609 平定文かもとよりなにはの方へなむまかると
GOSE000012610 いひをくりて侍けれは
GOSE000012611 土左
GOSE055312612 浦わかすみるめかるてふあまの身は何かなにはの方へしもゆく」64オ
GOSE000012701 返し 定文
GOSE055412702 君を思ふかさくらへにつのくにのほり江見にゆく我にやはあらぬ
GOSE000012703 つらくなりにける人につかはしける
GOSE000012704 伊勢
GOSE055512705 いかてかく心ひとつをふたしへにうくもつらくもなして見すらん
GOSE000012706 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE055612707 ともすれは玉にくらへしますかゝみひとのたからと見るそ悲き
GOSE000012708 しのひたる人につかはしける
GOSE055712709 いはせ山(山=河<朱>)谷のした水うちしのひ人の見ぬまは流てそふる
GOSE000012710 人をあひしりてのちひさしうせうそこもつか
GOSE000012711 はさゝりけれは
GOSE055812712 うれしけに君かたのめし事のはゝかたみにくめる水にそ有ける」64ウ
GOSE000012801 題しらす
GOSE055912802 ゆきやらぬ夢地にまとふたもとにはあまつそらなきつゆそをきける
GOSE056012803 身はゝやくならの宮こと成にしをこひしきことのまたもふりぬか
GOSE056112804 住吉の岸の白浪よる/\はあまのよそめに見るそ悲き
GOSE056212805 君こふとぬれにし袖のかはかぬは思ひの外にあれはなりけり
GOSE056312806 あはさりし時いかなりし物とてかたゝいまのまも見ねはこひしき
GOSE056412807 世中にしのふるこひのわひしきはあひてのゝちのあはぬなりけり
GOSE056512808 恋をのみ常にするかの山なれはふしのねにのみなかぬ日はなし
GOSE056612809 君によりわか身そつらき玉たれの見すは恋しとおもはましやは」65オ
GOSE000012901 おとこのはしめて女のもとにまかりてあしたに
GOSE000012902 雨のふるにかへりてつかはしける
GOSE056712903 今そしるあかぬ別の暁は君をこひちにぬるゝ物とは
GOSE000012904 返し
GOSE056812905 よそにふる雨とこそきけおほつかな何をか人のこひ地といふらん
GOSE000012906 つらかりけるおとこに
GOSE056912907 たえはつる物とは見つゝさゝかにのいとをたのめる心ほそさよ
GOSE000012908 返し
GOSE057012909 うちわたし長き心はやつはしのくもてに思事はたえせし
GOSE000012910 思ふ人侍ける女に物のたうひけれとつれなかり
GOSE000012911 けれはつかはしける
GOSE057112912 思ふ人おもはぬ人の思ふ人おもはさら南思ひしるへく」65ウ
GOSE000013001 返し
GOSE057213002 こからしのもりのした草風はやみ人のなけ木はおひそひにけり
GOSE000013003 おとこのこと女むかふるを見ておやの家にまかり
GOSE000013004 かへるとて
GOSE057313005 別をは悲き物と聞しかとうしろやすくもおもほゆる哉
GOSE000013006 題しらす
GOSE057413007 なきたむるた本こほれるけさ見れは心とけても君をおもはす
GOSE057513008 身をわけてあらまほしくそおもほゆる人はくるしといひけるものを
GOSE057613009 雲井にて人をこひしと思哉我は葦へのたつならなくに
GOSE000013010 ひとにつかはしける
GOSE000013011 源ひとしの朝臣
GOSE00001301101【源ひとしの朝臣】-等中納言希男参議右大弁天暦五年薨
GOSE057713012 あさ地ふのをのゝしの原忍れとあまりてなとか人のこひしき」66オ
GOSE000013101 かねもり
GOSE057813102 雨やまぬのきの玉水かすしらす恋しき事のまさるころ哉
GOSE000013103 心みしかきやうにきこゆる人なりといひけれは
GOSE000013104 よみ人しらす
GOSE057913105 伊勢の海にはへてもあまるたくなはの長き心は我そまされる
GOSE000013106 人につかはしける
GOSE058013107 色にいてゝ恋すてふ名そたちぬへき涙にそむる袖のこけれは
GOSE058113108 かくこふる物としりせはよるはをきてあくれはきゆるつゆならましを
GOSE058213109 あひも見す歎もそめす有し時思事こそ身になかりしか
GOSE058313110 こひのことわりなき物はなかりけりかつむつれつゝかつそこひしき
GOSE000013111 女のもとにつかはしける」66ウ
GOSE058413201 わたつ海に深き心のなかりせは何かは君を怨しもせん
GOSE058513202 みな神にいのるかひなく涙河うきても人をよそに見る哉
GOSE000013203 返し
GOSE058613204 いのりけるみな神さへそうらめしきけふより外に影の見えねは
GOSE000013205 大輔につかはしける
GOSE000013206 右大臣
GOSE058713207 色深く染した本のいとゝしくなみたにさへもこさまさる哉
GOSE000013208 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE058813209 見る時は事そともなく見ぬ時はこと有かほに恋しきやなそ
GOSE000013210 おとこのこむとてこさりけれは
GOSE058913211 山さとのまきのいたともさゝさりきたのめし人をまちしよひより
GOSE000013212 はしめて女のもとにつかはしける」67オ
GOSE059013301 ゆく方もなくせかれたる山水のいはまほしくもおもほゆる哉
GOSE000013302 女につかはしける
GOSE059113303 人のうへのことゝしいへはしらぬ哉君も恋する折(折=時<朱>)もこそあれ
GOSE000013304 返し
GOSE059213305 つらからはおなし心につらからんつれなき人をこひむともせす
GOSE000013306 女につかはしける
GOSE059313307 人しれす思心はおほしまのなるとはなしになけくころ哉
GOSE000013308 おとこのもとにつかはしける
GOSE000013309 中務
GOSE059413310 はかなくておなし心になりにしを思ふかことは思らんやそ
GOSE000013311 返し 源信明
GOSE059513312 わひしさをおなし心ときくからにわか身をすてゝ君そかなしき」67ウ
GOSE000013401 まからすなりにける女の人に名たちけれは(れは=るをきゝて<朱>)つかはしける
GOSE059613402 定なくあたにちりぬる花よりはときはの松の色をやは見ぬ
GOSE000013403 返し よみ人しらす
GOSE059713404 住吉のわか身なりせは年ふとも松より外の色を見ましや
GOSE000013405 おとこにつかはしける
GOSE059813406 うつゝにもはかなきことのあやしきはねなくにゆめの見ゆる(の見ゆる=とおもふ<朱>)なりけり
GOSE000013407 女のあはす侍けるに
GOSE059913408 白浪のよる/\岸に立よりてねも見し物をすみよしの松
GOSE000013409 おとこにつかはしける
GOSE060013410 なからへてあらぬまてにも事の葉の
GOSE000013411 ふかきはいかにあはれなりけり
GOSE000013412 (巻第九<朱>)」68オ
GOSE000013501 後撰和歌集巻第十
GOSE000013502 恋(恋+哥<朱>)二
GOSE000013503 女のもとにはしめてつかはしける
GOSE000013504 藤原忠房朝臣
GOSE060113505 人を見て思ふおもひもある物をそらにこふるそはかなかりける
GOSE000013506 壬生忠岑
GOSE060213507 ひとりのみおもへはくるし如何しておなし心に人をゝしへむ
GOSE000013508 紀友則
GOSE060313509 わか心いつならひてか見ぬ人を思やりつゝこひしかる覧」68ウ
GOSE000013601 また年わかゝりける女につかはしける
GOSE000013602 源中正
GOSE060413603 葉をわかみほにこそいてね花すゝきしたの心にむすはさらめや
GOSE000013604 人をいひはしめむとて
GOSE000013605 兼覧王
GOSE060513606 あしひきの山したしけくはふくすの尋てこふる我としらすや
GOSE000013607 忠房朝臣
GOSE060613608 かくれぬに忍わひぬるわか身哉ゐてのかはつと成やしなまし
GOSE000013609 女のさうしによる/\たちよりつゝ物なといひ(いひ=のたうひ<朱>)てのち
GOSE000013610 藤原輔文
GOSE00001361001【藤原輔文】-一本輔仁」69オ
GOSE060713701 あふくまのきりとはなしに終夜立渡つゝ世をもふる哉
GOSE000013702 ふみつかはせとも返事もせさりける女のもとに
GOSE000013703 つかはしける よみ人しらす
GOSE060813704 あやしくもいとふにはゆる心哉いかにしてかは思ひやむへき
GOSE000013705 くにもちかをと(と+も<朱>)せさりけれはつかはしける
GOSE000013706 本院右京
GOSE060913707 ともかくもいふ事のはの見えぬ哉いつらはつゆのかゝり所は
GOSE000013708 題しらす 橘敏仲
GOSE061013709 わひ人のそほつてふなる涙河おりたちてこそぬれ渡けれ
GOSE000013710 返し 大輔」69ウ
GOSE061113801 ふちせとも心もしらす涙河おりやたつへきそてのぬるゝに
GOSE000013802 又 とし中
GOSE061213803 心みに猶おりたゝむなみたかはうれしきせにも流あふやと
GOSE000013804 わさとにはあらて時/\物いひふれ侍ける女の
GOSE000013805 心にもあらて人にさそはれてまかりにけれはと
GOSE000013806 のひ物にかきつけてつかはしける
GOSE000013807 藤原敦忠朝臣
GOSE061313808 かゝりける人の心をしらつゆのをける物ともたのみける哉
GOSE000013809 あひしりて侍ける女をひさしうとはす侍けれは
GOSE000013810 いといたうなむわひ侍と人のつけ侍けれは」70オ
GOSE000013901 藤原顕忠朝臣
GOSE00001390101【藤原顕忠朝臣】-富小路右大臣本院大臣二男
GOSE061413902 鴬の雲井にわひてなくこゑを春のさかとそ我はきゝつる
GOSE000013903 ふみかよはしける女のこと人にあひぬときゝてつか
GOSE000013904 はしける 平時望朝臣
GOSE00001390405【平時望朝臣】-権中納言承平七年任天暦元年薨
GOSE061513905 かく許常なき世とはしりなから人をはるかに何たのみけん
GOSE000013906 おとこのこさりけれはつかはしける
GOSE000013907 こまちかあね(あね=いとこ<朱>)
GOSE061613908 わかゝとのひとむらすゝきかりかはん君かてなれのこまもこぬ哉
GOSE000013909 題しらす 批杷左大臣
GOSE061713910 世を海のあはときえぬる身にしあれは怨る事そかすなかりける
GOSE000013911 返し 伊勢」70ウ
GOSE061814001 わたつみとたのめし事もあせぬれは我そわか身のうらはうらむる
GOSE000014002 人のもとにつかはしける 源ひとしの朝臣
GOSE00001400212【源ひとしの朝臣】-等
GOSE061914003 あつま地のさのゝふな橋かけてのみ思渡るをしる人のなさ
GOSE000014004 ひとにつかはしける 紀長谷雄朝臣
GOSE062014006 ふしてぬる夢地にたにもあはぬ身は猶あさましきうつゝとそ思
GOSE000014007 女につかはしける よみ人しらす
GOSE062114008 あまのとをあけぬ/\といひなしてそらなきしつる鳥のこゑ哉
GOSE062214009 終夜ぬれてわひつる唐衣相坂山にみちまとひして
GOSE000014010 おとこにつかはしける」71オ
GOSE062314101 おもへともあやなしとのみいはるれはよるの錦の心ちこそすれ
GOSE000014102 女のもとにつかはしける
GOSE062414103 をとにのみきゝこしみわの山よりもすきのかすをは我そ見えにし
GOSE000014104 をのれを思へたてたる心ありといへる女の返事に
GOSE000014105 つかはしける 兼輔朝臣
GOSE062514106 なにはかたかりつむあしのあしつゝのひとへも君を我やへたつる
GOSE000014107 とをき所にまかりけるみちよりやむことなきことに
GOSE000014108 よりて京へ人つかはしけるついてにふみのはしに
GOSE000014109 かきつけ侍ける よみ人しらす
GOSE062614110 わかことや君もこふらん白露のをきてもねてもそてそかはかぬ
GOSE000014111 あひしりて侍ける人のもとよりひさしくとはす」71ウ
GOSE000014201 していかにそまたいきたりやとたはふれて侍けれは
GOSE062714202 つらくともあらんとそ思よそにても人やけぬるときかまほしさに
GOSE000014203 人のもとにしは/\まかりけれとあひかたく侍
GOSE000014204 けれは物にかきつけ侍ける
GOSE000014205 在原業平朝臣
GOSE062814206 くれぬとてねてゆくへくもあらなくにたとる/\もかへるまされり
GOSE000014207 おとこ侍(侍=あひそへる<朱>)女をいとせちにいはせ侍けるを女いとわり
GOSE000014208 なしといはせけれは
GOSE000014209 元良のみこ
GOSE062914210 わりなしといふこそかつはうれしけれをろかならすと見えぬとおもへは
GOSE000014211 女のもとより心さしのほとをなんえしらぬと」72オ
GOSE000014301 いへりけれは 藤原興風
GOSE063014302 わかこひをしらんと思はゝたこの浦に立覧浪のかすをかそへよ
GOSE000014303 いひかはしける女のもとよりなをさりにいふに
GOSE000014304 こそあんめれといへりけれは
GOSE000014305 つらゆき
GOSE063114306 色ならは移許も染てまし思ふ心をえやは見せける
GOSE06311430601【色ならは移許も染てまし思ふ心をえやは見せける】-入拾遺しる人のなさ
GOSE000014307 物のたうひける女のもとにふみつかはしたり
GOSE000014308 けるに心地あしとて返事もせさりけれは又
GOSE000014309 つかはしける 大江朝綱朝臣
GOSE00001430907【大江朝綱朝臣】-参議天徳元薨七十二
GOSE063214310 葦引の山ゐはすともふみかよふあとをも見ぬはくるしき物を
GOSE000014311 おほつふねに物のたうひつかはしけるをさらに」72ウ
GOSE000014401 きゝいれさりけれはつかはしける
GOSE000014402 貞元のみこ
GOSE00001440201【貞元のみこ】-閑院三のみこ清和第三四品承平元薨母治部卿仲統女
GOSE063314403 おほかたはなそやわかなのおしからん昔のつまと人にかたらむ
GOSE000014404 返し おほつふね
GOSE00001440403【おほつふね】-在原棟梁女
GOSE063414405 (無<朱>)人はいさ我はなきなのおしけれは昔も今もしらすとをいはん
GOSE000014406 返ことせさりける女のふみをからうしてえて
GOSE000014407 よみ人しらす
GOSE063514408 跡見れは心なくさのはまちとり今は声こそきかまほしけれ
GOSE000014409 おなし所にて見かはしなからえあはさりける女に
GOSE063614410 河と見てわたらぬ中になかるゝはいはて物思涙なりけり
GOSE000014411 こゝろさしありける女につかはしける」73オ
GOSE000014501 橘公頼朝臣
GOSE00001450101【橘公頼朝臣】-延木廿一中将延長二参議承平五帥天慶二中納言四年薨六十五
GOSE063714502 あま雲になきゆく雁のをとにのみきゝ渡つゝあふよしもなし
GOSE000014503 つらゆき
GOSE063814504 住の江の浪にはあらねと世とゝもに心を君によせわたる哉
GOSE000014505 兵衛につかはしける
GOSE000014506 よみ人しらす
GOSE063914507 見ぬほとに年のかはれはあふことのいやはる/\におもほゆる哉
GOSE000014508 まかりいてゝ御ふみつかはしたりけれは
GOSE000014509 中将更衣
GOSE00001450901【中将更衣】-参議伊衡女
GOSE064014510 けふすきはしなまし物を夢にてもいつこをはかと君かとはまし
GOSE000014511 御返し 延喜御製
GOSE064114512 うつゝにそとふへかりける夢とのみ迷しほとやはるけかりけん」73ウ
GOSE000014601 題しらす 藤原千かぬ
GOSE064214602 流てはゆく方もなし涙河わか身のうらや限なる覧
GOSE000014603 在原棟梁
GOSE064314604 わか恋のかすにしとらは白妙のはまのまさこもつきぬへら也
GOSE000014605 つらゆき
GOSE064414606 涙にも思のきゆる物ならはいとかくむねはこかさゝらまし
GOSE000014607 坂上是則
GOSE064514608 しるしなき思ひやなそとあしたつのねになくまてにあはすわひしき
GOSE000014609 年ひさしくかよはし侍ける人につかはしける
GOSE000014610 つらゆき
GOSE064614611 たまのをのたえてみしかきいのちもて年月なかきこひもするかな」74オ
GOSE000014701 題しらす 平定文
GOSE064714702 我のみやもえてきえ南世とゝもに思ひもならぬふしのねのこと
GOSE000014703 返し きのめのと
GOSE064814704 ふしのねの(ふしのねの=かれぬ身の<朱>)もえわたるともいかゝせんけちこそしらね水ならぬ身は
GOSE000014705 心させる女の家のあたりにまかりていひいれ侍ける
GOSE000014706 つらゆき
GOSE064914707 わひわたるわか身はつゆをおなしくは君かゝきねの草にきえなん
GOSE000014708 題しらす 在原元方
GOSE065014709 みるめかるなきさやいつこあふこなみ立よる方もしらぬわか身は
GOSE000014710 春宮になるとゝいふとのもとに女と物いひけるに
GOSE000014711 おやの戸をさしてたてゝゐていりにけれは又の」74ウ
GOSE000014801 あしたにつかはしける
GOSE000014802 藤原滋幹
GOSE00001480201【藤原滋幹】-大納言国経男延長六年右少将承平元年卒
GOSE065114803 なるとよりさしいたされし舟よりも我そよるへもなきこゝちせし
GOSE000014804 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE065214805 高砂の峯の白雲かゝりける人の心をたのみける哉
GOSE000014806 長明のみこの母の更衣さとに侍けるにつかはしける
GOSE00001480601【長明のみこ】-四品天暦三年閏正月薨
GOSE00001480607【母の更衣】-藤淑姫参議菅根女
GOSE000014807 延喜御製
GOSE065314808 よそにのみ松はゝかなき住の江のゆきてさへこそ見まくほしけれ
GOSE000014809 題しらす ひとしの朝臣
GOSE065414810 かけろふに見し許にやはまちとりゆくゑもしらぬこひにまとはむ」75オ
GOSE000014901 あり所はしりなからえあふましかりける人に
GOSE000014902 つかはしける 藤原兼茂朝臣
GOSE00001490207【藤原兼茂朝臣】-参議右兵衛督延長元卒
GOSE065514903 わたつみのそこのありかはしりなからかつきていらむ浪のまそなき
GOSE000014904 女の許につかはしける
GOSE000014905 橘実利朝臣
GOSE065614906 つらしとも思そはてぬ涙河流て人をたのむ心は
GOSE000014907 返し よみひとしらす
GOSE065714908 流てと何たのむらんなみた河影見ゆへくもおもほえなくに
GOSE000014909 人をいひわつらひてつかはしける
GOSE000014910 平定文
GOSE065814911 何事を今はたのまむちはやふる神もたすけぬわか身なりけり」75ウ
GOSE000015001 返し おほつふね(おほつふね=在原棟梁女<朱>)
GOSE065915002 ちはやふる神もみゝこそなれぬらしさま/\いのる年もへぬれは
GOSE000015003 女のもとにまかりたりけるをたゝにて返し侍
GOSE000015004 けれはいひいれ侍ける
GOSE000015005 つらゆき
GOSE066015006 怨ても身こそつらけれ唐衣きていたつらにかへすとおもへは
GOSE000015007 あひしりて侍ける人をひさしうとはすして
GOSE000015008 まかりたりけれはかとより返しつかはしけるに
GOSE000015009 壬生忠岑
GOSE066115010 住吉(吉=の江<朱>)の松にたちよる白浪のかへるおりにやねはなかるらん
GOSE000015011 おとこのもとより今はこと人あんなれはといへり」76オ
GOSE000015101 けれは女にかはりて
GOSE000015102 よみ人しらす
GOSE066215103 おもはむとたのめし事もある物をなきなをたてゝたゝにわすれね
GOSE000015104 返し
GOSE066315105 かすかのゝとふひのゝもり見し物をなきなといはゝつみもこそうれ
GOSE000015106 題しらす
GOSE066415107 わすられて思ふなけきのしけるをや身をはつかしのもりといふらん
GOSE000015108 人の心かはりにけれは
GOSE000015109 右近
GOSE066515110 おもはむとたのめし人は有ときくいひし事のはいつちいにけん
GOSE000015111 さたくにの朝臣のみやす所きよかけの朝臣と
GOSE00001511101【さたくにの朝臣のみやす所】-女御和香子延喜三年為女御」76ウ
GOSE000015201 みちのくにゝある所/\をつくして哥によみ
GOSE000015202 かはしていまはよむへき所なしといひけれは
GOSE000015203 源清蔭朝臣
GOSE066615204 さても猶まかきの嶋の有けれはたちよりぬへくおもほゆる哉
GOSE000015205 こと女のふみをめの見むといひけるに見せ
GOSE000015206 さりけれはうらみけるにそのふみのうらにかき
GOSE000015207 つけてつかはしける
GOSE000015208 よみ人しらす
GOSE066715209 これはかく怨所もなき物をうしろめたくはおもはさらなん
GOSE000015210 ひさしうあはさりける女につかはしける
GOSE000015211 源さねあきら
GOSE066815212 思きやあひ見ぬことをいつよりとかそふ許になさむ物とは」77オ
GOSE000015301 題しらす 藤原治方
GOSE066915302 世のつねのねをしなかねは逢事の涙の色もことにそありける
GOSE000015303 大伴黒主
GOSE067015304 白浪のよするいそまをこく舟のかちとりあへぬこひもする哉
GOSE000015305 源うかふ
GOSE00001530501【源うかふ】-浮
GOSE067115306 こひしさはねぬになくさむともなきに(に=ヲ<朱>)あやしくあはぬめをも見る哉
GOSE000015307 年へていひ渡侍ける女に
GOSE000015308 源すくる
GOSE00001530801【源すくる】-俊少将使宣旨右大弁唱男
GOSE067215309 ひさしくもこひわたる哉すみの江の岸に年ふる松ならなくに
GOSE000015310 題しらす 藤原清正
GOSE067315311 逢事の世々をへたつるくれ竹のふしのかすなきこひもする哉」77ウ
GOSE000015401 かれかたになりける人にすゑもみちたるえた
GOSE000015402 につけてつかはしける
GOSE000015403 よみひとしらす
GOSE067415404 今はてふ心つくはの山見れはこすゑよりこそ色かはりけれ
GOSE000015405 女のもとよりかへりてあしたにつかはしける
GOSE000015406 源重光朝臣
GOSE00001540601【源重光朝臣】-代明親王男康保元参議元中将後大納言長徳四年薨
GOSE067515407 かへりけむそらもしられすをはすての山よりいてし月を見しまに
GOSE000015408 兼輔朝臣にあひはしめてつねにしもあは
GOSE000015409 さりけるほとに きよたゝか母
GOSE067615410 ふりとけぬ君かゆきけのしつくゆへたもとにとけぬ氷しにけり
GOSE000015411 方ふたかりけるころたかへにまかるとて」78オ
GOSE000015501 藤原有文朝臣
GOSE067715502 かた時も見ねはこひしきゝみをゝきてあやしやいく夜ほかにねぬらん
GOSE000015503 題しらす 大江千古
GOSE067815504 思やる心にたくふ身なりせはひとひにちたひ君は見てまし
GOSE000015505 しのひてかよひ侍ける女のもとよりかりさうそく
GOSE000015506 をくりて侍けるにすれるかりきぬ侍けるに
GOSE000015507 もとよしのみこ
GOSE067915508 逢事はとを山とりのかり衣きてはかひなきねをのみそなく
GOSE06791550804【とを山とり】-(と=す)清本(\<朱>)両説共用(+\<朱>可用スリ<朱>)
GOSE000015509 題しらす あつよしのみこ
GOSE068015510 深くのみ思ふ心はあしのねのわけても人にあはんとそ思
GOSE000015511 しのひてあひわたり侍けるひとに」78ウ
GOSE000015601 藤原忠国
GOSE068115602 いさり火のよるはほのかにかくしつゝ有へはこひのしたにけぬへし
GOSE000015603 寛平のみかと御くしおろさせたまうてのころ
GOSE000015604 御帳のめくりにのみ人はさふらはせたまうて
GOSE000015605 ちかう(う+もめし<朱>)よせられさりけれはかきて御帳にむすひ
GOSE000015606 つけゝる 小八条御息所
GOSE068215607 たちよらは影ふむ許ちかけれと誰かなこその関をすへけん(誰かなこその関をすへけん=あひみぬせきをたれかすへけん<朱>)
GOSE000015608 おとこのもとにつかはしける
GOSE000015609 土左
GOSE068315610 わか袖はなにたつすゑの松山かそらより浪のこえぬ日はなし」79オ
GOSE000015701 月をあはれといふはいむなりといふ人のあり
GOSE000015702 けれは よみ人しらす
GOSE068415703 ひとりねのわひしきまゝにおきゐつゝ月をあはれといみそかねつる
GOSE000015704 おとこのもとにつかはしける
GOSE068515705 唐錦おしきわかなはたちはてゝ如何せよとか今はつれなき
GOSE000015706 はしめて人につかはし(つかはし=のたうひ<朱>)ける
GOSE068615707 人つてにいふ事のはの中よりそ思ひつくはの山は見えける
GOSE000015708 はつかに人を見てつかはしける
GOSE000015709 つらゆき
GOSE068715710 たよりにもあらぬおもひのあやしきは心を人につくるなりけり
GOSE06871571001【たよりにもあらぬおもひのあやしきは心を人につくるなりけり】-古今」79ウ
GOSE000015801 人の家より物見にいつるくるまを見て心つ
GOSE000015802 きにおほえ侍けれはたそとたつねとひ
GOSE000015803 けれはいてける家のあるしときゝてつかはしける
GOSE000015804 よみ人しらす
GOSE068815805 人つまに心あやなくかけはしのあやうき道はこひにそ有ける
GOSE000015806 ひとを思かけて心地もあらすや有けん物もい
GOSE000015807 はすして日くるれはおきもあからすときゝて
GOSE000015808 この思かけたる女のもとよりなとかくすき/\
GOSE000015809 しくはといひて侍けれは
GOSE068915810 いはて思心ありそのはま風にたつしら浪のよるそわひしき」80オ
GOSE000015901 心かけて侍けれといひつかむ方もなくつれなきさま
GOSE000015902 の見えけれはつかはしける
GOSE069015903 ひとりのみこふれはくるしよふことりこゑになきいてゝ君にきかせん
GOSE000015904 おとこの女にふみつかはしけるを返事も
GOSE000015905 せてたえにけれは又つかはしける
GOSE069115906 ふしなくて君かたえにしゝらいとはよりつきかたき物にそ有ける
GOSE000015907 をとこのたひよりまてきて今なんまてきつき
GOSE000015908 たるといひて侍ける返事に
GOSE069215909 草枕このたひへつる年月のうきは帰てうれしから南
GOSE000015910 おとこのほとひさしうありてまてきてみ心」80ウ
GOSE000016001 のいとつらさに十二年の山こもりしてなんひさ
GOSE000016002 しうきこ江さりつるといひいれたりけれは
GOSE000016003 よひいれて物なといひて返しつかはし
GOSE000016004 けるか又をともせさりけれは
GOSE069316005 いてしより見えすなりにし月影は又山のはに入やしにけん
GOSE000016006 返し
GOSE069416007 あしひきの山におふてふもろかつらもろともにこそいらまほしけれ
GOSE000016008 人を思かけてつかはしける
GOSE000016009 平定文
GOSE069516010 はま千鳥たのむをしれとふみそむるあとうちけつな我をこす浪
GOSE000016011 返し おほつ舟」81オ
GOSE069616101 ゆく水のせことにふまむあとゆへにたのむしるしをいつれとかみむ
GOSE000016102 人のもとにはしめてふみつかはしたりける
GOSE000016103 に返事はなくてたゝかみをひきむすひて
GOSE000016104 かへしたりけれは
GOSE000016105 源もろあきらの朝臣
GOSE00001610501【源もろあきらの朝臣】-庶明権中納言
GOSE069716106 つまにおふることなしくさを見るからにたのむ心そかすまさりける
GOSE000016107 かくてをこせて侍けれと宮つかへする人なり
GOSE000016108 けれはいとまなくて又のあしたにとこなつ
GOSE000016109 の花につけてをこせて侍ける」81ウ
GOSE069816201 をくつゆのかゝる物とはおもへともかれせぬ物はなてしこのはな
GOSE000016202 返し
GOSE069916203 かれすともいかゝたのまむなてしこの
GOSE069916204 花はときはのいろにしあらねは
GOSE000016205 (巻第十<朱>)」82オ
(82ウ)
(83オ)
GOSE000016501 後撰和歌集巻第十一
GOSE000016502 恋(恋+哥<朱>)三
GOSE000016503 女(女+のもと<朱>)につかはしける
GOSE000016504 三条右大臣
GOSE070016505 名にしおはゝ相坂山のさねかつら人にしられてくるよしも哉
GOSE000016506 在原元方
GOSE070116507 こひしとは更にもいはししたひものとけむを人はそれとしら南
GOSE000016508 返し よみ人しらす
GOSE070216509 したひものしるしとするもとけなくにかたるかことはあらすもある哉」83ウ
GOSE000016601 女のいと思はなれていふにつかはしける
GOSE070316602 うつゝにもはかなき事のわひしきはねなくに夢と思なりけり
GOSE000016603 宮つかへする女のあひかたく侍けるに
GOSE000016604 つらゆき
GOSE070416605 たむけせぬ別する身のわひしきは人めを旅と思なりけり
GOSE000016606 かりそめなる所に侍ける女に心かはりにける
GOSE000016607 おとこのこゝにてはかくひんなき所なれは
GOSE000016608 心さしはありなからなむえたちよらぬとい
GOSE000016609 へりけれは所をかへてまちけるに見えさりけれは」84オ
GOSE000016701 女
GOSE070516702 やとかへてまつにも見えすなりぬれはつらき所のおほくもある哉
GOSE000016703 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE070616704 おもはむとたのめし人はかはらしをとはれぬ我やあらぬなるらん
GOSE000016705 源さねあきらたのむことなくはしぬへしと
GOSE000016706 いへりけれは 中務
GOSE070716707 いたつらにたひ/\しぬといふめれはあふには何をかへむとすらん
GOSE000016708 返し 源信明
GOSE070816709 しぬ/\ときく/\たにもあひ見ねはいのちをいつのよにかのこさむ
GOSE000016710 時/\見えけるおとこのゐる所のさうしにとりの」84ウ
GOSE000016801 かたをかきつけて侍けれはあたりにをしつけ侍ける
GOSE000016802 本院侍従
GOSE070916803 ゑにかける鳥とも人を見てし哉おなし所をつねにとふへく
GOSE000016804 大納言国経朝臣の家に侍ける女に平定文
GOSE000016805 いとしのひてかたらひ侍てゆくすゑまてちきり
GOSE000016806 侍けるころこの女にはかに贈太政大臣に
GOSE000016807 むかへられてわたり侍にけれはふみたにも
GOSE000016808 かよはすかたなくなりにけれはかの女の
GOSE000016809 子のいつゝ許なるか本院のにしのたいに
GOSE000016810 あそひありきけるをよひよせて」85オ
GOSE000016901 はゝに見せたてまつれとてかひなにかきつけ
GOSE000016902 侍ける 平定文
GOSE071016903 昔せしわかゝね事の悲きは如何ちきりしなこりなるらん
GOSE000016904 返し よみ人しらす
GOSE071116905 うつゝにて誰契釼定なき夢地に迷我はわれかは
GOSE000016906 おほやけつかひにてあつまの方へまかりけるほとに
GOSE000016907 はしめてあひしりて侍女にかくやむことなき
GOSE000016908 みちなれは心にもあらすまかりぬるなと申て
GOSE000016909 くたり侍けるをのちにあらためさためらるゝ
GOSE000016910 事ありてめしかへされけれはこの女きゝて」85ウ
GOSE000017001 よろこひなからとひにつかはしたりけれは
GOSE000017002 みちにて人の心さしをくりて侍けるくれ
GOSE000017003 はとりといふあやをふたむらつゝみてつか
GOSE000017004 はしける 清原諸実
GOSE071217005 くれはとりあやに恋しく有しかはふたむら山もこえすなりにき
GOSE000017006 返し よみ人しらす
GOSE071317007 唐衣たつをゝしみし心こそふたむら山のせきとなりけめ
GOSE000017008 人のもとにつかはしける
GOSE000017009 きよなりか女
GOSE071417010 夢かとも思へけれとおほつかなねぬに見しかはわきそかねつる」86オ
GOSE000017101 少将さねたゝかよひ侍ける所をさりてこと女
GOSE00001710101【少将さねたゝ】-真忠
GOSE000017102 につきてそれよりかすかの使にいてたちてまかり
GOSE000017103 けれは もとの女
GOSE071517104 そらしらぬ雨にもぬるゝわか身哉みかさの山をよそにきゝつゝ
GOSE000017105 あさかほの花まへにありけるさうしよりお
GOSE000017106 とこのあけていて侍けるに
GOSE000017107 よみ人しらす
GOSE071617108 もろともにおるともなしに打とけて見えにける哉あさかほの花
GOSE000017109 内にまいりてひさしうをとせさりけるおとこに
GOSE000017110 をんな
GOSE071717111 もゝしきはおのゝえくたす山なれや入にし人のをとつれもせぬ」86ウ
GOSE000017201 女のもとにきぬをぬきをきてとりにつかはすとて
GOSE000017202 これまさの朝臣
GOSE00001720201【これまさの朝臣】-伊尹天徳四年八月参議左中将一条摂政天禄三年薨
GOSE071817203 すゝか山いせをのあまのすて衣しほなれたりと人や見るらん
GOSE000017204 題しらす つらゆき
GOSE071917205 いかて我人にもとはむ暁のあかぬ別やなにゝにたりと
GOSE000017206 在原行平朝臣
GOSE00001720601【在原行平朝臣】-致仕中納言
GOSE072017207 恋しきにきえかへりつゝあさつゆのけさはおきゐむ心地こそせね
GOSE000017208 よみ人しらす
GOSE072117209 しのゝめにあかて別した本をそつゆやわけしと人はとかむる
GOSE000017210 平中興
GOSE00001721001【平中興】-左衛門権佐蔵人頭右大弁季長男」87オ
GOSE072217301 こひしきも思こめつゝある物を人にしらるゝ涙なに也
GOSE000017302 からうしてあへりける女につゝむこと侍て又え
GOSE000017303 あはす侍けれはつかはしける
GOSE000017304 兼輔朝臣
GOSE072317305 相坂のこのしたつゆにぬれしよりわか衣手は今もかはかす
GOSE000017306 題しらす みつね
GOSE072417307 君を思心を人にこゆるきのいそのたまもやいまもからまし
GOSE000017308 おやある女にしのひてかよひけるをおとこもし
GOSE000017309 はしは人にしられしといひ侍けれは
GOSE000017310 よみ人しらす」87ウ
GOSE072517401 なき名そと人にはいひて有ぬへし心のとはゝいかかこたへん
GOSE000017402 なき名たちけるころ
GOSE000017403 伊勢
GOSE072617404 きよけれと玉ならぬ身のわひしきはみかける物にいはぬ也けり
GOSE000017405 しのひてすみ侍ける女につかはしける
GOSE000017406 あつたゝの朝臣
GOSE072717407 逢事をいさほにいて南しのすゝき忍はつへき物ならなくに
GOSE000017408 あひかたらひける人これもかれもつゝむこと
GOSE000017409 有てはなれぬへく侍けれはつかはしける
GOSE000017410 よみ人しらす
GOSE072817411 あひ見てもわかるゝ事のなかりせはかつ/\物はおもはさらまし」88オ
GOSE000017501 人のもとより暁かへりて
GOSE000017502 閑院左大臣
GOSE072917503 いつのまにこひしかる覧唐衣ぬれにし袖のひるま許に
GOSE000017504 つらゆき
GOSE073017505 別つるほともへなくに白浪の立帰ても見まくほしきか
GOSE000017506 女のもとにつかはしける
GOSE000017507 これまさの朝臣
GOSE073117508 人しれぬ身はいそけとも年をへてなとこえかたき相坂の関
GOSE000017509 返し 小野好古朝臣女
GOSE073217510 あつま地にゆきかふ人にあらぬ身はいつかはこえん相坂の関
GOSE000017511 女のもとにつかはしける」88ウ
GOSE000017601 藤原きよたゝ
GOSE073317602 つれもなき人にまけしとせし程に我もあたなは立そしにける
GOSE000017603 かれかたになりにけるおとこのもとにそうそく
GOSE000017604 てうしてをくれりけるにかゝるからにうとき
GOSE000017605 心地なんするといへりけれは
GOSE000017606 小野遠興かむすめ
GOSE073417607 つらからぬ中にあるこそうとしといへ隔てはてゝしきぬにやはあらぬ
GOSE000017608 五節の所にて閑院のおほい君につかはしける
GOSE000017609 もろまさの朝臣
GOSE00001760901【もろまさの朝臣】-小一条左大臣
GOSE073517610 ときはなる日かけのかつらけふしこそ心の色にふかく見えけれ
GOSE000017611 返し」89オ
GOSE073617701 誰となくかゝるおほみにふかゝらん色をときはにいかゝたのまん
GOSE000017702 ふちつほの人/\月夜にありきけるを見て
GOSE000017703 ひとりかもとにつかはしける
GOSE000017704 きよたゝ
GOSE073717705 誰となくをほろに見えし月影にわける心を思しら南
GOSE000017706 左兵衛督師尹朝臣につかはしける
GOSE000017707 本院兵衛
GOSE073817708 春をたにまたてなきぬる鴬はふるす許の心なりけり
GOSE000017709 題しらす かねもちの朝臣女
GOSE073917710 ゆふされはわか身のみこそかなしけれいつれの方に枕さためむ」89ウ
GOSE000017801 在原元方
GOSE074017802 夢にたにまた見えなくにこひしきはいつにならへる心なるらん
GOSE000017803 壬生忠岑
GOSE074117804 思ふ蝶事をそねたくふるしける君にのみこそいふへかりけれ
GOSE000017805 戒仙法師
GOSE074217806 あな恋しゆきてや見ましつのくにの今も有てふ浦のはつ嶋
GOSE000017807 やむことなき事によりてとをき所にまかりて
GOSE000017808 たゝむ月許になんまかりかへるへきといひてまか
GOSE000017809 りくたりてみちよりつかはしける
GOSE000017810 つらゆき
GOSE074317811 月かへて君をは見むといひしかと日たにへたてすこひしきものを」90オ
GOSE000017901 おなし所に宮つかへし侍てつねに見ならし
GOSE000017902 ける女につかはしける
GOSE000017903 みつね
GOSE074417904 伊勢の海にしほやくあまの藤衣なるとはすれとあはぬ君哉
GOSE000017905 題しらす これのり
GOSE074517906 わたのそこかつきてしらん君かため思ふ心のふかさくらへに
GOSE000017907 人のおとこにて侍人をあひしりてつかはしける
GOSE000017908 右近
GOSE00001790801【右近】-季縄女
GOSE074617909 唐衣かけてたのまぬ時そなき人のつまとは思ものから
GOSE000017910 ひとのもとにまかれりけるにすのとにすへて
GOSE000017911 物いひけるをすをひきあけゝれはいたく」90ウ
GOSE000018001 さはきけれはまかりかへりて又のあしたに
GOSE000018002 つかはしける
GOSE000018003 藤原守正
GOSE00001800301【藤原守正】-タヽ兼輔卿男
GOSE074718004 あらかりし浪の心はつらけれとすこしによせしこゑそこひしき
GOSE000018005 あひしりて侍ける女の心ならぬやうに見え侍
GOSE000018006 けれはつかはしける
GOSE000018007 藤原のちかけの朝臣
GOSE074818008 いつ方に立かくれつゝ見よとてかおもひくまなく人のなりゆく
GOSE07481800801【いつ方に立かくれつゝ見よとてかおもひくまなく人のなりゆく】入古今
GOSE000018009 おとこの心やう/\かれかたに見えゆきけれは
GOSE000018010 土左
GOSE074918011 つらきをもうきをもよそに見しかともわか身にちかき世にこそ有けれ」91オ
GOSE000018101 女に心さしあるよしをいひつかはしたりけれは
GOSE000018102 世中の人の心さためなけれはたのみかたき
GOSE000018103 よしをいひて侍けれは
GOSE000018104 在原元方
GOSE075018105 ふちはせになりかはるてふあすか河渡見てこそしるへかりけれ
GOSE000018106 題しらす 伊勢
GOSE075118107 いとはるゝ身をうれはしみいつしかとあすか河をもたのむへら也
GOSE000018108 返し 贈太政大臣
GOSE075218109 あすか河せきてとゝむる物ならはふちせになると何かいはせん
GOSE000018110 女四のみこにをくりける」91ウ
GOSE000018201 右大臣
GOSE00001820101【右大臣】-九条
GOSE075318202 葦たつの沢辺に年はへぬれとも心は雲のうへにのみこそ
GOSE000018203 返し
GOSE075418204 あしたつのくもゐにかゝる心あらは世をへてさはにすますそあらまし
GOSE000018205 せうそこつかはしける女の又こと人にふみ
GOSE000018206 つかはすときゝていまは思たえねといひをく
GOSE000018207 りて侍ける返事に
GOSE000018208 贈太政大臣
GOSE075518209 松山につらきなからも浪こさむ事はさすかに悲き物を
GOSE000018210 宮つかへし侍ける女ほとひさしくありてもの」92オ
GOSE000018301 いはむといひ侍けるにをそくまかりけれは
GOSE000018302 批杷左大臣
GOSE075618303 夜ゐのまにはやなくさめよいその神ふりにしとこもうちはらふへく
GOSE000018304 返し 伊勢
GOSE075718305 わたつみとあれにしとこを今更にはらはゝ袖やあはとうきなん
GOSE000018306 心さしありていひかはしける女のもとより人
GOSE000018307 かすならぬやうにいひて侍けれは
GOSE000018308 はせおの朝臣
GOSE00001830801【はせおの朝臣】-中納言長谷雄
GOSE075818309 しほのまにあさりするあまもをのか世々かひ有とこそ思へらなれ
GOSE000018310 題しらす 贈太政大臣」92ウ
GOSE075918401 あちきなくなとか松山浪こさむ事をはさらに思はなるゝ
GOSE000018402 返し 伊勢
GOSE076018403 岸もなくしほしみちなは松山をしたにて浪はこさむとそ思
GOSE000018404 まもりをきて侍けるおとこの心かはりにけれは
GOSE000018405 そのまもりを返しやるとて
GOSE000018406 これひらの朝臣のむすめいまき
GOSE076118407 世とゝもになけきこりつむ身にしあれはなそやまもりのあるかひもなき
GOSE000018408 人の心つらくなりにけれは袖といふ人をつかひにて
GOSE000018409 よみ人しらす
GOSE076218410 ひとしれぬわか物思ひの涙をは袖につけてそ見すへかりける」93オ
GOSE000018501 ふみなとをこするおとこほかさまになりぬへしときゝて
GOSE000018502 藤原真忠かいもうと
GOSE00001850201【藤原真忠】-真忠右大臣恒佐四男天慶六年右少将五年左馬頭
GOSE076318503 山の葉にかゝる思ひのたえさらは雲井なからもあはれとおもはん
GOSE000018504 まちしりの君にふみつかはしたりける返事に
GOSE000018505 みつとのみありけれはつかはしける
GOSE000018506 もろうちの朝臣
GOSE076418507 なきなかす涙のいとゝそひぬれははかなきみつも袖ぬらしけり
GOSE000018508 題しらす 源たのむ
GOSE00001850805【源たのむ】-頼
GOSE076518509 夢のことはかなき物はなかりけりなにとて人にあふとみつらん
GOSE000018510 心さし侍ける女のつれなきに
GOSE000018511 よみ人しらす」93ウ
GOSE076618601 思ひねのよな/\夢に逢事をたゝかた時のうつゝとも哉
GOSE000018602 返し
GOSE076718603 時のまのうつゝをしのふ心こそはかなき夢にまさらさりけれ
GOSE000018604 題しらす くろぬし
GOSE076818605 玉津嶋ふかき入江をこく舟のうきたるこひも我はする哉
GOSE000018606 紀内親王
GOSE00001860601【紀内親王】-一本三のみこ
GOSE076918607 つのくにのなにはたゝまくおしみこそすくもたく火のしたにこかるれ
GOSE000018608 人のもとにまかりていれさりけれはすのこに
GOSE000018609 ふしあかしてかへるとていひいれ侍ける
GOSE000018610 よみ人しらす
GOSE077018611 夢地にもやとかす人のあらませはねさめにつゆはゝらはさらまし」94オ
GOSE000018701 返し
GOSE077118702 涙河なかすねさめもある物をはらふ許のつゆやなになり
GOSE000018703 心さしはありなからえあはさりける人につかはしける
GOSE077218704 みるめかる方そあふみになしときく玉もをさへやあまはかつかぬ
GOSE000018705 返し
GOSE077318706 名のみして逢事浪のしけきまにいつかたまもをあまはかつかむ
GOSE000018707 心さしありて人にいひかはし侍けるをつれなかり
GOSE000018708 けれはいひわつらひてやみにけるを思いてゝいひを
GOSE000018709 くりける返ことに心ならぬさま也といへりけれは
GOSE077418710 葛木やくめ地のはしにあらはこそ思ふ心をなかそらにせめ
GOSE000018711 人のもとにつかはしける
GOSE000018712 右大臣」94ウ
GOSE077518801 かくれぬにすむをしとりのこゑたえすなけとかひなき物にそ有ける
GOSE000018802 つりとのゝみこにつかはしける
GOSE00001880201【つりとのゝみこ】-綏子仁和皇女母同寛平配陽成院号釣殿宮
GOSE000018803 陽成院御製
GOSE077618804 つくはねの峯よりおつるみなの河恋そつもりて淵となりける
GOSE000018805 あひしりて侍ける人のまうてこすなりてのち心にも
GOSE000018806 あらすこゑをのみきく許にて又をともせす侍けれは
GOSE000018807 つかはしける よみ人しらす
GOSE077718808 かりかねのくもゐはるかにきこえしは今は限のこゑにそありける
GOSE000018809 返し かねみの王
GOSE077818810 今はとて行かへりぬるこゑならはおひ風にてもきこえましやは
GOSE000018811 おとこのけしきやう/\つらけに見えけれは」95オ
GOSE000018901 小町
GOSE077918902 心からうきたる舟にのりそめてひと日も浪にぬれぬ日そなき
GOSE000018903 おとこの心つらく思かれにけるを女なをさりに
GOSE000018904 (+なとか)をともせぬといひつかはしたりけれは
GOSE000018905 よみ人しらす
GOSE078018906 忘なんと思心のやすからはつれなきひとをうらみましやは
GOSE000018907 夜ゐに女にあひてかならすのちにあはんと
GOSE000018908 ちかことをたてさせてあしたにつかはしける
GOSE000018909 藤原滋幹
GOSE078118910 ちはやふる神ひきかけてちかひてしこともゆゝしくあらかふなゆめ」95ウ
GOSE000019001 院のやまとにあふきつかはすとて
GOSE000019002 右大臣
GOSE078219003 おもひには我こそいりてまとはるれあやなく君や涼かるへき
GOSE000019004 かねみちの朝臣かれかたになりてとしこえて
GOSE000019005 とふらひて侍けれは
GOSE000019006 元平のみこのむすめ
GOSE00001900601【元平のみこのむすめ】-二品弾正尹陽成院第二左大臣顕光母
GOSE078319007 あらたまの年もこえぬる松山の浪の心はいかゝなるらむ
GOSE000019008 もとのめにかへりすむときゝておとこのもとにつかはしける
GOSE000019009 よみ人しらす
GOSE078419010 わかためはいとゝあさくやなりぬらん野中のし水ふかさまされは
GOSE000019011 女のもとにつかはしける」96オ
GOSE000019101 源中正
GOSE078519102 あふみちをしるへなくても見てし哉関のこなたはわひしかりけり
GOSE000019103 返し しもつけ
GOSE078619104 道しらてやみやはしなぬ相坂の関のあなたは海といふなり
GOSE000019105 女のもとにまかりたるにはやかへりねとのみいひけれは
GOSE000019106 よみ人しらす
GOSE078719107 つれなきを思ひしのふのさねかつらはてはくるをも厭なりけり
GOSE000019108 あつよしのみこの家にやまとゝいふ人につかはしける
GOSE000019109 左大臣
GOSE078819110 今更に思いてしとしのふるをこひしきにこそわすれわひぬれ」96ウ
GOSE000019201 いひかはしける女のいまは思わすれねといひ侍
GOSE000019202 けれは はせおの朝臣
GOSE078919203 わかためは見るかひもなし忘草わする許のこひにしあらねは
GOSE000019204 しのひてかよひける人に
GOSE000019205 藤原ありよし
GOSE00001920501【藤原ありよし】-有好
GOSE079019206 あひ見てもつゝむ思ひのわひしきは人まにのみそねはなかれける
GOSE000019207 物いひ侍けるおとこいひわつらひていかゝはせん
GOSE000019208 いなともいひはなちてよといひ侍けれは
GOSE000019209 よみ人しらす
GOSE079119210 を山田のなはしろ水はたえぬとも心の池のいひはゝなたし」97オ
GOSE000019301 方たかへに人の家に人をくしてまかりてか
GOSE000019302 へりてつかはしける
GOSE079219303 千世へむと契をきてし姫松のねさしそめてしやとはわすれし
GOSE000019304 物いひける女のせみのから(から=もぬけ<朱>)をつゝみてつかはすとて
GOSE000019305 源重光朝臣
GOSE079319306 これを見よ人もすさめぬ恋すとてねをなくむしのなれるすかたを
GOSE000019307 人のもとよりかへりまてきてつかはしける
GOSE000019308 坂上これのり
GOSE079419309 あひ見てはなくさむやとそ思しになこりしもこそ
GOSE079419310 こひしかりけれ
GOSE000019311 (巻第十一<朱>)」97ウ
(98オ)
GOSE000019501 後撰和歌集巻第十二
GOSE000019502 恋(恋+哥<朱>)四
GOSE000019503 女(女+のもと<朱>)につかはしける
GOSE000019504 敏行朝臣
GOSE079519505 わか恋のかすをかそへはあまの原くもりふたかりふる雨のこと
GOSE000019506 わすれにける女を思いてゝつかはしける
GOSE000019507 よみ人しらす
GOSE079619508 打返し見まくそほしき故郷のやまとなてしこ色やかはれる
GOSE000019509 女につかはしける
GOSE000019510 批杷左大臣」98ウ
GOSE079719601 山ひこのこゑにたゝても年はへぬわか物思をしらぬ人きけ
GOSE000019602 身よりあまれる人を思かけてつかはしける
GOSE000019603 紀友則
GOSE079819604 玉もかるあまにはあらねとわたつみのそこゐもしらす人心哉
GOSE000019605 返ことも侍らさりけれは又かさねてつかはしける
GOSE079919606 見るもなくめもなき海のいそにいてゝかへる/\も怨つる哉
GOSE000019607 あたに見え侍けるおとこに
GOSE000019608 よみ人しらす
GOSE080019609 こりすまの浦の白浪立いてゝ(ゝ=は<朱>)よるほともなくかへる許か
GOSE000019610 あひしりて侍ける人のあふみの方へまかりけれは」99オ
GOSE080119701 関こえてあはつのもりのあはすともし水に見えしかけをわするな
GOSE000019702 返し
GOSE080219703 ちかけれは何かはしるし相坂の関の外そと思たえなん
GOSE000019704 つらくなりにけるおとこのもとに今はとて
GOSE000019705 さうそくなと返しつかはすとて
GOSE000019706 平なかきかむすめ
GOSE080319707 今はとてこすゑにかゝる空蝉のからを見むとは思はさりしを
GOSE000019708 返し 源巨城
GOSE080419709 わすらるゝ身をうつせみの唐衣返すはつらき心なりけり
GOSE000019710 物いひ(いひ=のたうひ<朱>)ける女のかゝみをかりてかへすとて
GOSE000019711 よみ人しらす」99ウ
GOSE080519801 影にたに見えもやするとたのみつるかひなくこひをます鏡哉
GOSE000019802 おとこの物なといひつかはしける女のゐなかの家に
GOSE000019803 まかりてたゝきけれともきゝつけすやありけん
GOSE000019804 かともあけすなりにけれは田のほとりにかへる
GOSE000019805 のなきけるをきゝて
GOSE080619806 葦引の山田のそほつうちわひてひとりかへるのねをそなきぬる
GOSE000019807 ふみつかはしける女のはゝのこひをしこひは
GOSE000019808 といへりけるか年ころへにけれはつかはしける
GOSE080719809 たねはあれと逢事かたきいはのうへの松にて年をふるはかひなし
GOSE000019810 女につかはしける
GOSE000019811 贈太政大臣」100オ
GOSE080819901 ひたすらにいとひはてぬる物ならはよしのゝ山にゆくゑしられし
GOSE000019902 返し 伊勢
GOSE080919903 わかやとゝたのむ吉野に君しいらはおなしかさしをさしこそはせめ
GOSE000019904 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE081019905 紅に袖をのみこそ染てけれ君をうらむる涙かゝりて
GOSE000019906 つれなく見えける人につかはしける
GOSE081119907 紅に涙うつるときゝしをはなといつはりとわか思けん
GOSE000019908 返し
GOSE081219909 くれなゐに涙しこくは緑なる袖も紅葉と見えまし物を
GOSE000019910 あひすみける人心にもあらてわかれにけるか」100ウ
GOSE000020001 年月をへてもあひ見むとかきて侍けるふみ
GOSE000020002 を見いてゝつかはしける
GOSE081320003 いにしへの野中のし水見るからにさしくむ物は涙なりけり
GOSE000020004 思事侍ておとこのもとにつかはしける
GOSE081420005 あまくものはるゝよもなくふる物は袖のみぬるゝ涙なりけり
GOSE000020006 方ふたかりとておとこのこさりけれは
GOSE081520007 逢事のかたふたかりて君こすは思心のたかふ許そ
GOSE000020008 あひかたらひける人のひさしう(う+まうて<朱>)こさりけれは
GOSE000020009 つかはしける
GOSE081620010 ときはにとたのめし事は松ほとのひさしかるへき名にこそありけれ
GOSE000020011 題しらす」101オ
GOSE081720101 こさまさる涙の色もかひそなき見すへき人のこの世ならねは
GOSE000020102 女のもとにつかはしける
GOSE081820103 住吉の岸にきよするおきつ浪まなくかけてもおもほゆる哉
GOSE000020104 返し 伊勢
GOSE081920105 すみの江のめにちかゝらは岸にゐて浪のかすをもよむへき物を
GOSE000020106 つらかりける人のもとにつかはしける
GOSE082020107 こひてへむと思心のわりなさはしにてもしれよわすれかたみに
GOSE000020108 返し 贈太政大臣
GOSE082120109 もしもやとあひ見む事をたのますはかくふるほとにまつそけなまし
GOSE000020110 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE082220111 あふとたにかたみに見ゆる物ならはわするゝほともあらましものを」101ウ
GOSE082320201 をとにのみ声をきく哉あしひきの山した水にあらぬ物から
GOSE000020202 秋きりのたちたるつとめていとつらけれはこの
GOSE000020203 たひはかりなむいふへきといひたりけれは
GOSE000020204 伊勢
GOSE082420205 秋とてや今は限の立ぬらむおもひにあへぬ物ならなくに
GOSE000020206 心の内に思ことやありけん
GOSE082520207 見し夢の思いてらるゝよゐことにいはぬをしるはなみたなりけり
GOSE000020208 題しらす よみ人も
GOSE082620209 白露のおきてあひ見ぬ事よりはきぬ返しつゝねなんとそ思
GOSE000020210 人のもとにつかはしける」102オ
GOSE082720301 事の葉はなけなる物といひなからおもはぬためは君もしるらん
GOSE000020302 女のもとにつかはしける
GOSE000020303 朝忠朝臣
GOSE082820304 白浪の打いつるはまのはまちとり跡やたつぬるしるへなるらん
GOSE000020305 女につかはしける
GOSE000020306 大江朝綱朝臣
GOSE082920307 おほしまに水をはこひしはや舟のはやくも人にあひ見てし哉
GOSE000020308 伊勢なむ人にわすられてなけき侍ときゝて
GOSE000020309 つかはしける 贈太政大臣
GOSE083020310 ひたふるに思なわひそふるさるゝ人の心はそれそよのつね
GOSE000020311 返し 伊勢」102ウ
GOSE083120401 世のつねの人の心をまた見ねはなにかこのたひけぬへき物を
GOSE000020402 浄蔵くらまの山へなんいるといへりけれは
GOSE000020403 平なかきかむすめ
GOSE00002040301【平なかき】-中興
GOSE083220404 すみそめのくらまの山にいる人はたとる/\も帰きなゝん
GOSE000020405 あひしりて侍ける人のまれにのみゝえけれは
GOSE000020406 伊勢
GOSE083320407 日をへても影に見ゆるはたまかつら/\きなからもたえぬなりけり
GOSE000020408 わさとにはあらす時/\ものいひ侍ける女ほと
GOSE000020409 ひさしうとはす侍けれは
GOSE000020410 よみ人しらす
GOSE083420411 高砂の松を緑と見し事はしたのもみちをしらぬなりけり」103オ
GOSE000020501 返し
GOSE083520502 時わかぬ松の緑も限なきおもひには猶色やもゆらん
GOSE000020503 たゝふみかはす許にて年へ侍ける人につか
GOSE000020504 はしける
GOSE083620505 水鳥のはかなきあとに年をへてかよふ許のえにこそ有けれ
GOSE000020506 返し
GOSE083720507 浪のうへに跡やは見ゆる水鳥のうきてへぬらん年はかすかは
GOSE000020508 せうそこつかはしける女のもとよりいなふねのと
GOSE000020509 いふことを返事にいひ侍けれはたのみていひ
GOSE000020510 わたりけるに猶あひかたきけしきに侍けれは
GOSE000020511 しはしとありしをいかなれはかくはといへりける」103ウ
GOSE000020601 返ことにつかはしける
GOSE083820602 流よるせゝの白浪あさけれはとまるいな舟かへるなるへし
GOSE000020603 返し 三条右大臣
GOSE083920604 もかみ河ふかきにもあへすいな舟の心かるくも帰なる哉
GOSE000020605 いとしのひてかたらふ人のをろかなるさまに見えけれは
GOSE000020606 よみ人しらす
GOSE084020607 花すゝきほにいつる事もなき物をまたきふきぬる秋の風哉
GOSE000020608 心さしをろかに見えける人につかはしける
GOSE000020609 なかきかむすめ
GOSE084120610 またさりし秋はきぬれと見し人の心はよそになりもゆくかな
GOSE000020611 返し 源是茂朝臣
GOSE00002061103【源是茂朝臣】-中納言民部卿天慶四年薨五十七光孝源氏」104オ
GOSE084220701 君を思心なかさは秋の夜にいつれまさるとそらにしらなん
GOSE000020702 ある所に近江といふ人をいとしのひてかたらひ
GOSE000020703 侍けるを夜あけてかへりけるを人見てさゝ
GOSE000020704 やきけれはその女のもとにつかはしける
GOSE000020705 坂上つねかけ
GOSE00002070501【坂上つねかけ】-常景
GOSE084320706 鏡山あけてきつれは秋きりのけさやたつらんあふみてふなは
GOSE000020707 あひしりて侍女の人にあたなたち侍けるに
GOSE000020708 つかはしける 平まれよの朝臣
GOSE00002070807【平まれよの朝臣】-希世右中弁
GOSE084420709 枝もなく人におらるゝ女郎花ねをたにのこせうへしわかため」104ウ
GOSE000020801 人のもとにまかりて侍によひいれねは
GOSE000020802 すのこにふしあかしてつかはしける
GOSE000020803 藤原成国
GOSE084520804 秋の田のかりそめふしもしてけるかいたつらいねをなにゝつまゝし
GOSE000020805 平かねきかやう/\かれかたになりにけれは
GOSE000020806 つかはしける 中務
GOSE084620807 あき風の吹につけてもとはぬ哉荻の葉ならはをとはしてまし
GOSE000020808 年月をへてせうそこし侍ける人につかは
GOSE000020809 しける よみ人しらす
GOSE084720810 君見すていく世へぬらん年月のふるとゝもにもおつるなみたか」105オ
GOSE000020901 女につかはしける
GOSE084820902 中/\に思かけては唐衣身になれぬをそうらむへらなる
GOSE000020903 返し
GOSE084920904 怨ともかけてこそ見め唐衣身になれぬれはふりぬとかきく
GOSE000020905 人につかはしける
GOSE085020906 なけゝともかひなかりけり世中になにゝくやしく思そめけん
GOSE000020907 わすれかたになり侍けるおとこにつかはしける
GOSE000020908 承香殿中納言
GOSE085120909 こぬ人を松のえにふる白雪のきえこそかへれくゆる思ひに
GOSE000020910 わすれ侍にける女につかはしける」105ウ
GOSE000021001 よみ人しらす
GOSE085221002 菊の花うつる心をゝくしもにかへりぬへくもおもほゆる哉
GOSE000021003 返し
GOSE085321004 今はとてうつりはてにし菊の花かへる色をはたれかみるへき
GOSE000021005 人のむすめにいとしのひてかよひ侍けるに
GOSE000021006 けしきを見ておやのまもりけれは五月
GOSE000021007 なかあめのころつかはしける
GOSE085421008 なかめしてもりもわひぬる人め哉いつかくもまのあらんとすらん
GOSE000021009 またあはす侍ける女のもとにしぬへしといへり
GOSE000021010 けれは返事にはやしねかしといへりけ
GOSE000021011 れは又つかはしける」106オ
GOSE085521101 おなしくは君とならひの池にこそ身をなけつとも人にきかせめ
GOSE000021102 女につかはしける
GOSE085621103 かけろふのほのめきつれはゆふくれの夢かとのみそ身をたとりつる
GOSE000021104 返し
GOSE085721105 ほの見てもめなれにけりときくからにふしかへりこそしなまほしけれ
GOSE000021106 せうそこしは/\つかはしけるをちゝはゝ侍て
GOSE000021107 せいし侍けれはえあひ侍らて
GOSE000021108 源よしの朝臣
GOSE00002110801【源よしの朝臣】-善寛平五年右少将昌泰三年左中将参議舒男
GOSE085821109 あふみてふ方のしるへもえてし哉見るめなきことゆきてうらみん
GOSE000021110 返し 春澄善縄朝臣女
GOSE00002111003【春澄善縄朝臣】-善縄貞観二年参議三年式部大輔十二年従三位薨七十三
GOSE085921111 相坂の関ともらるゝ我なれは近江てふらん方もしられす」106ウ
GOSE000021201 女のもとにつかはしける
GOSE086021202 よしの朝臣
GOSE086021203 葦引の山した水のこかくれてたきつ心をせきそかねつる
GOSE00002120301【葦引の山した水のこかくれてたきつ心をせきそかねつる】-古今
GOSE000021204 返し よみ人しらす
GOSE086121205 こかくれてたきつ山水いつれかはめにしも見ゆるをとにこそきけ
GOSE000021206 人のもとよりかへりてつかはしける
GOSE000021207 つらゆき
GOSE086221208 暁のなからましかは白露のをきてわひしき別せましや
GOSE000021209 返し よみ人しらす
GOSE086321210 をきて行人の心をしらつゆの我こそまつは思きえぬれ
GOSE000021211 女のもとにおとこかくしつゝ世をやつくさむ
GOSE000021212 たかさこのといふ事をいひつかはしたりけれは」107オ
GOSE086421301 高砂の松といひつゝ年をへてかはらぬ色ときかはたのまむ
GOSE000021302 人のむすめのもとにしのひつゝかよひ侍けるを
GOSE000021303 おやきゝつけていといたくいひけれはかへりて
GOSE000021304 つかはしける つらゆき
GOSE086521305 風をいたみくゆる煙のたちいてゝも猶こりすまのうらそこひしき
GOSE000021306 はしめて女のもとにつかはしける
GOSE000021307 よみ人しらす
GOSE086621308 いはねともわか限なき心をは雲ゐにとをき人もしら南
GOSE000021309 題しらす
GOSE086721310 君かねにくらふの山の郭公いつれあたなるこゑまさるらん」107ウ
GOSE000021401 せうそこかよはしける女をろかなるさまに
GOSE000021402 見え侍けれは
GOSE086821403 こひてぬる夢地にかよふたましひのなるゝかひなくうとききみ哉
GOSE000021404 女につかはしける
GOSE086921405 かゝり火にあらぬおもひのいかなれは涙の河にうきてもゆらん
GOSE08692140501【かゝり火にあらぬおもひのいかなれは涙の河にうきてもゆらん】-古今わか身の
GOSE000021406 人のもとにまかりてあしたにつかはしける
GOSE087021407 まちくらす日はすかのねにおもほえてあふよしもなとたまのをならん
GOSE000021408 大江千里まかりかよひける女をおもひかれか
GOSE000021409 たになりてとをき所にまかりにたりといはせて
GOSE000021410 ひさしうまからすなりにけりこの女思わひて」108オ
GOSE000021501 ねたる夜の夢にまうてきたりと見えけれは
GOSE000021502 うたかひにつかはしける
GOSE087121503 はかなかる夢のしるしにはかられてうつゝにまくる身とやなりなん
GOSE000021504 かくてつかはしたりけれは千里見侍てなをさ
GOSE000021505 りにまことにをとゝひなんかへりまうてこしかと
GOSE000021506 心地のなやましくてなんありつると許いひをく
GOSE000021507 りて侍けれはかさねてつかはしける
GOSE087221508 思ねの夢といひてもやみなまし中/\なにゝ有としりけん
GOSE000021509 やまとのかみに侍ける時かのくにの介藤原清秀か
GOSE000021510 むすめをむかへむとちきりておほやけことによりて」108ウ
GOSE000021601 あからさまに京にのほりたりけるほとにこの
GOSE000021602 むすめ真延法師にむかへられてまかりにけれは
GOSE000021603 くにゝかへりてたつねてつかはしける
GOSE000021604 忠房朝臣
GOSE087321605 いつしかのねになきかへりこしかとものへのあさ地は色つきにけり
GOSE000021606 せうそこつかはしける女の返事にまめやかに
GOSE000021607 しもあらしなといひて侍けれは
GOSE087421608 ひきまゆのかくふたこもりせまほしみくはこきたれてなくを見せはや
GOSE000021609 ある人のむすめあまたありけるをあねよりはし
GOSE000021610 めていひ侍けれときかさりけれは三にあたる
GOSE000021611 女につかはしける よみ人しらす」109オ
GOSE087521701 関山の峯のすきむらすきゆけと近江は猶そはるけかりける
GOSE000021702 あさたゝの朝臣ひさしうをともせてふみをこせ
GOSE000021703 て侍けれは
GOSE087621704 思いてゝをとつれしける山ひこのこたへにこりぬ心なに也
GOSE000021705 いとしのひてまかりありきて
GOSE087721706 まとろまぬ物からうたてしかすかにうつゝにもあらぬ心地のみする
GOSE000021707 返し
GOSE087821708 うつゝにもあらぬ心は夢なれや見てもはかなき物を思へは
GOSE000021709 うつまさわたりに大輔か侍けるにつかはしける
GOSE000021710 小野道風朝臣
GOSE087921711 限なく思ひいりえ(え=日)のともにのみ西の山へをなかめやる哉」109ウ
GOSE000021801 女五のみこに 忠房朝臣
GOSE088021802 君かなの立にとかなき身なりせはおほよそ人になして見ましや
GOSE000021803 返し 女五のみこ
GOSE088121804 たえぬると見れはあひぬる白雲のいとおほよそにおもはすも哉
GOSE000021805 みくしけとのにはしめてつかはしける
GOSE000021806 あつたゝの朝臣
GOSE088221807 けふそへにくれさらめやはとおもへともたへぬは人の心なりけり
GOSE000021808 道風しのひてまうてきけるにおやきゝつけて
GOSE000021809 せいしけれはつかはしける
GOSE000021810 大輔
GOSE088321811 いとかくてやみぬるよりはいなつまのひかりのまにも君を見てしか」110オ
GOSE000021901 大輔かもとにまうてきたりけるに侍らさり
GOSE000021902 けれはかへりて又のあしたにつかはしける
GOSE000021903 朝忠朝臣
GOSE088421904 いたつらに立帰にし白浪のなこりに袖のひる時もなし
GOSE000021905 返し 大輔
GOSE088521906 何にかは袖のぬるらん白浪のなこり有けも見えぬ心を
GOSE000021907 よしふるの朝臣さらにあはしとちかことを
GOSE000021908 して又のあしたにつかはしける
GOSE000021909 蔵内侍
GOSE088621910 ちかひても猶思ふにはまけにけりたかためおしきいのちならねは
GOSE000021911 しのひてまかりけれとあはさりけれは」110ウ
GOSE000022001 道風
GOSE088722002 なにはめにみつとはなしにあしのねのよのみしかくてあくるわひしさ
GOSE000022003 物いはむとてまかりたりけれとさきたちてむね
GOSE000022004 もちか侍けれははやかへりねといひいたして侍
GOSE000022005 けれは
GOSE088822006 かへるへき方もおほえす涙河いつれかわたるあさせなるらん
GOSE000022007 返し 大輔
GOSE088922008 涙河いかなるせよりかへりけん見なるゝみおもあやしかりしを
GOSE000022009 大輔かもとにつかはしける
GOSE000022010 敦忠朝臣
GOSE089022011 池水のいひいつる事のかたけれはみこもりなから年そへにける
GOSE000022012 (巻第十二<朱>)」111オ
GOSE000022101 後撰和歌集巻第十三
GOSE000022102 恋(恋+哥<朱>)五
GOSE000022103 題しらす 在原業平朝臣(此本又同<朱>)
GOSE00002210305【在原業平朝臣】-枇杷大臣哥也諸本如此非書写之誤
GOSE089122104 伊勢の海に遊あまともなりにしか浪かきわけてみるめかつかむ
GOSE000022105 返し 伊勢
GOSE089222106 おほろけのあまやはかつくいせの海の浪高き浦のおふるみるめは
GOSE000022107 つれなく見え侍ける人に
GOSE000022108 よみ人しらす
GOSE089322109 つらしとやいひはてゝまし白露の人に心はをかしと思を
GOSE000022110 題しらす」111ウ
GOSE089422201 なからへは人の心も見るへきに露の命そ悲かりける
GOSE000022202 小野小町かあね
GOSE089522203 ひとりぬる時はまたるゝ鳥のねもまれにあふ夜はわひしかりけり
GOSE000022204 女のうらみおこせて侍けれはつかはしける
GOSE000022205 ふかやふ
GOSE089622206 空蝉のむなしきからになるまてもわすれんと思我ならなくに
GOSE000022207 あたなるおとこをあひしりて心さしはありと
GOSE000022208 見えなから猶うたかはしくおほえけれはつ
GOSE000022209 かはしける よみ人しらす
GOSE089722210 いつまてのはかなき人の事のはか心の秋の風をまつらん
GOSE000022211 題しらす」112オ
GOSE089822301 うたゝねの夢許なる逢事を秋のよすから思つるかな
GOSE000022302 女のもとにまかりたりけるにかとをさしてあけ
GOSE000022303 さりけれはまかりかへりてあしたにつかはしける
GOSE000022304 兼輔朝臣
GOSE089922305 秋の夜の草のとさしのわひしきはあくれとあけぬ物にそ有ける
GOSE000022306 返し よみ人しらす
GOSE090022307 いふからにつらさそまさる秋の夜の草のとさしにさはるへしやは
GOSE000022308 桂のみこにすみはしめけるあひたにかのみこ
GOSE000022309 あひおもはぬけしきなりけれは
GOSE000022310 さたかすのみこ
GOSE00002231001【さたかすのみこ】-貞数清和母行平卿女」112ウ
GOSE090122401 人しれす物思ころのわか袖は秋の草はにおとらさりけり
GOSE000022402 しのひたる人につかはしける
GOSE000022403 贈太政大臣
GOSE090222404 しつはたに思みたれて秋の夜のあくるもしらすなけきつる哉
GOSE000022405 せうそこ(こ+は)かよはしけれとまたあはさりける
GOSE000022406 おとこをこれかれあひにけりといひさはくを
GOSE000022407 あらかはさなりとうらみつかはしたりけれは
GOSE000022408 よみ人しらす
GOSE090322409 (\<朱>)はちすはのうへはつれなきうらにこそ物あらかひはつくといふなれ
GOSE09032240901【はちすはの】-他説はすなはの(可付家説<朱>)
GOSE000022410 おとこのつらうなりゆくころ雨のふりけれは」113オ
GOSE000022501 つかはしける
GOSE090422502 ふりやめはあとたに見えぬうたかたのきえてはかなきよをたのむ哉
GOSE000022503 女のもとにまかりてえあはてかへりてつかはしける
GOSE090522504 あはてのみあまたの世をもかへる哉人めのしけき相坂にきて
GOSE000022505 女に物いふおとこふたりありけりひとりか返事
GOSE000022506 すときゝていまひとりかつかはしける
GOSE090622507 なひく方有ける物をなよ竹の世にへぬ物と思ける哉
GOSE000022508 女の心かはりぬへきをきゝてつかはしける
GOSE090722509 ねになけは人わらへ也くれ竹の世にへぬをたにかちぬとおもはん」113ウ
GOSE000022601 ふみつかはしける女のおやの伊勢へまかりけれは
GOSE000022602 ともにまかりけるにつかはしける
GOSE090822603 伊勢のあまと君しなりなはおなしくはこひしきほとにみるめからせよ
GOSE000022604 一条かもとにいとなんこひしきといひにやりたり
GOSE000022605 けれはおにのかたをかきてやるとて
GOSE000022606 一条
GOSE090922607 こひしくは影をたに見てなくさめよわかうちとけてしのふかほ也
GOSE000022608 返し 伊勢
GOSE091022609 影見れはいとゝ心そまとはるゝちかゝらぬけのうときなりけり
GOSE000022610 人のむすめにしのひてかよひ侍けるにつらけに」114オ
GOSE000022701 見え侍けれはせうそこありける返事に
GOSE000022702 よみ人しらす
GOSE091122703 人ことのうきをもしらすありかせし昔なからのわか身とも哉
GOSE000022704 見なれたる女に又物いはむとてまかりたりけれと
GOSE000022705 こゑ(ゑ+は)しなからかくれけれはつかはしける
GOSE091222706 郭公なつきそめてしかひもなくこゑをよそにもきゝわたる哉
GOSE000022707 人のもとにはしめてまかりてつとめてつかはしける
GOSE091322708 つねよりもおきうかりつる暁はつゆさへかゝる物にそ有ける
GOSE000022709 しのひてまてきける人のしものいたくふりける
GOSE000022710 夜まからてつとめてつかはしける」114ウ
GOSE091422801 をく霜の暁をきをおもはすは君かよとのによかれせましや
GOSE000022802 返し
GOSE091522803 霜をかぬ春よりのちのなかめにもいつかは君かよかれせさりし
GOSE000022804 心にもあらてひさしくとはさりける人の
GOSE000022805 もとにつかはしける
GOSE000022806 源英明朝臣
GOSE00002280601【源英明朝臣】-斉世親王一男母菅丞相女右近中将前蔵人頭天慶四年卒
GOSE091622807 (本まて<朱>)伊勢の海のあまのまて(て=\<朱>)かたいとまなみなからへにける身をそうらむる
GOSE09162280706【あまのまてかた】-蛤也 他家説まくかた 自他説殊不同只可随各可好
GOSE000022808 えかたう侍ける女の家のまへよりまかりける
GOSE000022809 を見ていつこへいくそといひいたして侍けれは」115オ
GOSE000022901 藤原ためよ
GOSE00002290101【藤原ためよ】-為世
GOSE091722902 逢事のかたのへとてそ我はゆく身をおなしなに思なしつゝ
GOSE000022903 題しらす よみ人も
GOSE091822904 君かあたり雲井に見つゝ宮ち山うちこえゆかん道もしらなく
GOSE000022905 おとこの返事につかはしける
GOSE000022906 俊子(本としこ<朱>)
GOSE091922907 思ふてふ事のはいかになつかしなのちうき物とおもはすも哉
GOSE000022908a +題しらす (\<朱>)兼茂朝臣のむすめ
GOSE092022908b 思てふ事こそうけれくれ竹のよにふる人のいはぬなけれは
GOSE000022909 よみ人しらす(よみ人しらす=兵衛<朱>)
GOSE092122910 おもはむと我をたのめし事のはゝ忘草とそ今はなるらし
GOSE000022911 おとこのやまひにわつらひてまからてひさしく
GOSE000022912 ありてつかはしける」115ウ
GOSE092223001 今まてもきえて有つるつゆの身はをくへきやとのあれはなりけり
GOSE000023002 返し
GOSE092323003 事の葉もみな霜かれに成ゆくはつゆのやとりもあらしとそ思
GOSE000023004 怨をこせて侍ける人の返事に
GOSE092423005 忘むといひし事にもあらなくに今は限と思物かは
GOSE092523006 うつゝにはふせとねられすをきかへり昨日の夢をいつかわすれん
GOSE000023007 女につかはしける
GOSE092623008 さゝらなみまなくたつめる浦をこそ世にあさしとも見つゝわすれめ
GOSE000023009 西四条の斎宮またみこにものし給し時心さ
GOSE00002300901【西四条の斎宮】-雅子内親王
GOSE000023010 しありておもふ事侍けるあひたに斎宮にさ
GOSE000023011 たまりたまひにけれは」116オ
GOSE000023101 そのあくるあしたにさか木の枝にさしてさ
GOSE000023102 しをかせ侍ける あつたゝの朝臣
GOSE092723103 伊勢の海のちひろのはまにひろふとも今は何てふかひかあるへき
GOSE000023104 あさよりの朝臣年ころせうそこかよはし侍ける
GOSE000023105 女のもとよりようなし今は思わすれねと
GOSE000023106 はかり申てひさしうなりにけれはこと女に
GOSE000023107 いひつきてせうそこもせすなりにけれは
GOSE000023108 本院のくら(本院のくら=ちこ<朱>)
GOSE092823109 わすれねといひしにかなふ君なれとゝはぬはつらき物にそ有ける
GOSE000023110 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)」116ウ
GOSE092923201 春霞はかなくたちてわかるとも風より外に誰かとふへき
GOSE000023202 返し 伊勢
GOSE093023203 めに見えぬ風に心をたくへつゝやらは霞のわかれこそせめ
GOSE000023204 土左かもとよりせうそこ侍ける返事につかはしける
GOSE000023205 さたもとのみこ
GOSE00002320501【さたもとのみこ】-貞元
GOSE093123206 ふか緑染釼松のえにしあらはうすき袖にも浪はよせてん
GOSE000023207 返し 土左
GOSE093223208 松山のすゑこす浪のえにしあらは君か袖にはあともとまらし
GOSE000023209 女のもとよりさためなき心ありなと申たりけれは
GOSE000023210 贈太政大臣
GOSE093323211 深く思ひそめつといひし事のはゝいつか秋風ふきてちりぬる」117オ
GOSE000023301 をとこの心かはるけしきなりけれはたゝなりける
GOSE000023302 時このおとこの心させりける扇にかきつけて侍ける
GOSE000023303 よみ人しらす
GOSE093423304 人をのみうらむるよりは心からこれいまさりしつみとおもはん
GOSE000023305 しのひたる女のもとにせうそこつかはしたりけれは
GOSE093523306 葦引の山したしけくゆく水の流てかくしとはゝたのまん
GOSE000023307 おとこのわすれ侍にけれは
GOSE000023308 伊勢
GOSE093623309 わひはつる時さへ物のかなしきはいつこを忍心なるらむ
GOSE000023310 をやのまもりける女をいなともせともいひはな」117ウ
GOSE000023401 てと申けれは
GOSE093723402 いなせともいひはなたれすうき物は身を心ともせぬ世なりけり
GOSE000023403 おとこのいかにそえまうてこぬことゝいひて侍けれは
GOSE000023404 よみ人しらす
GOSE093823405 こすやあらんきやせんとのみ河岸の松の心を思やらなん
GOSE000023406 とまれと思おとこのいてゝまかりけれは
GOSE093923407 しひてゆくこまのあしおるはしをたになとわかやとにわたさゝりけん
GOSE000023408 物いひける人のひさしうをとつれさりける
GOSE000023409 からうしてまうてきたりけるになとかひ
GOSE000023410 さしうといへりけれは」118オ
GOSE094023501 年をへていけるかひなきわか身をは何かは人に有としられん
GOSE000023502 いとしのひてまうてきたりけるおとこをせいし
GOSE000023503 ける人ありけりのゝしりけれはかへりまかりて
GOSE000023504 つかはしける
GOSE094123505 あさりする時そわひしき人しれすなにはの浦にすまふわか身は
GOSE000023506 公頼朝臣いまゝかりける女のもとにのみまかりけれは
GOSE000023507 寛湛法師母
GOSE094223508 なかめつゝ人まつよゐのよふことりいつ方へとか行かへるらん
GOSE000023509 しのひたる人に よみ人しらす
GOSE094323510 人ことのたのみかたさはなにはなるあしのうらはのうらみつへしな」118ウ
GOSE000023601 しのひてかよひ侍ける人いまかへりてなとた
GOSE000023602 のめをきておほやけのつかひにいせのくにゝ
GOSE000023603 まかりて帰まうてきてひさしうとはす侍けれは
GOSE000023604 少将内侍
GOSE094423605 人はかる心のくまはきたなくてきよきなきさをいかてすきけん
GOSE000023606 返し 兼輔朝臣
GOSE094523607 たかためにわれかいのちを長浜の浦にやとりをしつゝかはこし
GOSE000023608 女のもとにつかはしける
GOSE000023609 よみ人しらす
GOSE094623610 せきもあへす淵にそ迷涙河わたるてふせをしるよしも哉
GOSE000023611 返し」119オ
GOSE094723701 淵なから人かよはさし涙河わたらはあさきせをもこそ見れ
GOSE000023702 つねにまうてきて物なといふ人のいまはなま
GOSE000023703 うてこそ人もうたていふなりといひいたして
GOSE000023704 侍けれは
GOSE094823705 きて帰名をのみそ立唐衣したゆふひもの心とけねは
GOSE000023706 左大臣河原にいてあひて侍けれは
GOSE000023707 内侍たひらけい子
GOSE00002370701【内侍たひらけい子】-平子
GOSE094923708 たえぬとも何思けん涙河流あふせも有ける物を
GOSE000023709 大輔につかはしける
GOSE000023710 左大臣
GOSE095023711 今はゝやみ山をいてゝ郭公けちかきこゑを我にきかせよ」119ウ
GOSE000023801 返し
GOSE095123802 人はいさみ山かくれの郭公ならはぬさとはすみうかるへし
GOSE000023803 左大臣につかはしける
GOSE000023804 中務
GOSE095223805 有したにうかりし物をあかすとていつこにそふるつらさなるらん
GOSE000023806 右近につかはしける
GOSE000023807 左大臣(左大臣=右大臣<朱>)
GOSE095323808 思ひわひ君かつらきにたちよらは雨も人めもゝらさゝらなん
GOSE000023809 たかあきらの朝臣にふえをゝくるとて
GOSE000023810 よみ人しらす
GOSE095423811 ふえ竹の本のふるねはかはるともをのかよゝにはならすもあらなん
GOSE000023812 こと女にものいふときゝてもとのめの内侍の」120オ
GOSE000023901 ふすへ侍けれは よしふるの朝臣
GOSE095523902 めも見えす涙の雨のしくるれは身のぬれきぬはひるよしもなし
GOSE000023903 返し 中将内侍(中将内侍=宮内侍<朱>)
GOSE095623904 にくからぬ人のきせけんぬれきぬは思ひにあへす今かはきなん
GOSE000023905 題しらす 小野道風
GOSE095723906 おほかたはせとたにかけしあまの河ふかき心をふちとたのまむ
GOSE000023907 返し よみ人しらす
GOSE095823908 淵とてもたのみやはする天河年にひとたひわたるてふせを
GOSE000023909 みくしけとのゝへたうにつかはしける
GOSE000023910 きよかけの朝臣」120ウ
GOSE095924001 身のならん事をもしらすこく舟は浪の心もつゝまさりけり
GOSE000024002 事いてきてのちに京極御息所につかはしける
GOSE000024003 もとよしのみこ
GOSE096024004 わひぬれは今はたおなしなにはなる身をつくしてもあはんとそ思
GOSE000024005 しのひてみくしけとのゝへたうにあひかたらふと
GOSE000024006 きゝてちゝの左大臣(左大臣=ひたりのおほいまうちきみ<朱>)のせいし侍けれは
GOSE000024007 あつたゝの朝臣
GOSE00002400701【あつたゝの朝臣】-贈太政大臣延木九年薨卅九于時敦忠五歳雖難信諸本同
GOSE096124008 如何してかく思てふ事をたに人つてならて君にかたらん
GOSE000024009 公頼朝臣のむすめにしのひてすみ侍けるにわ
GOSE000024010 つらふ事ありてしぬへしといへりけれはつかはしける
GOSE000024011 朝忠朝臣」121オ
GOSE096224101 もろともにいさといはすはしての山こゆともこさむ物ならなくに
GOSE000024102 年をへてかたらふ人のつれなくのみ侍けれは
GOSE000024103 うつろひたる菊につけてつかはしける
GOSE000024104 きよかけの朝臣
GOSE096324105 かく許ふかき色にもうつろふを猶きみきくの花といはなん
GOSE000024106 人のもとにまかりたりけるにかとよりのみ返し
GOSE000024107 けるにからうしてすたれのもとによひよせてかう
GOSE000024108 てさへや心ゆかぬといひいたしたりけれは
GOSE000024109 よみ人しらす
GOSE096424110 いさやまた人の心も白露のをくにもとにも袖のみそひつ
GOSE000024111 人のもとにまかりけるをあはてのみ返し侍けれは」121ウ
GOSE000024201 みちよりいひつかはしける
GOSE096524202 よるしほのみちくるそらもおもほえすあふこと浪に帰と思へは
GOSE000024203 人を思かけていひわたり侍けるをまちとをにのみ
GOSE000024204 侍けれは
GOSE096624205 かすならぬ身は山のはにあらねともおほくの月をすくしつる哉
GOSE000024206 ひさしくいひわたり侍けるにつれなくのみ侍けれは
GOSE000024207 業平朝臣
GOSE096724208 たのめつゝあはて年ふるいつはりにこりぬ心を人はしらなん
GOSE09672420801【たのめつゝあはて年ふるいつはりにこりぬ心を人はしらなん】-古今躬恒哥也 諸本皆同
GOSE000024209 返し 伊勢
GOSE096824210 夏虫のしる/\迷おもひをはこりぬかなしとたれか見さらん」122オ
GOSE000024301 返ことせぬ人につかはしける
GOSE000024302 よみ人しらす
GOSE096924303 打わひてよはゝむ声に山ひこのこたへぬそらはあらしとそ思
GOSE000024304 返し
GOSE097024305 山ひこのこゑのまに/\とひゆかはむなしきそらにゆきやかへらん
GOSE000024306 かくいひかよはすほとに三とせ許になり侍にけれは
GOSE097124307 荒玉の年の三とせはうつせみのむなしきねをやなきてくらさむ
GOSE000024308 題しらす
GOSE097224309 流いつる涙の河のゆくすゑはつゐに近江のうみとたのまん
GOSE000024310 雨のふる日人につかはしける
GOSE097324311 雨ふれとふらねとぬるゝわか袖のかゝるおもひにかわかぬやなそ」122ウ
GOSE000024401 返し
GOSE097424402 露許ぬるらん袖のかはかぬは君か思ひのほとやすくなき
GOSE000024403 女のもとにまかりたるにたちなからかへしたれは
GOSE000024404 みちよりつかはしける
GOSE097524405 常よりもまとふ/\そ帰つるあふ道もなきやとにゆきつゝ
GOSE000024406 雨にもさはらすまてきてそら物かたりなとし
GOSE000024407 けるおとこのかとよりわたるとて雨のいたくふれは
GOSE000024408 なんまかりすきぬるといひたれは
GOSE097624409 ぬれつゝもくると見えしは夏引のてひきにたえぬいとにや有けん
GOSE000024410 人にわすられて侍ける時
GOSE097724411 かすならぬ身はうき草となりなゝんつれなき人によるへしられし」123オ
GOSE000024501 思わすれにける人のもとにまかりて
GOSE097824502 ゆふやみは道も見えねと旧里は本こし駒にまかせてそくる
GOSE000024503 返し
GOSE097924504 駒にこそまかせたりけれあやなくも心のくると思ける哉
GOSE000024505 朝綱朝臣の女にふみ(み+なと)つかはしけるをこと女に
GOSE000024506 いひつきてひさしうなりて秋とふらひて侍けれは
GOSE098024507 いつ方に事つてやりてかりかねのあふことまれに今はなるらん
GOSE000024508 をとこのかれはてぬにことおとこをあひしりて
GOSE000024509 侍けるにもとのおとこのあつまへまかりけるをきゝて
GOSE000024510 つかはしける
GOSE098124511 有とたにきくへき物を相坂の関のあなたそはるけかりける」123ウ
GOSE000024601 返し
GOSE098224602 関もりかあらたまるてふ相坂のゆふつけ鳥はなきつゝそゆく
GOSE000024603 又女のつかはしける
GOSE098324604 ゆき帰りきてもきか南相坂の関にかはれる人も有やと
GOSE000024605 返し
GOSE098424606 もる人のあるとはきけと相坂のせきもとゝめぬわかなみた哉
GOSE000024607 かれにけるおとこの思いてゝまてきて物なといひ
GOSE000024608 てかへりて
GOSE098524609 葛木やくめちにわたすいはゝしの中/\にても帰ぬる哉
GOSE000024610 返し
GOSE098624611 中たえてくる人もなきかつらきのくめちのはしはいまもあやうし」124オ
GOSE000024701 しろきゝぬともきたる女とものあまた月あかきに
GOSE000024702 侍けるを見てあしたにひとりかもとにつかはしける
GOSE000024703 藤原有好
GOSE098724704 白雲のみなひとむらに見えしかとたちいてゝ君を思そめてき
GOSE000024705 女のもとにつかはしける
GOSE000024706 よみ人しらす
GOSE098824707 よそなれと心許はかけたるをなとかおもひにかはかさるらん
GOSE000024708 題しらす
GOSE098924709 わかこひのきゆるまもなくゝるしきはあはぬ歎やもえわたる覧
GOSE000024710 返し
GOSE099024711 きえすのみもゆる思ひはとをけれと身もこかれぬる物にそ有ける」124ウ
GOSE000024801 又おとこ
GOSE099124802 うへにのみをろかにもゆるかやり火のよにもそこには思こかれし
GOSE000024803 又返し
GOSE099224804 河とのみわたるを見るになくさまてくるしきことそいやまさりなる
GOSE000024805 又おとこ
GOSE099324806 水まさる心地のみしてわかためにうれしきせをは
GOSE099324807 見せしとやする
GOSE000024808 (巻第十三<朱>)」125オ
GOSE000024901 後撰和歌集巻第十四
GOSE000024902 恋(恋+哥<朱>)六
GOSE000024903 人のもとにつかはしける
GOSE000024904 よみ人しらす
GOSE099424905 逢事をよとに有てふみつのもりつらしと君を見つるころ哉
GOSE000024906 返し
GOSE099524907 みつのもりもるこのころのなかめには怨もあへすよとの河浪
GOSE000024908 みつからまてきてよもすから物いひ侍けるにほと
GOSE000024909 なくあけ侍にけれはまかりかへりて
GOSE099624910 うき世とは思物からあまのとのあくるはつらき物にそ有ける」125ウ
GOSE000025001 女のもとにつかはしける
GOSE099725002 うらむれとこふれと君かよとゝもにしらすかほにてつれなかるらん
GOSE000025003 返し
GOSE099825004 怨むともこふともいかゝ雲井よりはるけき人をそらにしるへき
GOSE000025005 いひわつらひてやみにける人にひさしうありて
GOSE000025006 又つかはしける
GOSE099925007 しつはたにへつるほと也白糸のたえぬる身とはおもはさらなん
GOSE000025008 返し
GOSE100025009 へつるよりうすくなりにしゝつはたのいとはたえてもかひやなからん
GOSE000025010 をとこのまてきてすき事をのみしけれは人や
GOSE000025011 いかゝ見るらんとて」126オ
GOSE100125101 くる事は常ならすともたまかつらたのみはたえしと思こゝろあり
GOSE000025102 返し
GOSE100225103 玉鬘たのめくる日のかすはあれとたえ/\にてはかひなかりけり
GOSE000025104 をとこのひさしうをとつれさりけれは
GOSE100325105 いにしへの心はなくや成にけんたのめしことのたえてとしふる
GOSE000025106 返し
GOSE100425107 いにしへも今も心のなけれはそうきをもしらて年をのみふる
GOSE000025108 おとこのたゝなりける時にはつねにまうてきけるか
GOSE000025109 ものいひてのちはかとよりわたれとまてこさりけれは
GOSE100525110 たえたりし昔たに見しうちはしを今はわたるとをとにのみきく」126ウ
GOSE000025201 いひわひてふたとせ許をともせすなりにける
GOSE000025202 おとこの五月はかりにまうてきて年ころひさ
GOSE000025203 しうありつるなといひてまかりにけるに
GOSE100625204 わすられて年ふるさとの郭公なにゝひとこゑなきてゆく覧
GOSE000025205 題しらす
GOSE100725206 とふやとてすきなきやとにきにけれとこひしきことそしるへなりける
GOSE000025207 物いひ(いひ=のたうひ<朱>)わひて女のもとにいひやりける
GOSE100825208 露のいのちいつともしらぬ世中になとかつらしと思をかるゝ
GOSE000025209 女のほかに侍けるをそこにとをしふる人も
GOSE000025210 侍らさりけれは心つからとふらひて侍ける返ことに
GOSE000025211 つかはしける」127オ
GOSE100925301 かり人のたつぬるしかはいなひのにあはてのみこそあらまほしけれ
GOSE000025302 しのひたる女のもとよりなとかをともせぬと申たりけれは
GOSE000025303 右大臣
GOSE101025304 を山田の水ならなくにかく許流そめてはたえん物かは
GOSE000025305 おとこのまてこてあり/\て雨のふる夜おほかさを
GOSE000025306 こひにつかはしたりけれは
GOSE000025307 これひらの朝臣のむすめいまき
GOSE101125308 月にたにまつほとおほくすきぬれは雨もよにこしとおもほゆる哉
GOSE000025309 はしめて人につかはしける
GOSE000025310 よみ人しらす
GOSE101225311 思つゝまたいひそめぬわかこひをおなし心にしらせてし哉」127ウ
GOSE000025401 いひわつらひてやみにけるを又思いてゝとふらひ侍
GOSE000025402 けれはいと定なき心哉といひてあすか河の心を
GOSE000025403 いひつかはして侍けれは
GOSE101325404 あすか河心の内になかるれはそこのしからみいつかよとまん
GOSE000025405 思かけたる女のもとに
GOSE000025406 あさよりの朝臣
GOSE101425407 ふしのねをよそにそきゝし今はわか思ひにもゆる煙なりけり
GOSE000025408 返し よみ人しらす
GOSE101525409 しるしなき思とそきくふしのねもかこと許の煙なるらん
GOSE000025410 いひかはしけるおとこのおやいといたうせいすと
GOSE000025411 きゝて女のいひつかはしける」128オ
GOSE101625501 いひさしてとゝめらるなる池水の波いつかたに思よるらん
GOSE000025502 おなし所に侍ける人の思心侍けれといはてしのひける
GOSE000025503 をいかなるおりにかありけんあたりにかきておと
GOSE000025504 しける
GOSE101725505 しられしなわかひとしれぬ心もて君を思ひのなかにもゆとは
GOSE000025506 心さしをはあはれとおもへと人めになんつゝむと
GOSE000025507 いひて侍けれは
GOSE101825508 あふはかりなくてのみふるわかこひを人めにかくる事のわひしさ
GOSE000025509 題しらす
GOSE101925510 夏衣身にはなるともわかためにうすき心はかけすもあら南
GOSE102025511 いかにして事かたらはん郭公歎のしたになけはかひなし」128ウ
GOSE102125601 思ひつゝへにける年をしるへにてなれぬる物は心なりけり
GOSE10212560101【思ひつゝへにける年をしるへにてなれぬる物は心なりけり】-拾遺
GOSE000025602 ふみなとつかはしける女のことおとこにつき侍
GOSE000025603 けるにつかはしける 源とゝのふ
GOSE000025604 【源とゝのふ】-整
GOSE102225605 我ならぬ人住の江の岸にいてゝなにはの方を怨つる哉
GOSE000025606 とゝのふかれかたになり侍にけれはとゝめをきたる
GOSE000025607 ふえをつかはすとて
GOSE000025608 よみ人しらす
GOSE102325609 にこりゆく水には影の見えはこそあしまよふえをとゝめても見め
GOSE000025610 菅原のおほいまうちきみの家に侍ける女に
GOSE000025611 かよひ侍けるおとこなかたえて又とひて侍けれは」129オ
GOSE102425701 菅原や伏見の里のあれしよりかよひし人の跡もたえにき
GOSE000025702 女のおとこをいとひてさすかにいかゝおほえけん
GOSE000025703 いへりける
GOSE102525704 ちはやふる神にもあらぬわかなかの雲井遥に成もゆく哉
GOSE000025705 返し
GOSE102625706 千早振神にも何にたとふらんをのれくもゐに人をなしつゝ
GOSE000025707 (\<朱>)女三のみこに あつよしのみこ(こ+に<朱> 女一のみこ<朱>)
GOSE102725708 うきしつみふちせにさはくにほとりはそこものとかにあらしとそ思
GOSE000025709 かひに人のものいふときゝて 藤原守文
GOSE102825710 松山に浪たかきをとそきこゆなる我よりこゆる人はあらしを」129ウ
GOSE000025801 おとこのもとに雨ふる夜かさをやりてよひけれと
GOSE000025802 こさりけれは よみ人しらす
GOSE102925803 さしてこと思し物をみかさ山かひなく雨のもりにける哉
GOSE000025804 返し
GOSE103025805 もるめのみあまた見ゆれはみかさ山しる/\いかゝさしてゆくへき
GOSE000025806 女のもとよりいといたくな思わひそとたのめをこ
GOSE000025807 せて侍けれは
GOSE103125808 なくさむることのはにたにかゝらすは今もけぬへき露の命を
GOSE000025809 元良のみこのみそかにすみ侍ける今こむと
GOSE000025810 たのめてこすなりにけれは
GOSE000025811 兵衛
GOSE00002581101【兵衛】-兼茂朝臣女」130オ
GOSE103225901 ひとしれすまつにねられぬ晨明の月にさへこそあさむかれけれ
GOSE000025902 しのひてすみ侍ける人のもとよりかゝるけしき
GOSE000025903 人に見すなといへりけれは
GOSE000025904 もとかた
GOSE103325905 龍田河たちなは君か名をゝしみいはせのもりのいはしとそ思
GOSE000025906 宇多院に侍ける人にせうそこつかはしける返
GOSE000025907 事も侍らさりけれは
GOSE000025908 よみ人しらす
GOSE103425909 うたのゝはみゝなし山かよふこ鳥よふこゑにたにこたへさるらん
GOSE000025910 返し 女五のみこ
GOSE00002591003【女五のみこ】-依子鬘宮葉は更衣貞子大納言女
GOSE103525911 耳なしの山ならすともよふことり何かはきかん時ならぬねを」130ウ
GOSE000026001 つれなく侍ける人に
GOSE000026002 たゝみね
GOSE103626003 こひわひてしぬてふことはまたなきを世のためしにもなりぬへき哉
GOSE000026004 たちよりけるに女にけていりけれはつかはしける
GOSE000026005 よみ人しらす
GOSE103726006 影見れはおくへいりける君によりなとか涙のとへはいつらん
GOSE000026007 あひにける女のまたあはさりけれは
GOSE103826008 しらさりし時たにこえし相坂をなと今更にわれ迷覧
GOSE000026009 女のもとにまかりそめてあしたに
GOSE000026010 藤原かけもと
GOSE00002601001【藤原かけもと】-蔭基
GOSE103926011 あかすして枕のうへに別にしゆめちを又もたつねてし哉」131オ
GOSE000026101 をとこのとはすなりにけれは
GOSE000026102 よみ人しらす
GOSE104026103 をともせすなりもゆく哉すゝか山こゆてふなのみたかくたちつゝ
GOSE000026104 返し
GOSE104126105 こえぬてふ名をなうらみそすゝか山いとゝまちかくならんと思を
GOSE000026106 女に物いはんとてきたりけれとこと人に物いひ
GOSE000026107 けれはかへりて
GOSE104226108 わかためにかつはつらしとみ山木のこりともこりぬかゝるこひせし
GOSE000026109 返し
GOSE104326110 あふこなき身とはしる/\恋すとて歎こりつむ人はよきかは
GOSE000026111 人につかはしける
GOSE000026112 戒仙法師」131ウ
GOSE104426201 あさことに露はをけとも人こふるわか事のはゝ色もかはらす
GOSE000026202 きてものいひけるひとのおほかたはむつましかり
GOSE000026203 けれとちかうはえあらすして
GOSE000026204 よみ人しらす
GOSE104526205 まちかくてつらきを見るはうけれともうきは物かはこひしきよりは
GOSE000026206 女のもとにつかはしける
GOSE000026207 藤原さねたゝ
GOSE104626208 つくしなる思ひそめ河わたりなは水やまさらんよとむ時なく
GOSE000026209 返し よみ人しらす
GOSE104726210 渡てはあたになるてふ染河の心つくしになりもこそすれ
GOSE000026211 おとこのもとより花さかりにこむといひてこさりけれは」132オ
GOSE104826301 花さかりすくしゝ人はつらけれと事のはをさへかくしやはせん
GOSE000026302 をとこのひさしうとはさりけれは
GOSE000026303 右近
GOSE104926304 とふことをまつに月日はこゆるきのいそにやいてゝ今はうらみん
GOSE000026305 あひしりて侍ける人のもとにひさしうまから
GOSE000026306 さりけれは忘草なにをかたねと思しはと
GOSE000026307 いふことをいひつかはしたりけれは
GOSE000026308 よみ人しらす
GOSE105026309 忘草名をもゆゝしみかりにてもおふてふやとはゆきてたに見し
GOSE000026310 返し
GOSE105126311 うきことのしけきやとには忘草うへてたに見し秋そわひしき」132ウ
GOSE000026401 女ともろともに侍て
GOSE105226402 かすしらぬ思ひは君にある物をゝき所なき心地こそすれ
GOSE000026403 返し
GOSE105326404 をき所なき思ひとしきゝつれは我にいくらもあらしとそ思
GOSE000026405 元長のみこに夏のさうそくしてをくるとて
GOSE00002640501【元長のみこ】-式部卿陽成第三天延四年薨七十六
GOSE000026406 そへたりける 南院式部卿のみこのむすめ
GOSE00002640607【南院式部卿のみこのむすめ】-貞保式部卿清和第四母二条后延長二薨
GOSE105426407 わかたちてきるこそうけれ夏衣おほかたとのみ見へきうすさを
GOSE000026408 ひさしうとはさりける人の思いてゝこよひ
GOSE000026409 まうてこんかとさゝてあひまてと申てまて
GOSE000026410 こさりけれは よみ人しらす」133オ
GOSE105526501 やへむくらさしてし門を今更に何にくやしくあけてまちけん
GOSE000026502 人をいひわつらひてこと人にあひ侍てのちいかゝ
GOSE000026503 ありけんはしめの人に思かへりてほとへにけれは
GOSE000026504 ふみはやらすして扇にたかさこのかたかきたるに
GOSE000026505 つけてつかはしける 源庶明朝臣
GOSE105626506 さをしかのつまなきこひを高砂のおのへのこ松きゝもいれなん
GOSE000026507 返し よみ人しらす
GOSE105726508 さをしかの声高砂にきこ江しはつまなき時のねにこそ有けれ
GOSE000026509 思ふ人にえあひ侍らてわすられにけれは
GOSE105826510 せきもあへす涙の河のせをはやみかゝらむ物と思やはせし」133ウ
GOSE000026601 題しらす
GOSE105926602 せをはやみたえすなかるゝ水よりもたえせぬ物はこひにそ有ける
GOSE106026603 こふれともあふよなき身は忘草夢地にさへやおいしけるらん
GOSE10602660301【こふれともあふよなき身は忘草夢地にさへやおいしけるらん】-古今
GOSE106126604 世中のうきはなへてもなかりけりたのむ限そ怨られける
GOSE000026605 たのめたりける人に
GOSE106226606 ゆふされは思ひそしけきまつ人のこむやこしやの定なけれは
GOSE000026607 女につかはしける 源よしの朝臣
GOSE106326608 いとはれてかへりこしちのしら山はいらぬに迷物にそ有ける
GOSE000026609 題しらす よみ人も
GOSE106426610 人浪にあらぬわか身はなにはなるあしのねのみそしたになかるゝ」134オ
GOSE106526701 白雲のゆくへき山はさたまらす思ふ方にも風はよせなん
GOSE106626702 世中に猶有あけの月なくてやみに迷をとはぬつらしな
GOSE000026703 さたまらぬ心ありと女のいひたりけれはつかはしける
GOSE000026704 贈太政大臣
GOSE106726705 あすか河せきてとゝむる物ならはふちせになるとなとかいはれん
GOSE10672670501【あすか河せきてとゝむる物ならはふちせになるとなとかいはれん】-在恋第三諸本同
GOSE000026706 ひさしうまかりかよはすなりにけれは十月許に
GOSE000026707 雪のすこしふりたるあしたにいひ侍ける
GOSE000026708 右近
GOSE106826709 身をつめはあはれとそ思はつ雪のふりぬることもたれにいはまし
GOSE000026710 源たゝあきらの朝臣十月許にとこなつを
GOSE00002671001【源たゝあきらの朝臣】-正明天暦五年参議兼大弼是忠親王子」134ウ
GOSE000026801 おりてをくりて侍けれは
GOSE000026802 よみ人しらす
GOSE106926803 冬なれと君かゝきほにさきけれはむへとこ夏にこひしかりけり
GOSE000026804 女のうらむることありておやのもとにまかり渡
GOSE000026805 て侍けるに雪のふかくふりて侍けれはあし
GOSE000026806 たに女のむかへにくるまつかはしけるせうそ
GOSE000026807 こにくはへてつかはしける
GOSE000026808 かねすけの朝臣
GOSE107026809 白雪のけさはつもれる思ひ哉あはてふる夜のほともへなくに
GOSE000026810 返し よみ人しらす
GOSE107126811 しらゆきのつもる思ひもたのまれす春よりのちはあらしとおもへは」135オ
GOSE000026901 心さし侍女みやつかへし侍けれはあふことか
GOSE000026902 たくて侍けるにゆきのふるにつかはしける
GOSE107226903 わかこひし君かあたりをはなれねはふる白雪もそらにきゆらん
GOSE000026904 返し
GOSE107326905 山かくれきえせぬ雪のわひしきは君まつのはにかゝりてそふる
GOSE000026906 物いひ侍ける女に年のはてのころほひつかは
GOSE000026907 しける
GOSE000026908 藤原ときふる
GOSE00002690801【藤原ときふる】-時雨
GOSE107426909 あらたまの年はけふあすこえぬへし相坂山を我や
GOSE107426910 をくれん
GOSE000026911 (巻第十四<朱>)」135ウ
(136オ)
GOSE000027101 後撰和歌集巻第十五
GOSE000027102 雑(雑+哥<朱>)一
GOSE000027103 仁和のみかと嵯峨の御時の例にてせり河に
GOSE00002710307【嵯峨の御時の例】-或記云二年十二月十四日寅刻行幸芹河野為用鷹鷂也狩猟之儀一依承和故事或考旧記或随古老口伝如此記者非嵯峨例
GOSE000027104 行幸したまひける日
GOSE000027105 在原行平朝臣
GOSE00002710501【在原行平朝臣】-仁和二年十二月四日行幸三年四月十三日致仕寛平五年薨七十七
GOSE107527106 嵯峨の山みゆきたえにしせり河の千世(千世=のへ<朱>)のふるみちあとは有けり
GOSE000027107 おなし日(おなし日$仁和のみかとせりかはの行幸したまひける日<朱>)たかゝひにてかりきぬのたもとに
GOSE000027108 るのかたをぬひてかきつけたりける
GOSE107627109 おきなさひ人なとかめそ狩衣けふ許とそたつもなくなる」136ウ
GOSE000027201 (本無<朱>)(\<朱>)行幸の又の日なん致仕の表たてまつりける
GOSE000027202 紀友則またつかさたまはらさりける時こと
GOSE000027203 のついて侍て年はいくら許にかなりぬると
GOSE000027204 とひ侍けれは四十余になんなりぬると申けれは
GOSE000027205 贈太政大臣
GOSE107727206 今まてになとかは花のさかすしてよそとせあまり年きりはする
GOSE000027207 返し とものり
GOSE107827208 はる/\のかすはわすれす有なから花さかぬ木をなにゝうへけん
GOSE000027209 外吏にしは/\まかりありきて殿上おりて侍
GOSE000027210 ける時かねすけの朝臣のもとにをくり侍ける」137オ
GOSE000027301 平中興
GOSE107927302 世とゝもに峯へふもとへおりのほりゆく雲の身は我にそ有ける
GOSE000027303 また后になりたまはさりける時かたはらの女
GOSE000027304 御たちそねみたまふけしきなりける時みかと
GOSE000027305 御さうしにしのひてたちよりたまへりけるに
GOSE000027306 御たいめんはなくてたてまつれたまひける
GOSE000027307 嵯峨后
GOSE00002730701【嵯峨后】-嘉智子仁明母后嘉祥三年崩六十五
GOSE108027308 事しけししはしはたてれよゐのまにをけらんつゆはいてゝはらはん
GOSE000027309 家に行平朝臣まうてきたりけるに月の
GOSE000027310 おもしろかりけるにさけらなとたうへて」137ウ
GOSE000027401 まかりたゝむとしけるほとに
GOSE000027402 河原左大臣
GOSE108127403 てる月をまさ木のつなによりかけてあかすわかるゝ人をつなかん
GOSE000027404 返し 行平朝臣
GOSE108227405 限なきおもひのつなのなくはこそまさきのかつらよりもなやまめ
GOSE000027406 世中を思うして侍けるころ
GOSE000027407 業平朝臣
GOSE108327408 すみわひぬ今は限と山さとにつま木こるへきやともとめてん
GOSE000027409 我をしりかほにないひそと女のいひて侍
GOSE000027410 ける返事に
GOSE000027411 みつね」138オ
GOSE108427501 葦引の山におひたるしらかしのしらしな人をくち木なりとも
GOSE000027502 すかたあやしと人のわらひけれは
GOSE108527503 伊勢の海のつりのうけなるさまなれとふかき心はそこにしつめり
GOSE000027504 おほきおほいまうちきみの白河の家にまかり
GOSE000027505 渡て侍けるに人のさうしにこもり侍て
GOSE000027506 中務
GOSE108627507 白河のたきのいと見まほしけれとみたりに人はよせし物をや
GOSE000027508 返し おほきおほいまうちきみ
GOSE00002750903【おほきおほいまうちきみ】-貞信公
GOSE108727510 しらかはのたきのいとなみゝたれつゝよるをそ人はまつといふなる
GOSE000027511 はちすのはい(はい=ひは<朱>)をとりて
GOSE000027512 よみ人しらす」138ウ
GOSE108827601 はちすはのはひ(はひ=ひは<朱>)にそ人は思らん世にはこひちの中におひつゝ
GOSE000027602 相坂の関に庵室をつくりてすみ侍けるに
GOSE000027603 ゆきかふ人を見て
GOSE000027604 蝉丸
GOSE108927605 これやこのゆくも帰も別つゝしるもしらぬもあふさかの関
GOSE000027606 さためたるおとこもなくて物思侍けるころ
GOSE000027607 小野小町
GOSE109027608 あまのすむ浦こく舟のかちをなみ世を海わたる我そ悲き
GOSE000027609 あひしりて侍ける女心にもいれぬさまに侍けれは
GOSE000027610 こと人の心さしあるにつき侍にけるを」139オ
GOSE000027701 なをしもあらすものいはむと申つかはしたり
GOSE000027702 けれと返事もせす侍けれは
GOSE000027703 よみ人しらす
GOSE109127704 浜千鳥かひなかりけりつれもなきひとのあたりはなきわたれとも
GOSE000027705 法皇てらめくりしたまひけるみちにてかへての
GOSE000027706 えたをゝりて 素性法師
GOSE109227707 このみゆきちとせかへても見てし哉かゝる山ふし時にあふへく
GOSE000027708 西院の后御くしおろさせ給てをこなはせ
GOSE00002770801【西院の后】-正子淳和后嵯峨皇女
GOSE000027709 給ける時かの院のなかしまの松をけつりてかき
GOSE000027710 つけ侍ける」139ウ
GOSE109327801 をとにきく松かうらしまけふそ見るむへも心あるあまはすみけり
GOSE000027802 斎院のみそきの垣下に殿上の人/\まかりて
GOSE000027803 あかつきに帰てむまかもとにつかはしける
GOSE000027804 右衛門(右衛門=ゆけひ<朱>)
GOSE109427805 我のみは立もかへらぬ暁にわきてもをける袖のつゆ哉
GOSE000027806 しほなき年たゝみあへて(たゝみあへて=ついてありて<朱>)と侍けれは
GOSE000027807 たゝみ
GOSE109527808 しほといへはなくてもからき世中にいかてあへたるたゝみなるらん
GOSE000027809 ひたゝれこひにつかはしたるにうらなんなきそれは
GOSE000027810 きしとやいかゝといひたれは」140オ
GOSE000027901 藤原元輔
GOSE00002790101【藤原元輔】-右大臣顕忠子天暦五蔵人少将天徳三中将天禄三参議治部卿天延元卒
GOSE109627902 住吉の岸ともいはしおきつ浪猶うちかけようらはなくとも
GOSE000027903 法皇はしめて御くしおろしたまひて山ふみ
GOSE000027904 し給あひたきさきをはしめたてまつりて女御
GOSE000027905 更衣猶ひとつ院にさふらひ給ける三年といふに
GOSE000027906 なんみかとかへりおはしましたりけるむかしのこと
GOSE000027907 おなし所にておほむをろしたまうけるついてに
GOSE000027908 七条のきさき
GOSE00002790801【七条のきさき】-温子昭宣公三女寛平九年為皇后延木七崩卅六
GOSE109727909 事の葉にたえせぬつゆはをくらんや昔おほゆるまとゐしたれは
GOSE000027910 御返し 伊勢」140ウ
GOSE109828001 海とのみまとゐの中はなりぬめりそなからあらぬかけの見ゆれは
GOSE000028002 しかのからさきにてはらへしける人のしもつかへに
GOSE000028003 みるといふ侍けり大伴黒主そこにまてきて
GOSE000028004 かのみるに心をつけていひたはふれけりはらへはてゝ
GOSE000028005 くるまよりくろぬしに物かつけゝるそのものこし
GOSE000028006 にかきつけてみるにをくり侍ける
GOSE000028007 くろぬし
GOSE109928008 何せむにへたのみるめを思けんおきつたまもをかつく身にして
GOSE000028009 月のおもしろかりけるを見て
GOSE000028010 みつね
GOSE110028011 ひるなれや見そまかへつる月影をけふとやいはむきのふとやいはむ」141オ
GOSE000028101 五節のまひゝめにてもしめしとゝめらるゝ事
GOSE000028102 やあると思侍けるをさもあらさりけれは
GOSE000028103 藤原滋包かむすめ
GOSE110128104 くやしくそあまつをとめとなりにける雲地たつぬる人もなきよに
GOSE000028105 太政大臣の左大将にてすまひのかへりあるし
GOSE000028106 し侍ける日中将にてまかりてことをはりてこれかれ
GOSE000028107 まかりあかれけるにやむことなき人二三人許とゝめ
GOSE000028108 てまらうとあるしさけあまたゝひのゝちゑひに
GOSE000028109 のりてことものうへなと申けるついてに
GOSE000028110 兼輔朝臣
GOSE110228111 人のおやの心はやみにあらねとも子を思道にまとひぬる哉」141ウ
GOSE000028201 女ともたちのもとにつくしよりさしくしを心さ
GOSE000028202 すとて (江御 注也<朱>)大江玉淵朝臣女(女+つくしなる名をかくそ申なる<朱>)
GOSE110328203 なにはかた何にもあらす身をつくしふかき心のしるし許そ
GOSE000028204 元長のみこのすみ侍ける時てまさくりになにい
GOSE00002820401【元長のみこ】-元長陽成第三二品式部卿天延四年薨七十六
GOSE000028205 れて侍けるはこにかありけんしたをひしてゆひ
GOSE000028206 て又こむ時にあけむとてものゝかみにさしを
GOSE000028207 きていて侍にけるのちつねあきらのみこに
GOSE00002820711【つねあきらのみこ】-常明延木御子母女御和子仁和源氏四品天慶六年薨
GOSE000028208 とりかくされて月日ひさしく侍てありし家に
GOSE000028209 かへりてこのはこをもとなかのみこのをくるとて
GOSE000028210 中務
GOSE110428211 あけてたに何にかは見むみつのえのうらしまのこを思やりつゝ」142オ
GOSE000028301 忠房朝臣つのかみにて新司はるかたかまうけ
GOSE000028302 に屏風てうしてかのくにの名ある所/\ゑに
GOSE000028303 かゝせてさひ江といふ所にかけりける
GOSE000028304 たゝみね
GOSE110528305 年をへてにこりたにせぬさひえには玉も帰て今そすむへき
GOSE000028306 兼輔朝臣宰相中将より中納言になりて
GOSE000028307 又の年のりゆみのかへりたちのあるしにまかり
GOSE000028308 てこれかれおもひのふるついてに
GOSE000028309 兼輔朝臣
GOSE00002830901【兼輔朝臣】-延長五年任中納言超上臈五人八年兼右衛門督
GOSE110628310 旧里のみかさの山はとをけれと声は昔のうとからぬ哉」142ウ
GOSE000028401 あはちのまつりこと人の任はてゝのほりまうて
GOSE000028402 きてのころ兼輔朝臣のあはたの家にて
GOSE000028403 みつね
GOSE110728404 ひきてうへし人はむへこそ老にけれ松のこたかく成にける哉
GOSE000028405 人のむすめに源かねきかすみ侍けるを女のはゝ
GOSE000028406 きゝ侍ていみしうせいし侍けれはしのひたる方
GOSE000028407 にてかたらひけるあひたにはゝしらすしてに
GOSE000028408 はかにいきけれはかねきかにけてまかりにけれは
GOSE000028409 つかはしける
GOSE000028410 女のはゝ
GOSE110828411 を山田のおとろかしにもこさりしをいとひたふるににけしきみ哉」143オ
GOSE000028501 三条右大臣身まかりてあくる年の春大臣
GOSE00002850101【三条右大臣身まかりてあくる年の春】-承平二年八月四日薨同三年二月十三日仲平任右大臣左大将如元
GOSE000028502 めしありときゝて斎宮のみこにつかはしける
GOSE000028503 むすめの女御
GOSE00002850301【むすめの女御】-仁善子右大臣一女
GOSE110928504 いかてかの年きりもせぬたねも哉あれたるやとにうへて見るへく
GOSE000028505 かの女御(女御=やすむ所<朱>)左のおほいまうちきみにあひにけりと
GOSE000028506 きゝてつかはしける
GOSE000028507 斎宮のみこ
GOSE00002850701【斎宮のみこ】-柔子延木同母
GOSE111028508 春ことに行てのみゝむ年きりもせすといふたねはおひぬとかきく
GOSE000028509 庶明朝臣中納言になり侍ける時うへのきぬつか
GOSE000028510 はすとて 右大臣」143ウ
GOSE111128601 思きや君か衣をぬきかへてこき紫の色をきむとは
GOSE000028602 返し 庶明朝臣
GOSE00002860203【庶明朝臣】-天暦五年正月権中納言従三位初叙三位時着大臣袍流例也
GOSE111228603 いにしへも契(契=キサシ<朱>)てけりなうちはふきとひ立ぬへしあまの羽衣
GOSE000028604 まさたゝかとのひ物をとりたかへて大輔かもとへ
GOSE000028605 もてきたりけれは
GOSE000028606 大輔
GOSE111328607 ふるさとのならの宮この始よりなれにけりとも見ゆる衣か
GOSE000028608 返し 雅正
GOSE111428609 ふりぬとて思もすてし唐衣よそへてあやな怨もそする
GOSE000028610 世中の心にかなはぬなと申けれはゆくさき
GOSE000028611 たのもしき身にてかゝる事あるましと人の」144オ
GOSE000028701 申侍けれは 大江千里
GOSE111528702 流ての世をもたのます水のうへのあはにきえぬるうき身とおもへは
GOSE000028703 藤原さねきか蔵人よりかうふりたまはりて
GOSE000028704 あす殿上まかりおりむとしける夜さけた
GOSE000028705 うへけるついてに 兼輔朝臣
GOSE111628706 むはたまのこよひ許そあけ衣あけなは人をよそにこそ見め
GOSE000028707 法皇御くしおろしたまひてのころ
GOSE000028708 七条后
GOSE00002870801【七条后】-温子
GOSE111728709 人わたす事たになきをなにしかもなからのはしと身のなりぬらん
GOSE000028710 御返し 伊勢」144ウ
GOSE111828801 ふるゝ身は涙の中に見ゆれはやなからのはしにあやまたるらん
GOSE000028802 京極のみやす所尼になりて戒うけむとて
GOSE000028803 仁和寺にわたりて侍けれは
GOSE000028804 あつみのみこ
GOSE00002880401【あつみのみこ】-敦実式部卿寛平第八天暦四年出家康保四年薨
GOSE111928805 ひとりのみなかめてとしをふるさとのあれたるさまをいかに見るらん
GOSE000028806 女のあたなりといひけれは
GOSE000028807 あさつなの朝臣
GOSE112028808 まめなれとあたなはたちぬたわれしまよる白浪をぬれきぬにきて
GOSE000028809 あひかたらひける人の家の松のこすゑのもみち
GOSE000028810 たりけれは よみ人しらす」145オ
GOSE112128901 年をへてたのむかひなしときはなる松のこすゑも色かはりゆく
GOSE000028902 おとこの女のふみをかくしけるを見てもとの
GOSE000028903 めのかきつけ侍ける
GOSE000028904 (本無<朱>)四条御息所女
GOSE112228905 へたてける人の心のうきはしをあやうきまてもふみゝつる哉
GOSE000028906 小野好古朝臣にしのくにのうてのつかひにま
GOSE000028907 かりて二年といふとし四位にはかならすまかり
GOSE000028908 なるへかりけるをさもあらすなりにけれはかゝる
GOSE000028909 事にしもさゝれにける事のやすからぬよし
GOSE000028910 をうれへをくりて侍けるふみの返事の」145ウ
GOSE000029001 うらにかきつけてつかはしける
GOSE000029002 源公忠朝臣
GOSE112329003 玉匣ふたとせあはぬ君か身をあけなからやはあらむむと思し
GOSE000029004 返し 小野好古朝臣
GOSE00002900403【小野好古朝臣】-伊与国海賊純友追討也 天慶元年正月右少将二年正五位下四年五月二日従四位下同年正月事歟天暦元年参議六十大弐如元四年止大弐天延三年左大弁四年又任大弐康保四年致仕八十五
GOSE112429005 あけなから年ふることは玉匣身のいたつらになれはなりけり
GOSE000029006 (巻第十五<朱>)」146オ
GOSE000029101 後撰和歌集巻第十六
GOSE000029102 雑(雑+哥<朱>)二
GOSE000029103 おもふ所ありて前太政大臣によせて侍ける
GOSE000029104 在原業平朝臣
GOSE112529105 たのまれぬうき世中を歎つゝ日かけにおふる身を如何せん
GOSE000029106 やまひし侍てあふみの関寺にこもりて侍ける
GOSE000029107 にまへのみちより閑院のこ石山にまうてける
GOSE000029108 をたゝいまなん行すきぬると人のつけ侍けれは
GOSE000029109 をひてつかはしける
GOSE000029110 としゆきの朝臣」146ウ
GOSE112629201 相坂のゆふつけになく鳥のねをきゝとかめすそ行すきにける
GOSE000029202 前中宮宣旨贈太政大臣の家よりまかりいてゝ
GOSE000029203 あるにかの家に事にふれてひくらしといふ事
GOSE000029204 なん侍ける 宣旨
GOSE112729205 み山よりひゝききこゆるひくらしの声をこひしみ今もけぬへし
GOSE000029206 返し 贈太政大臣
GOSE112829207 ひくらしの声を恋しみけぬへくはみ山とほりにはやもきねかし
GOSE000029208 河原にいてゝはらへし侍けるにおほいまうち
GOSE000029209 きみもいてあひて侍けれは
GOSE000029210 あつ(つ$き<朱>)たゝの朝臣の母」147オ
GOSE112929301 ちかはれしかもの河原に駒とめてしはし水かへ影をたに見む
GOSE000029302 人の牛をかりて侍けるにしに侍けれはいひつかは
GOSE000029303 しける 閑院のこ
GOSE113029304 わかのりし事をうしとやきえにけん草はにかゝる露の命は
GOSE000029305 延喜(喜$長<朱>)御時賀茂臨時祭の日御前にてさかつきとりて
GOSE000029306 三条右大臣
GOSE113129307 かくてのみやむへき物かちはやふるかもの社のよろつ世を見む
GOSE000029308 おなし御時きたのゝ行幸にみ(み=おほん<朱>)こしをかにて
GOSE00002930806【きたのゝ行幸】-延喜十七年閏十月十九日幸北野野にみこしをかといふ岡あり
GOSE000029309 枇杷左大臣
GOSE00002930901【枇杷左大臣】-于時中納言春宮大夫左兵衛督」147ウ
GOSE113229401 みこしをかいくその世々に年をへてけふのみ行をまちて見つらん
GOSE000029402 戒仙かふかき山てらにこもり侍けるにこと
GOSE000029403 法師まうてきて雨にふりこめられて侍けるに
GOSE000029404 よみ人しらす
GOSE113329405 いつれをか雨ともわかむ山ふしのおつる涙もふりにこそふれ
GOSE000029406 これかれあひてよもすから物かたりしてつとめて
GOSE000029407 をくり侍ける 藤原おきかせ
GOSE113429408 思ひにはきゆる物そとしりなからけさしもをきてなにゝきつらん
GOSE000029409 わかう侍ける時はしかにつねにまうてけるを
GOSE000029410 年おいてはまいり侍らさりけるにまいり侍て
GOSE000029411 よみ人しらす」148オ
GOSE113529501 めつらしや昔なからの山の井はしつめる影そくちはてにける
GOSE000029502 宇治のあしろにしれる人の侍けれはまかりて
GOSE000029503 大江興俊
GOSE113629504 うち河の浪にみなれし君ませは我もあしろによりぬへき哉
GOSE000029505 院のみかと内におはしましゝ時人/\に扇てうせ
GOSE000029506 させたまひけるたてまつるとて
GOSE000029507 小弐のめのと
GOSE113729508 吹いつるね所たかくきこゆなりはつ秋風はいさてならさし
GOSE000029509 返し 大輔
GOSE113829510 心してまれに吹つる秋風を山おろしにはなさしとそ思」148ウ
GOSE000029601 おとこのふみおほくかきてといひけれは
GOSE000029602 よみ人しらす
GOSE113929603 はかなくてたえ南くものいとゆへに何にかおほくかゝんとそ思
GOSE000029604 くらまのさかをよるこゆとてよみ侍ける
GOSE000029605 亭子院にいまあことめしける人
GOSE114029606 昔よりくらまの山といひけるはわかこと人もよるやこえけん
GOSE000029607 をとこにつけてみちのくにへむすめをつかはし
GOSE000029608 たりけるかそのおとこ心かはりにたりときゝて心
GOSE000029609 うしとおやのいひつかはしたりけれは
GOSE000029610 よみ人しらす
GOSE114129611 雲井地のはるけきほとのそら事はいかなる風の吹てつけけん」149オ
GOSE000029701 返し 女のはゝ
GOSE114229702 あま雲のうきたることゝきゝしかと猶そ心はそらになりにし
GOSE000029703 たまさかにかよへるふみをこひかへしけれは
GOSE000029704 そのふみにくしてつかはしける
GOSE000029705 もとよしのみこ
GOSE114329706 やれはおしやらねは人に見えぬへしなく/\も猶かへすまされり
GOSE000029707 延喜御時御むまをつかはしてはやくまいるへき
GOSE000029708 よしおほせつかはしたりけれはすなはちま
GOSE000029709 いりておほせことうけたまはれる人につかはしける
GOSE000029710 素性法師
GOSE114429711 もち月のこまよりをそくいてつれはたとる/\そ山はこえつる」149ウ
GOSE000029801 やまひして心ほそしとて大輔につかはしける
GOSE000029802 (此本宮少将<朱>)藤原敦敏
GOSE00002980201【藤原敦敏】-清本宮少将ト書不知其由 清慎公一男母贈太政大臣女天慶六年左少将蔵人九年十一月正五位下天暦元年卒卅
GOSE114529803 よろつ世を契し事のいたつらに人わらへにもなりぬへき哉
GOSE000029804 返し 大輔
GOSE114629805 かけていへはゆゝしき物を万代と契し事やかなはさるへき
GOSE000029806 あられのふるをそてにうけてきえけるを
GOSE000029807 うみのほとりにて
GOSE000029808 よみ人しらす
GOSE114729809 ちると見てそてにうくれとたまらぬはな(な$あ)れたる浪の花にそ有ける
GOSE000029810 ある所のわらは女五節見に南殿にさふらひ
GOSE000029811 てくつをうしなひてけりすけむとの朝臣蔵人」150オ
GOSE000029901 にてくつをかして侍けるをかへすとて
GOSE114829902 たちさはく浪まをわけてかつきてしおきのもくつをいつかわすれん
GOSE000029903 返し 輔臣朝臣
GOSE114929904 かつきいてしおきのもくつをわすれすはそこのみるめを我にからせよ
GOSE000029905 人のもをぬはせ侍にぬひてつかはすとて
GOSE000029906 よみ人しらす
GOSE115029907 限なく思心はつくはねのこのもやいかゝあらむとすらん
GOSE000029908 おとこのやまひしけるをとふらはてあり/\てやみ
GOSE000029909 かたにとへりけれは
GOSE115129910 思ひいてゝとふ事のはをたれ見まし身の白雲と成なましかは
GOSE000029911 みそかをとこしたる女をあらくはいはてとへと」150ウ
GOSE000030001 ものもいはさりけれは
GOSE115230002 わすれ南と思心のつくからに事のはさへやいへはゆゝしき
GOSE000030003 おとこのかくれて女を見たりけれはつかはしける
GOSE115330004 かくれゐてわかうきさまを水のうへのあわともはやく思ひきえなん
GOSE000030005 世中をとかく思ひわつらひ侍けるほとに女ともたち
GOSE000030006 なる人猶わかいはん事につきねとかたらひ侍けれは
GOSE115430007 人心いさやしら浪たかけれはよらむなきさそかねてかなしき
GOSE000030008 いたく事このむよしを時の人いふときゝて
GOSE000030009 高津内親王
GOSE00003000901【高津内親王】-桓武皇女
GOSE115530010 なほき木にまかれる枝もある物をけをふきゝすをいふかわりなさ」151オ
GOSE000030101 みかとにたてまつりたまひける
GOSE000030102 嵯峨后
GOSE115630103 うつろはぬ心のふかく有けれはこゝらちる花(花=本はの<朱>)春にあへること
GOSE000030104 これかれ女のもとにまかりて物いひなとしけるに
GOSE000030105 女のあなさむの風やと申けれは
GOSE000030106 よみ人しらす
GOSE115730107 玉たれのあみめのまよりふく風のさむくはそへていれむ思ひを
GOSE000030108 おとこの物いひけるをさはきけれはかへりて
GOSE000030109 あしたにつかはしける
GOSE115830110 白浪のうちさはかれてたちしかは身をうしほにそ袖はぬれにし
GOSE000030111 返し」151ウ
GOSE115930201 とりもあへすたちさはかれしあた浪にあやなく何に袖のぬれけん
GOSE000030202 題しらす
GOSE116030203 たゝ地ともたのまさら南身にちかき衣の関もありといふなり
GOSE000030204 ともたちのひさしくあはさりけるにまかりあひて
GOSE000030205 よみ侍ける
GOSE116130206 あはぬまにこひしき道もしりにしをなとうれしきに迷心そ
GOSE000030207 題しらす
GOSE116230208 いかなりしふしにかいとのみたれけんしひてくれともとけす見ゆるは
GOSE000030209 人のめにかよひ△(△#△)ける見つけられ侍て
GOSE000030210 賀朝法師
GOSE00003021001【賀朝法師】-御導師也
GOSE116330211 身なくとも人にしられし世中にしられぬ山をしるよしも哉」152オ
GOSE000030301 返し もとのおとこ
GOSE116430302 世中にしられぬ山に身なくとも谷の心やいはておもはむ
GOSE000030303 山の井のきみにつかはしける
GOSE000030304 よみ人しらす
GOSE116530305 をとにのみきゝてはやましあさくともいさくみゝてん山のゐの水
GOSE000030306 やまひしけるをからうしてをこたれりときゝて
GOSE116630307 しての山たとる/\もこえなゝてうき世中になにかへりけん
GOSE000030308 題しらす
GOSE116730309 かすならぬ身をもちにゝて吉野山高き歎を思こりぬる
GOSE000030310 返し
GOSE116830311 吉野山こえん事こそかたからめこらむ歎のかすはしりなん」152ウ
GOSE000030401 陽成院のみかと時/\とのゐにさふらはせたまう
GOSE000030402 けるをひさしうめしなかりけれはたてまつりける
GOSE000030403 武蔵
GOSE00003040301【武蔵】-つりとのゝみこの家に侍ける
GOSE116930404 かすならぬ身にをくよゐの白玉は光見えさす物にそ有ける
GOSE000030405 まかりかよひける女の心とけすのみ見え侍けれは
GOSE000030406 年月もへぬるを今さへかゝることゝいひつかは
GOSE000030407 したりけれは よみ人しらす
GOSE117030408 なにはかたみきはのあしのおいかよに怨てそふる人のこゝろを
GOSE000030409 女のもとより怨をこせて侍ける返事に
GOSE117130410 わするとは怨さら南はしたかのとかへる山のしゐはもみちす」153オ
GOSE000030501 むかしおなし所に宮つかへし侍ける女のおとこに
GOSE000030502 つきて人のくにゝおちゐたりけるをきゝつけて
GOSE000030503 心ありける人なれはいひつかはしける
GOSE117230504 をちこちの人めまれなる山里に家ゐせんとは思きや君
GOSE000030505 返し
GOSE117330506 身をうしと人しれぬ世を尋こし雲のやへ立山にやはあらぬ
GOSE000030507 おとこなと侍らすしてとしころ山里にこもり
GOSE000030508 侍ける女をむかしあひしりて侍ける人みち
GOSE000030509 まかりけるついてにひさしうきこえさりつるを
GOSE000030510 こゝになりけりといひいれて侍けれは
GOSE000030511 土左」153ウ
GOSE117430601 あさなけに世のうきことをしのひつゝなかめせしまに年はへにけり
GOSE000030602 山里に侍けるにむかしあひしれる人のいつ
GOSE000030603 よりこゝにはすむそとゝひ(ひ&ひ)けれは
GOSE000030604 閑院
GOSE117530605 春やこし秋やゆきけんおほつかな影の朽木と世をすくす身は
GOSE000030606 題しらす つらゆき
GOSE117630607 世中はうき物なれや人ことのとにもかくにもきこえくるしき
GOSE000030608 よみ人しらす
GOSE117730609 武蔵野は袖ひつ許わけしかとわか紫はたつねわひにき
GOSE000030610 いとまにてこもりゐて侍けるころ人のとはす侍けれは」154オ
GOSE000030701 壬生忠岑
GOSE117830702 おほあらきのもりの草とやなりにけんかりにたにきてとふ人のなき
GOSE000030703 ある所に宮つかへし侍ける女のあたなたちける
GOSE000030704 かもとよりをのれかうへはそこになんくちのは
GOSE000030705 にかけていはるなるとうらみて侍けれは
GOSE000030706 よみ人しらす
GOSE117930707 あはれてふ事こそつねのくちのはにかゝるや人を思なるらん
GOSE000030708 題しらす 伊勢
GOSE118030709 吹風のしたのちりにもあらなくにさもたちやすきわかなきな哉
GOSE000030710 かすかにまうてける道にさほ河のほとりにはつ
GOSE000030711 せよりかへる女くるまのあひて侍けるかすたれの」154ウ
GOSE000030801 あきたるよりはつかに見いれけれはあひしり
GOSE000030802 て侍ける女の心さしふかく思かはしなから
GOSE000030803 はゝかる事侍てあひはなれて六七年(六七年=むとせ<朱>)許に
GOSE000030804 なり侍にける女に侍けれはかのくるまにいひ
GOSE000030805 いれ侍ける 閑院左大臣
GOSE118130806 ふるさとのさほの河水けふも猶かくてあふせはうれしかりけり
GOSE000030807 枇杷左大臣よう侍てならのはをもとめ
GOSE000030808 侍けれはちかぬかあひしりて侍ける家にとり
GOSE000030809 につかはしたりけれは
GOSE000030810 俊子(俊子=いへぬしとも<朱>)」155オ
GOSE118230901 わかやとをいつならしてかならのはをならしかほにはおりにをこする
GOSE000030902 返し 枇杷左大臣
GOSE118330903 ならの葉のはもりの神のましけるをしらてそおりしたゝりなさるな
GOSE000030904 ともたちのもとにまかりてさかつきあまたゝひに
GOSE000030905 なりにけれはにけてまかりけるをとゝめわつらひ
GOSE000030906 てもて侍けるふえをとりとゝめて又のあした
GOSE000030907 につかはしける よみ人しらす
GOSE118430908 帰ては声やたかはむふえ竹のつらきひとよのかたみと思へは
GOSE000030909 返し
GOSE118530910 ひとふしに怨なはてそ笛竹のこゑの内にも思ふ心あり」155ウ
GOSE000031001 もとより友たちに侍けれはつらゆきにあひか
GOSE000031002 たらひて兼輔朝臣の家に名つきをつたへ
GOSE000031003 させ侍けるにそのなつきにくはへてつらゆき
GOSE000031004 におくりける
GOSE000031005 みつね
GOSE118631006 人につくたよりたになしおほあらきのもりのしたなる草の身なれは
GOSE000031007 兼忠朝臣母身まかりにけれは兼忠をは故
GOSE000031008 枇杷左大臣の家にむすめをはきさいの
GOSE000031009 宮にさふらはせむとあひさためてふたり
GOSE000031010 なからまつ枇杷の家にわたしをくると
GOSE000031011 てくはへて侍ける」156オ
GOSE000031101 兼忠朝臣母のめのと
GOSE00003110101【兼忠朝臣】-兼忠参議治部卿貞元親王子母昭宣公女
GOSE118731102 結をきしかたみのこたになかりせは何に忍の草をつまゝし
GOSE000031103 もの思ひ侍けるころやむことなきたかき所
GOSE000031104 よりとはせたまへりけれは
GOSE000031105 よみ人しらす
GOSE118831106 うれしきもうきも心はひとつにてわかれぬ物は涙なりけり
GOSE000031107 世中の心にかなはぬ事申けるついてに
GOSE000031108 つらゆき
GOSE118931109 おしからてかなしき物は身なりけりうき世そむかん方をしらねは
GOSE000031110 おもふこと侍けるころ人につかはしける
GOSE000031111 よみひとしらす」156ウ
GOSE119031201 思いつる時そかなしき世中はそら行雲のはてをしらねは
GOSE000031202 題しらす
GOSE119131203 あはれともうしともいはしかけろふのあるかなきかにけぬるよなれは
GOSE119231204 あはれてふ事になくさむ世中をなとか昔といひてすくらん
GOSE000031205 はりまのくにゝたかゝたといふ所におもしろき
GOSE000031206 家もちて侍けるを京にてはゝかおもひにて
GOSE000031207 ひさしうまからてかのたかゝたに侍ける人
GOSE000031208 にいひつかはしける
GOSE119331209 物思と行ても見ねはたかゝたのあまのとまやはくちやしぬらん
GOSE000031210 延喜御時ときの蔵人(蔵人=くらむと<朱>)のもとにそうしも」157オ
GOSE000031301 せよとおほしくてつかはしける
GOSE000031302 みつね
GOSE119431303 夢にたにうれしとも見はうつゝにて
GOSE119431304 わひしきよりは猶まさりなん
GOSE000031305 (巻第十六<朱>)」157ウ
GOSE000031401 後撰和歌集巻第十七
GOSE000031402 雑(雑+哥<朱>)三
GOSE000031403 いその神といふてらにまうてゝ日のくれにけれ
GOSE000031404 は夜あけてまかりかへらむとてとゝまりてこ
GOSE000031405 の寺に遍昭(遍昭=真性法し<朱>)侍りと人のつけ侍けれは
GOSE000031406 ものいひ心見むとていひ侍ける
GOSE000031407 小野小町
GOSE119531408 いはのうへに旅ねをすれはいとさむし苔の衣を我にかさなん
GOSE000031409 返し 遍昭(遍昭=真性法師<朱>)」158オ
GOSE119631501 世をそむく苔の衣はたゝひとへかさねはうとしいさふたりねん
GOSE000031502 法皇かへり見たまひけるをのち/\は時おとろへて
GOSE000031503 有しやうにもあらすなりにけれはさとにのみ
GOSE000031504 侍てたてまつらせける
GOSE000031505 せかゐのきみ
GOSE119731506 逢事の年きりしぬるなけ木には身のかすならぬ物にそ有ける
GOSE000031507 女のもとよりあたにきこゆることなといひて侍けれは
GOSE000031508 左大臣
GOSE119831509 あた人もなきにはあらす有なからわか身にはまたきゝそならはぬ
GOSE000031510 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE119931511 宮人とならまほしきを女郎花のへよりきりのたちいてゝそくる」158ウ
GOSE000031601 かしこまる事侍てさとに侍けるをしのひて
GOSE000031602 さうしにまいれりけるをおほいまうちきみの
GOSE000031603 なとかをともせぬなとうらみ侍けれは
GOSE000031604 大輔
GOSE120031605 わか身にもあらぬわか身の悲きに心もことに成やしにけん
GOSE000031606 人のむすめに名たち侍て
GOSE000031607 よみ人しらす
GOSE120131608 世中をしらすなからもつのくにのなには立ぬる物にそ有ける
GOSE000031609 なきなたち侍けるころ
GOSE120231610 よとゝもにわかぬれきぬとなる物はわふる涙のきするなりけり」159オ
GOSE000031701 前坊(坊=東宮<朱>)おはしまさすなりてのころ五節の師
GOSE000031702 のもとにつかはしける
GOSE000031703 大輔
GOSE120331704 うけれとも悲き物をひたふるに我をや人の思すつらん
GOSE000031705 返し よみ人しらす
GOSE120431706 悲きもうきもしりにしひとつ名をたれをわくとか思すつへき
GOSE000031707 大輔かさうしにあつたゝの朝臣のもとへつかは
GOSE000031708 しけるふみをもてたかへたりけれはつかはしける
GOSE000031709 大輔
GOSE120531710 道しらぬ物ならなくにあしひきの山ふみ迷人もありけり
GOSE000031711 返し 敦忠朝臣」159ウ
GOSE120631801 しらかしの雪もきえにし葦引の山地を誰かふみ迷へき
GOSE000031802 いひちきりてのちこと人につきぬときゝて
GOSE000031803 よみひとしらす
GOSE120731804 いふ事のたかはぬ物にあらませは後うき事ときこ江さらまし
GOSE000031805 題しらす 伊勢
GOSE120831806 おも影をあひ見しかすになす時は心のみこそしつめられけれ
GOSE000031807 かしらしろかりける女を見て
GOSE120931808 ぬきとめぬかみのすちもてあやしくもへにける年のかすをしるかな
GOSE000031809 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE121031810 浪かすにあらぬ身なれは住吉の岸にもよらすなりやはてなん」160オ
GOSE121131901 つきもせすうき事のはのおほかるをはやく嵐の風もふかなん
GOSE000031902 いとしのひてかたらひける女のもとにつかはしける
GOSE000031903 ふみを心にもあらておとしたりけるを見つけて
GOSE000031904 つかはしける
GOSE121231905 嶋かくれ有そにかよふあしたつのふみをく跡は浪もけたなん
GOSE000031906 むかしおなし所にみやつかへしける人年ころ
GOSE000031907 いかにそなとゝひをこせて侍けれはつかはしける
GOSE000031908 伊勢
GOSE121331909 身はゝやくなき物のこと成にしをきえせぬ物は心なりけり
GOSE000031910 はらからのなかにいかなる事かありけんつねならぬ
GOSE000031911 さまに見え侍けれは」160ウ
GOSE000032001 よみ人しらす
GOSE121432002 むつましきいもせの山の中にさへゝたつる雲のはれすもある哉
GOSE000032003 女のいとくらへかたく侍けるをあひはなれにけ
GOSE000032004 るかこと人にむかへられぬときゝてをとこのつか
GOSE000032005 はしける
GOSE121532006 わかためにをきにくかりしはしたかの人のてに有ときくはまことか
GOSE000032007 くちなしある所にこひにつかはしたるにいろ
GOSE000032008 のいとあしかりけれは
GOSE121632009 声にたてゝいはねとしるしくちなしの色はわかため(め=に<朱>)うすきなりけり
GOSE000032010 題しらす
GOSE121732011 たきつせのはやからぬをそ怨つる見すともをとにきかむとおもへは」161オ
GOSE000032101 人のもとにふみつかはしけるおとこ人に
GOSE000032102 見せけりときゝてつかはしける
GOSE121832103 みな人にふみゝせけりなみなせ河その渡こそまつはあさけれ
GOSE000032104 つくしのしらかはといふ所にすみ侍けるに大弐
GOSE00003210421【大弐藤原おきのりの朝臣】-興範
GOSE000032105 藤原おきのりの朝臣のまかりわたるついてに水
GOSE000032106 たへむとてうちよりてこひ侍けれは水をも
GOSE000032107 ていてゝよみ侍ける
GOSE000032108 ひかきの嫗
GOSE00003210801【ひかきの嫗】-筑前国人
GOSE121932109 年ふれはわかくろかみもしら河のみつはくむまて老にける哉
GOSE000032110 かしこに名たかく事このむ女になん侍ける」161ウ
GOSE000032201 しそくに侍ける女のおとこになたちてかゝる
GOSE000032202 事なんある人にいひさはけといひ侍けれは
GOSE000032203 つらゆき
GOSE122032204 かさすともたちとたちなんなきなをは事なし草のかひやなからん
GOSE000032205 題しらす
GOSE122132206 帰くる道にそけさは迷らんこれになすらふ花なき物を
GOSE000032207 女のもとにふみつかはしけるを返事も
GOSE000032208 せすしてのち/\はふみを見もせてとり
GOSE000032209 なんをくと人のつけゝれは
GOSE000032210 よみ人しらす」162オ
GOSE122232301 おほそらに行かふ鳥の雲地をそ人のふみゝぬ物といふなる
GOSE000032302 きのすけに侍けるおとこのまかりかよはすなりにけれは
GOSE000032303 かのおとこのあねのもとにうれへをこせて侍けれは
GOSE000032304 いと心うきことかなといひつかはしたりける返事に
GOSE122332305 きのくにのなくさのはまは君なれや事のいふかひ有ときゝつる
GOSE000032306 すみ侍ける女宮つかへし侍けるをともたちなりける
GOSE000032307 女おなしくるまにてつらゆきか家にまうてきたり
GOSE000032308 けりつらゆきかめまらうとにあるしせんとて
GOSE000032309 まかりおりて侍けるほとにかの女を思かけて侍け
GOSE000032310 れはしのひてくるまにいれ侍ける
GOSE000032311 つらゆき」162ウ
GOSE122432401 浪にのみぬれつる物を吹風のたよりうれしきあまのつり舟
GOSE000032402 をとこの物にまかりてふたとせ許有てまうて
GOSE000032403 きたりけるをほとへてのちにことなしひにこ
GOSE000032404 と人になたつときゝしはまことなりけりといへ
GOSE000032405 りけれは よみ人しらす
GOSE122532406 緑なる松ほとすきはいかてかはしたは許もゝみちせさらん
GOSE000032407 故女四のみこのゝちのわさせむとてほたいしのすゝを
GOSE00003240701【故女四のみこのゝちのわさ】-勤子延木母更衣周子吏部王第四内親王真性柔順容止可観先帝鍾相愛親教筝之妙得音韵去年叙四品天慶元年十一月五日薨卅五于時右大臣権中納言右衛門督別当
GOSE000032408 なん右大臣もとめ侍ときゝてこのすゝをゝく
GOSE000032409 るとてくはへ侍ける 真延法師
GOSE122632410 思いての煙やまさむなき人のほとけになれるこのみゝは君」163オ
GOSE000032501 返し 右大臣
GOSE122732502 道なれるこの身尋て心さし有と見るにそねをはましける
GOSE000032503 さためたるめも侍らすひとりふしをのみすと
GOSE000032504 女ともたちのもとよりたはふれて侍けれは
GOSE000032505 よみ人しらす
GOSE122832506 いつこにも身をはゝなれぬ影しあれはふすとこゝとにひとりやはぬる
GOSE000032507 前栽のなかにすろの木おいて侍ときゝてゆき
GOSE000032508 あきらのみこのもとよりひと木こひにつかはし
GOSE000032509 たれはくはへてつかはしける
GOSE000032510 真延法師
GOSE122932511 風霜に色も心もかはらねはあるしにゝたるうへ木なりけり」163ウ
GOSE000032601 返し 行明のみこ
GOSE123032602 山深みあるしにゝたるうへ木をは見えぬ色とそいふへかりける
GOSE000032603 大井なる所にて人/\さけたうへけるついてに
GOSE000032604 なりひらの朝臣
GOSE123132605 大井河うかへる舟のかゝり火にをくらの山も名のみなりけり
GOSE000032606 題しらす よみ人も
GOSE123232607 明日(日+香)河わか身ひとつのふちせゆへなへての世をも怨つる哉
GOSE000032608 思事侍けるころ志賀にまうてゝ
GOSE123332609 世中をいとひかてらにこしかともうき身なからの山にそ有ける
GOSE000032610 ちゝはゝ侍ける人のむすめにしのひてかよひ侍
GOSE000032611 けるをきゝつけて」164オ
GOSE000032701 かうしせられ侍けるを月日へてかくれわたりけ
GOSE000032702 れと雨ふりてえまかりいて侍らてこもりゐて
GOSE000032703 侍けるをちゝはゝきゝつけていかゝはせむとてゆる
GOSE000032704 すよしいひて侍けれは
GOSE123432705 したにのみはひ渡つるあしのねのうれしき雨にあらはるゝ哉
GOSE000032706 人の家にまかりたりけるにやり水にたきいと
GOSE000032707 おもしろかりけれはかへりてつかはしける
GOSE123532708 たきつせに誰白玉をみたりけんひろふとせしに袖はひちにき
GOSE000032709 法皇よしのゝたき御覧しける御ともにて
GOSE000032710 源昇朝臣
GOSE00003271001【源昇朝臣】-左大臣融二男大納言民部卿延木十八年薨
GOSE123632711 いつのまにふりつもるらんみよしのゝ山のかひよりくつれおつる雪」164ウ
GOSE000032801 法皇御製
GOSE123732802 宮のたきむへも名におひてきこえけりおつるしらあわの玉とひゝけは
GOSE000032803 山ふみしはしめける時
GOSE000032804 僧正遍昭
GOSE123832805 今更に我はかへらしたき見つゝよへときかすとゝはゝこたへよ
GOSE000032806 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE123932807 瀧つせのうつまきことにとめくれと猶尋くる世のうきめ哉
GOSE000032808 はしめてかしらおろし侍ける時ものにかき
GOSE000032809 つけ侍ける
GOSE000032810 遍昭
GOSE124032811 たらちめはかゝれとてしもむはたまのわかくろかみを
GOSE124032812 なてすや有けん」165オ
GOSE000032901 みちのくにのかみにまかりくたれりけるにたけく
GOSE000032902 まの松のかれて侍けるを見てこまつをうへつ
GOSE000032903 かせ侍て任はてゝのち又おなしくにゝまかり
GOSE000032904 なりてかのさきの任にうへし松を見侍て
GOSE000032905 藤原もとよしの朝臣
GOSE00003290501【藤原もとよしの朝臣】-元善
GOSE124132906 栽し時契やし釼たけくまの松をふたゝひあひ見つる哉
GOSE000032907 ふしみといふ所にてその心をこれかれよみけるに
GOSE000032908 よみ人しらす
GOSE124232909 菅原や伏見のくれに見わたせは霞にまかふをはつせの山
GOSE000032910 題しらす」165ウ
GOSE124333001 事のはもなくてへにける年月にこの春たにも花はさかなん
GOSE000033002 身のうれへ侍ける時つのくにゝまかりてすみ
GOSE000033003 はしめ侍けるに
GOSE000033004 業平朝臣
GOSE124433005 なにはつをけふこそみつの浦ことにこれやこの世をうみわたる舟
GOSE000033006 時にあはすして身をうらみてこもり侍ける時
GOSE000033007 文室康秀
GOSE124533008 白雲のきやとる峯のこ松原枝しけゝれや日のひかり見ぬ
GOSE000033009 心にもあらぬことをいふころおとこの扇に
GOSE000033010 かきつけ侍ける 土佐」166オ
GOSE124633101 身にさむくあらぬ物からわひしきは人の心の嵐なりけり
GOSE124733102 なからへは人の心も見るへきをつゆのいのちそかなしかりける
GOSE000033103 人のもとよりひさしう心地わつらひてほと/\
GOSE000033104 しくなんありつるといひて侍けれは
GOSE000033105 閑院大君
GOSE00003310501【閑院大君】-宗于朝臣女
GOSE124833106 もろともにいさとはいはてしての山いかてかひとりこえんとはせし
GOSE000033107 月夜にかれこれして
GOSE000033108 かむつけのみねお
GOSE124933109 をしなへて峯もたひらになりなゝん山のはなくは月もかくれし」166ウ
GOSE000033201 (巻第十七<朱>)」167オ
GOSE000033301 後撰和歌集巻第十八
GOSE000033302 雑(雑+哥<朱>)四
GOSE000033303 かはつをきゝて よみ人しらす
GOSE125033304 わかやとにあひやとりしてすむかはつよるになれはや物は悲き
GOSE000033305 ひと/\あまたしりて侍ける女のもとに友たちのもと
GOSE000033306 よりこのころは思定たるなめりたのもしき
GOSE000033307 事也とたはふれをこせて侍けれは
GOSE125133308 玉江こくあしかりを舟さしわけて誰をたれとか我は定めん
GOSE000033309 をとこのはしめいかにおもへるさまにか有けむ」167ウ
GOSE000033401 女のけしきも心とけぬを見てあやしく
GOSE000033402 おもはぬさまなることゝいひ侍けれは
GOSE125233403 みちのくのおふちのこまものかふにはあれこそまされ
GOSE000033404 なつくものかは
GOSE000033405 中将にて内にさふらひける時あひしりたり
GOSE000033406 ける女蔵人のさうしにつほやなくひおい
GOSE000033407 かけをやとしをきて侍けるをにはかに事
GOSE000033408 ありてとをき所にまかり侍けりこの女のもと
GOSE000033409 よりこのおいかけをゝこせてあはれなる事
GOSE000033410 なといひて侍ける返事に」168オ
GOSE000033501 源善朝臣
GOSE00003350101【源善朝臣】-従四位下左近中将延木元年正月左遷
GOSE125333502 いつくとて尋きつ覧玉かつら我は昔の我ならなくに
GOSE000033503 たよりにつきて人のくにの方に侍て京にひ
GOSE000033504 さしうまかりのほらさりける時にともたちに
GOSE000033505 つかはしける
GOSE000033506 よみ人しらす
GOSE125433507 あさことに見し宮こ地のたえぬれは事あやまりにとふ人もなし
GOSE000033508 とをきくにゝ侍ける人を京にのほりたりと
GOSE000033509 きゝてあひまつにまうてきなからとはさりけれは
GOSE125533510 いつしかとまつちの山の桜花まちてもよそにきくかゝなしさ」168ウ
GOSE000033601 題しらす 伊勢
GOSE125633602 いせわたる河は袖よりなかるれとゝふにとはれぬ身はうきぬめり
GOSE000033603 北辺左大臣
GOSE00003360301【北辺左大臣】-信嵯峨第一源氏貞観十年薨五十九
GOSE125733604 人めたに見えぬ山地に立雲をたれすみかまの煙といふらん
GOSE000033605 をとこの人にもあまたとへ我やあたなる
GOSE000033606 心あるといへりけれは
GOSE000033607 伊勢
GOSE125833608 あすか河淵せにかはる心とはみなかみしもの人もいふめり
GOSE000033609 人のむこの今まうてこむといひてまかりに
GOSE000033610 けるかふみをこする人ありときゝてひさしう」169オ
GOSE000033701 まうてこさりけれはあとうかたり(あとうかたり=あとかたり<朱>)の心を
GOSE000033702 とりてかくなむ申めるといひつかはしける
GOSE000033703 女のはゝ
GOSE125933704 今こむといひし許をいのちにてまつにけぬへしさ(さ\<朱>)くさめのとし
GOSE12593370422【さくさめのとし】-庭訓左金吾説他家一同姑妻母名云々但又有顕綱朝臣説
GOSE000033705 返し むこ
GOSE126033706 かすならぬ身のみ物うくおもほえてまたるゝまてもなりにける哉
GOSE000033707 つねに(に+まうて<朱>)くとてうるさかりてかくれけれはつかはしける
GOSE000033708 よみ人しらす
GOSE126133709 有と聞をとはの山の郭公何かくるらんなくこゑはして
GOSE000033710 物にこもりたるにしりたる人のつほねならへて(△&て)」169ウ
GOSE000033801 正月をこなひていつる暁にいときたなけ
GOSE000033802 なるしたうつをおとしたりけるをとりて
GOSE000033803 つかはすとて
GOSE126233804 あしのうらのいときたなくも見ゆる哉浪はよりてもあらはさりけり
GOSE000033805 題しらす
GOSE126333806 人心たとへて見れは白露のきゆるまも猶ひさしかりけり
GOSE126433807 世中といひつる物かかけろふのあるかなきかのほとにそ有ける
GOSE000033808 友たちに侍ける女のとしひさしくたのみて
GOSE000033809 侍けるおとこにとはれす侍けれはもとろもになけきて」170オ
GOSE126533901 かく許別のやすき世中につねとたのめる我そはかなき
GOSE000033902 つねになきなたち侍けれは
GOSE000033903 伊勢
GOSE126633904 ちりに立わかなきよめんもゝしきの人の心をまくらとも哉
GOSE000033905 あたなる名たちていひさはかれけるころある
GOSE000033906 おとこほのかにきゝてあはれいかにそとゝひ
GOSE000033907 侍けれは こまちかむまこ
GOSE126733908 うき事をしのふる雨のしたにしてわかぬれきぬはほせとかはかす
GOSE000033909 となりなりけることをかりてかへすついてに」170ウ
GOSE000034001 よみ人しらす
GOSE126834002 逢事のかたみのこゑのたかけれはわかなくねとも人はきかなん
GOSE000034003 題しらす
GOSE126934004 涙のみしる身のうさもかたるへくなけく心をまくらにも哉
GOSE000034005 物思けるころ
GOSE000034006 伊勢
GOSE127034007 あひにあひて物思ころのわか袖はやとる月さへぬるゝかほなる
GOSE12703400701【あひにあひて物思ころのわか袖はやとる月さへぬるゝかほなる】-古今
GOSE000034008 ある所にすのまへにかれこれ物かたりし
GOSE000034009 侍けるをきゝてうちより女のこゑにてあや
GOSE000034010 しく物のあはれしりかほなるおきなかなと」171オ
GOSE000034101 いふをきゝて つらゆき
GOSE127134102 あはれてふ事にしるしはなけれともいはてはえこそあらぬ物なれ
GOSE000034103 女ともたちのつねにいひかはしけるをひさ
GOSE000034104 しくをとつれさりけれは十月許にあた人の
GOSE000034105 思ふといひし事のはゝといふゝることをいひか
GOSE000034106 はしたりけれは竹のはにかきつけてつかは
GOSE000034107 しける
GOSE000034108 よみ人しらす
GOSE127234109 うつろはぬなになかれたるかは竹のいつれの世にか秋をしるへき
GOSE000034110 題しらす 贈太政大臣」171ウ
GOSE127334201 ふかき思ひそめつといひし事のはゝいつか秋風ふきてちりぬる
GOSE12733420101【ふかき思ひそめつといひし事のはゝいつか秋風ふきてちりぬる】-在恋五他本又同
GOSE000034202 返し 伊勢
GOSE127434203 心なき身は草木にもあらなくに秋くる風にうたかはるらん
GOSE12743420301【心なき身は草木にもあらなくに秋くる風にうたかはるらん】-在秋中
GOSE000034204 題しらす
GOSE127534205 身のうきをしれはゝしたになりぬへみおもへ(へ$ひ)はむねのこかれのみする
GOSE000034206 よみ人しらす
GOSE127634207 雲地をもしらぬ我さへもろこゑにけふ許とそなきかへりぬる
GOSE127734208 またきからおもひこきいろにそめむとやわかむらさきのねをたつぬらん
GOSE000034209 伊勢」172オ
GOSE127834301 見えもせぬ深き心をかたりては人にかちぬと思ふものかは
GOSE000034302 亭子院にさふらひけるに御ときのおろし
GOSE000034303 たまはせたりけれは
GOSE127934304 伊勢の海に年へてすみしあまなれとかゝるみるめはかつかさりしを
GOSE000034305 栗田の家にて人につかはしける
GOSE000034306 かねすけの朝臣
GOSE128034307 あしひきの山の山鳥かひもなし峯の白雲たちしよらねは
GOSE000034308 左大臣の家にてかれこれ題をさくりて哥
GOSE000034309 よみけるにつゆといふもしをえ侍て
GOSE000034310 ふちはらのたゝくに」172ウ
GOSE128134401 我ならぬ草葉もゝのは思けり袖より外にをけるしらつゆ
GOSE000034402 人のもとにつかはしける
GOSE000034403 伊勢
GOSE128234404 人心嵐の風のさむけれはこのめも見えす枝そしほるゝ
GOSE000034405 こと人をあひかたらふときゝてつかはしける
GOSE000034406 よみ人しらす
GOSE128334407 うきなから人をわすれむ事かたみわか心こそかはらさりけれ
GOSE000034408 ある法師の源のひとしの朝臣の家にまかり
GOSE000034409 てすゝのすかりをおとしをけるをあし
GOSE000034410 たにをくるとて」173オ
GOSE128434501 うたゝねのとこにとまれる白玉は君かをきけるつゆにやあるらん
GOSE000034502 返し
GOSE128534503 かひもなき草の枕にをくつゆの何にきえなておちとまりけむ
GOSE000034504 題しらす
GOSE128634505 思やる方もしられすくるしきは心まとひのつねにやあるらむ
GOSE000034506 むかしを思いてゝむらのこの内侍につかはしける
GOSE000034507 左大臣
GOSE128734508 鈴虫におとらぬねこそなかれけれ昔の秋を思やりつゝ
GOSE000034509 ひとり侍けるころ人のもとよりいかにそとゝふら
GOSE000034510 ひて侍けれはあさかほの花につけてつか
GOSE000034511 はしける よみ人しらす」173ウ
GOSE128834601 ゆふくれのさひしき物は槿の花をたのめるやとにそありける
GOSE000034602 左大臣のかかせ侍けるさうしのおくにかき
GOSE000034603 つけ侍ける つらゆき
GOSE128934604 はゝそ山峯の嵐の風をいたみふることのはをかきそあつむる
GOSE000034605 題しらす こまちかあね
GOSE129034606 世中をいとひてあまのすむ方もうきめのみこそ見えわたりけれ
GOSE000034607 むかしあひしりて侍ける人の内にさふらひ
GOSE000034608 けるかもとにつかはしける
GOSE000034609 伊勢」174オ
GOSE129134701 山河のをとにのみきくもゝしきを身をはやなから見るよしも哉
GOSE12913470101【山河のをとにのみきくもゝしきを身をはやなから見るよしも哉】-(無<朱>)古今
GOSE000034702 人にわすられたりときく女のもとにつかはしける
GOSE000034703 よみ人しらす
GOSE129234704 世中はいかにやいかに風のをとをきくにも今はものやかなしき
GOSE000034705 返し 伊勢
GOSE129334706 よのなかはいさともいさや風のをとは秋に秋そふ心地こそすれ
GOSE000034707 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE129434708 たとへくるつゆとひとしき身にしあらはわか思ひにもきえんとやする
GOSE000034709 つらかりけるをとこのはらからのもとにつかはしける」174ウ
GOSE129534801 さゝかにのそらにすかけるいとよりも心ほそしやたえぬとおもへは
GOSE000034802 返し
GOSE129634803 風ふけはたえぬと見ゆるくものいも又かきつかてやむとやはきく
GOSE000034804 ふしみといふ所にて
GOSE129734805 名にたちてふしみのさとゝいふ事はもみちをとこにしけはなりけり
GOSE000034806 題しらす ひとしきこのみこ
GOSE00003480605【ひとしきこのみこ】-均子寛平母中宮温子
GOSE129834807 我も思ふ人もわするなありそ海の浦吹風のやむ時もなく
GOSE000034808 山田法師
GOSE129934809 あしひきの山したとよみなくとりもわかことたえす物思らめや」175オ
GOSE000034901 神な月のついたちころめのみそかをとこしたり
GOSE000034902 けるを見つけていひなとしてつとめて
GOSE000034903 よみ人しらす
GOSE130034904 今はとて秋はてられし身なれともきりたち人をえやはわするゝ
GOSE000034905 十月許おもしろかりし所なれはとて
GOSE000034906 北山のほとりにこれかれあそひ侍けるついてに
GOSE000034907 兼輔朝臣
GOSE130134908 思いてゝきつるもしるくもみちはの色は昔にかはらさりけり
GOSE000034909 おなし心を 坂上是則
GOSE130234910 峯高み行ても見へきもみちはをわかゐなからもかさしつる哉」175ウ
GOSE000035001 しはす許にあつまよりまうてきけるおとこ
GOSE000035002 のもとより京にあひしりて侍ける女のも
GOSE000035003 とに正月ついたちまてをとつれす侍けれは
GOSE000035004 よみ人しらす
GOSE130335005 まつ人はきぬときけともあらたまのとしのみこゆる
GOSE130335006 あふさかのせき
GOSE000035007 (巻第十八<朱>)」176オ
GOSE000035101 後撰和歌集巻第十九
GOSE000035102 離別(別+哥<朱>) 羇旅(本無<朱>)
GOSE000035103 みちのくにへまかりける人に火うちをつかは
GOSE000035104 すとてかきつけ侍ける
GOSE000035105 貫之
GOSE130435106 おり/\に打てたく火の煙あらは心さすかをしのへとそ思
GOSE000035107 あひしりて侍ける人のあつまの方へまかりける
GOSE000035108 にさくらの花のかたにぬさをしてつかはしける
GOSE000035109 よみ人しらす」176ウ
GOSE130535201 あた人のたむけにおれるさくら花相坂まてはちらすもあらなん
GOSE000035202 とをくまかりける人に餞し侍ける所にて
GOSE000035203 橘直幹
GOSE130635204 思やる心許はさはらしを何へたつらん峯の白雲
GOSE000035205 しもつけにまかりける女にかゝみにそへて
GOSE000035206 つかはしける
GOSE000035207 よみ人しらす
GOSE130735208 ふたこ山ともにこえねとます鏡そこなる影をたくへてそやる
GOSE000035209 しなのへまかりける人にたき物つかはすとて
GOSE000035210 するか」177オ
GOSE130835301 しなのなるあさまの山もゝゆなれはふしのけふりのかひやなからん
GOSE000035302 とをきくにへまかりけるともたちに火うちに
GOSE000035303 そへてつかはしける
GOSE000035304 よみ人しらす
GOSE130935305 このたひも我をわすれぬ物ならはうち見むたひに思いてなん
GOSE000035306 京に侍ける女子をいかなる事か侍けん心うし
GOSE000035307 とてとゝめをきていなはのくにへまかりけれは
GOSE000035308 むすめ
GOSE131035309 打すてゝ君しいなはのつゆの身はきえぬ許そ有とたのむな
GOSE000035310 伊勢にまかりける人とくいなんと心もと」177ウ
GOSE000035401 なかるときゝてたひのてうとなとゝらする
GOSE000035402 物からたゝむかみにかきてとらする名をは
GOSE000035403 むまといひけるに
GOSE131135404 おしと思心はなくてこのたひはゆく馬にむちをおほせつる哉
GOSE000035405 返し
GOSE131235406 君か手をかれゆく秋のすゑにしものかひにはなつむまそかなしき
GOSE000035407 おなし家にひさしう侍ける女のみのゝ
GOSE000035408 くにゝおやの侍けるとふらひにまかりけるに
GOSE000035409 藤原きよたゝ
GOSE131335410 今はとて立帰ゆくふるさとのふわのせきちにみやこわするな」178オ
GOSE000035501 とをきくにゝまかりける人にたひのくつかはし
GOSE000035502 けるかゝみのはこのうらにかきつけてつかはしける
GOSE000035503 おほくほののりよし
GOSE00003550301【おほくほののりよし】-大窪則善
GOSE131435504 身をわくる事のかたさにます鏡影許をそ君にそへつる
GOSE000035505 このたひのいてたちなん物うくおほゆるといひけれは
GOSE000035506 よみ人しらす
GOSE131535507 はつかりの我もそらなるほとなれは君も物うきたひにやあるらん
GOSE000035508 あひしりて侍ける女の人のくにゝまかりけるに
GOSE000035509 つかはしける 公忠朝臣
GOSE131635510 いとせめてこひしきたひの唐衣ほとなくかへす人もあらなん
GOSE000035511 返し 女」178ウ
GOSE131735601 唐衣たつ日をよそにきく人はかへす許のほともこひしを
GOSE000035602 三月許こしのくにへまかりける人にさけた
GOSE000035603 うひけるついてに
GOSE000035604 よみ人しらす
GOSE131835605 こひしくは事つてもせんかへるさのかりかねはまつわかやとになけ
GOSE000035606 善祐法師の伊豆のくにゝなかされ侍けるに
GOSE000035607 伊勢
GOSE131935608 別てはいつあひ見むと思らん限あるよのいのちともなし
GOSE000035609 題しらす よみ人も(も=しらす<朱>)
GOSE132035610 そむかれぬ松のちとせのほとよりもとも/\とたにしたはれそせし
GOSE000035611 返し」179オ
GOSE132135701 とも/\としたふ涙のそふ水はいかなる色に見えてゆくらん
GOSE000035702 亭子のみかとおりゐたまうける秋弘徽殿の
GOSE000035703 かへにかきつけゝる
GOSE000035704 伊勢
GOSE132235705 わかるれとあひもおしまぬもゝしきを見さらん事やなにかかなしき
GOSE000035706 みかと御覧して御返し
GOSE132335707 身ひとつにあらぬ許をゝしなへてゆきめくりてもなとか見さらん
GOSE000035708 みちのくにへまかりける人にあふきてうして
GOSE000035709 うたゑにかゝせ侍ける
GOSE000035710 よみ人しらす
GOSE132435711 別ゆく道のくもゐになりゆけはとまる心もそらにこそなれ」179ウ
GOSE000035801 宗于朝臣のむすめみちのくにへくたりけるに
GOSE132535802 いかて猶かさとり山に身をなしてつゆけきたひにそはむとそ思
GOSE000035803 返し
GOSE132635804 かさとりの山とたのみし君をゝきて涙の雨にぬれつゝそゆく
GOSE000035805 をとこの伊勢のくにへまかりけるに
GOSE132735806 君かゆく方に有てふ涙河まつは袖にそ流へらなる
GOSE000035807 たひにまかりける人にさうそくつかはすとて
GOSE000035808 そへてつかはしける
GOSE132835809 袖ぬれて別はすとも唐衣ゆくとないひそきたりとを見む
GOSE000035810 返し
GOSE132935811 別地は心もゆかす唐衣きれは涙そさきにたちける」180オ
GOSE000035901 たひにまかりける人に扇つかはすとて
GOSE133035902 そへてやる扇の風し心あらはわか思ふ人の手をなはなれそ
GOSE000035903 友則(友則=こせのともより<朱>)かむすめのみちのくにへまかりけるにつか
GOSE000035904 はしける 藤原滋幹かむすめ
GOSE133135905 君をのみしのふのさとへゆく物をあひつの山のはるけきやなそ
GOSE000035906 つくしへまかるとて(て+いさ<朱>)きよいこの命婦にをくりける
GOSE000035907 小野好古朝臣
GOSE133235908 年をへてあひ見る人の別にはおしき物こそいのちなりけれ
GOSE000035909 出羽よりのほりけるにこれかれむまのはなむけ
GOSE000035910 しけるにかはらけとりて
GOSE000035911 源のわたる
GOSE00003591101【源のわたる】-済」180ウ
GOSE133336001 ゆくさきをしらぬ涙の悲きはたゝめのまへにおつるなりけり
GOSE000036002 平のたかとをかいやしき名とりて人のくにへ
GOSE000036003 まかりけるにわするなといへりけれはたかとをか
GOSE000036004 めのいへる
GOSE133436005 わするなといふになかるゝ涙河うきなをすゝくせともならなん
GOSE000036006 あひしりて侍ける人のあからさまにこしの国
GOSE000036007 へまかりけるにぬさ心さすとて
GOSE000036008 よみ人しらす
GOSE133536009 我をのみ思ひつるかの浦(浦$こし)ならはかへるの山はまとはさらまし
GOSE000036010 返し
GOSE133636011 君をのみいつはたと思こしなれはゆきゝの道はゝるけからしを」181オ
GOSE000036101 秋たひまかりける人にぬさをもみちの枝
GOSE000036102 につけてつかはしける
GOSE133736103 秋ふかくたひゆく人のたむけにはもみちにまさるぬさなかりけり
GOSE000036104 西四条の斎宮の九月晦日くたり(り+侍りたうひ<朱>)給ける
GOSE00003610401【西四条の斎宮】-雅子母同勤子又配九条右大臣生高光恒徳公天暦八年八月薨四十五
GOSE000036105 ともなる人にぬさつかはすとて
GOSE000036106 大輔
GOSE133836107 もみちはをぬさとたむけてちらしつゝ秋とゝもにやゆかむとすらん
GOSE000036108 ものへまかりける人につかはしける
GOSE000036109 伊勢
GOSE133936110 まちわひてこひしくならはたつぬへくあとなき水のうへならてゆけ
GOSE000036111 題しらす 贈太政大臣」181ウ
GOSE134036201 こむといひてわかるゝたにもある物をしられぬけさのましてわひしさ
GOSE000036202 返し 伊勢
GOSE134136203 さらはよと別し時にいはませは我も涙におほゝれなまし
GOSE000036204 よみ人しらす
GOSE134236205 春霞はかなくたちてわかるとも風より外にたれかとふへき
GOSE000036206 返し 伊勢
GOSE134336207 めに見えぬ風に心をたくへつゝやらはかすみのわかれこそせめ
GOSE000036208 かひへまかりける人につかはしける
GOSE134436209 君か世はつるのこほりにあえてきね定なきよのうたかひもなく
GOSE000036210 舟にて物へまかりける人につかはしける
GOSE134536211 をくれすそ心にのりてこかるへき浪にもとめよ舟見えすとも」182オ
GOSE000036301 返し よみ人しらす
GOSE134636302 舟なくはあまの河まてもとめてむこきつゝしほのなかにきえすは
GOSE000036303 舟にて物へまかりける人
GOSE134736304 かねてより涙そ袖をうちぬらすうかへる舟にのらむと思へは
GOSE000036305 返し 伊勢
GOSE134836306 をさへつゝ我は袖にそせきとむる舟こすしほになさしとおもへは
GOSE000036307 とをき所にまかるとて女のもとにつかはしける
GOSE000036308 貫之
GOSE134936309 わすれしとことにむすひてわかるれはあひ見むまては思ひみたるな」182ウ
GOSE000036401 羇旅歌(別之同巻<朱>)
GOSE000036402 ある人いやしき名とりて遠江国へまかるとて
GOSE000036403 はつせ河をわたるとてよみ侍ける
GOSE000036404 よみ人しらす
GOSE135036405 はつせ河わたるせさへやにこるらん世にすみかたきわか身と思へは
GOSE000036406 たわれしまを見て
GOSE135136407 名にしおはゝあたにそ思たはれしま浪のぬれきぬいくよきつらん
GOSE000036408 あつまへまかりけるにすきぬる方こひしくおほえ
GOSE000036409 けるほとに河をわたりけるになみのたち
GOSE000036410 けるを見て 業平朝臣」183オ
GOSE135236501 いとゝしくすきゆく方のこひしきにうら山しくも帰浪哉
GOSE000036502 しら山へまうてけるにみち中よりたよりの
GOSE000036503 人につけてつかはしける
GOSE000036504 よみ人しらす
GOSE135336505 宮こまてをとにふりくる白山はゆきつきかたき所なりけり
GOSE000036506 なかはらのむねきかみのゝくにへまかりくたり侍ける
GOSE000036507 にみちに女の家にやとりていひつきてさりかたく
GOSE000036508 おほえけれは二三日侍てやむことなき事により
GOSE000036509 てまかりたちけれはきぬをつゝみてそれかうへに
GOSE000036510 かきてをくり侍ける
GOSE000036511 中原宗興」183ウ
GOSE135436601 山さとの草はのつゆもしけからんみのしろ衣ぬはすともきよ
GOSE000036602 土左よりまかりのほりける舟のうちにて見
GOSE000036603 侍けるに山のはならて月の浪のなかより
GOSE000036604 いつるやうに見えけれはむかし安倍のなか
GOSE000036605 まろかもろこしにてふりさけ見れはといへる
GOSE000036606 ことを思やりて
GOSE000036607 つらゆき
GOSE135536608 宮こにて山のはに見し月なれと海よりいてゝ海にこそいれ
GOSE000036609 法皇宮のたきといふ所御覧しける御とも
GOSE000036610 にて 菅原右大臣」184オ
GOSE135636701 水ひきのしらいとはへてをるはたは旅の衣にたちやかさねん
GOSE000036702 道まかりけるついてにひくらしの山をまかり侍て
GOSE135736703 ひくらしの山ちをくらみさよふけてこのすゑことにもみちてらせる
GOSE000036704 はつせへまうつとて山のへといふわたりにてよみ侍ける
GOSE000036705 伊勢
GOSE135836706 草枕たひとなりなは山のへにしらくもならぬ我やゝとらん
GOSE000036707 うち(ち+の<朱>)とのといふ所を
GOSE135936708 水もせにうきぬる時はしからみのうちのとのとも見えぬもみちは
GOSE000036709 海のほとりにてこれかれせうえうし侍けるついてに
GOSE000036710 こまち
GOSE136036711 花さきてみならぬ物はわたつうみのかさしにさせるおきつ白浪」184ウ
GOSE000036801 あつまなる人のもとへまかりける道にさかみの
GOSE000036802 あしからのせきにて女の京にまかりのほりける
GOSE000036803 にあひて
GOSE000036804 真静(静=性<朱>)法師
GOSE136136805 あしからのせきの山地をゆく人はしるもしらぬもうとからぬ哉
GOSE000036806 法皇とをき所に山ふみ(山ふみ=遊覧<朱>)したまうて京に
GOSE000036807 かへりたまふにたひやとりしたまうて御とも
GOSE000036808 にさふらふ道俗うたよませ給けるに
GOSE000036809 僧正聖宝
GOSE136236810 人ことにけふ/\とのみこひらるゝ宮こちかくも成にける哉
GOSE000036811 土左より任はてゝのほり侍けるに舟のうちにて
GOSE000036812 月を見て つらゆき」185オ
GOSE136336901 てる月のなかるゝ見れはあまの河いつるみなとは海にそ有ける
GOSE000036902 題しらす 亭子院御製
GOSE136436903 草枕紅葉むしろにかへたらは心をくたく物ならましや
GOSE000036904 京に思ふ人侍てとをき所よりかへりまうてき
GOSE000036905 けるみちにとゝまりて九月許に
GOSE000036906 よみ人しらす
GOSE136536907 思ふ人ありてかへれはいつしかのつまゝつよゐのこゑそかなしき
GOSE136636908 草枕ゆふて許はなになれやつゆもなみたもをきかへりつゝ
GOSE000036909 宮のたきといふ所に法皇おはしましたり
GOSE000036910 けるにおほせことありて
GOSE000036911 素性法師」185ウ
GOSE136737001 秋山にまとふ心をみやたきの
GOSE136737002 たきのしらあわにけちやはてゝむ
GOSE000037003 (巻第十九<朱>)」186オ
GOSE000037101 後撰和歌集巻第二十
GOSE000037102 慶(慶$<朱>)賀(賀+哥<朱>) (伊波比<朱>) (無<朱>)哀傷
GOSE000037103 女八のみこ元良のみこのために四十賀し
GOSE000037104 侍けるにきくの花をかさしにおりて
GOSE000037105 藤原伊衡朝臣
GOSE136837106 よろつ世の霜にもかれぬ白菊をうしろやすくもかさしつる哉
GOSE000037107 典侍あきらけいこちゝの宰相のために賀し
GOSE00003710709【ちゝの宰相】-未勘
GOSE000037108 侍けるに玄朝法師のもからきぬゝひてつか
GOSE000037109 はしたりけれは
GOSE000037110 典侍あきらけい子
GOSE00003711001【典侍あきらけい子】-御匣殿別当 佐時敦忠卿子母御匣殿別当天延三年右少弁春宮大進貞元元年正月正五下母譲同十一春宮亮」186ウ
GOSE136937201 雲わくるあまの羽衣うちきては君かちとせにあはさらめやは
GOSE000037202 題しらす 太政大臣
GOSE00003720205【太政大臣】-貞信公
GOSE137037203 ことしよりわかなにそへておいのよにうれしき事をつまむとそ思
GOSE000037204 のりあきらのみこかうふりしける日あそひ(あそひ=管弦ら<朱>)
GOSE00003720401【のりあきらのみこ】-章明三品弾正尹母兼輔卿女永祚二年九月薨
GOSE000037205 し侍けるに右大臣これかれうたよませ侍けるに
GOSE000037206 つらゆき
GOSE137137207 ことのねも竹もちとせのこゑするは人の思ひにかよふなりけり
GOSE000037208 賀のやう(やう$)なることし侍ける所にて
GOSE000037209 よみ人しらす
GOSE137237210 もゝとせといはふを我はきゝなから思ふかためはあかすそ有ける」187オ
GOSE000037301 左大臣の家のをのこゝ女こかうふりしもき
GOSE000037302 侍けるに つらゆき
GOSE137337303 おほはらやをしほの山のこ松原はやこたかゝれちよの影見む
GOSE000037304 人のかうふりする所にてふちの花をかさして
GOSE000037305 よみ人しらす
GOSE137437306 打よする浪の花こそさきにけれちよ松風やはるになるらん
GOSE000037307 女のもとにつかはしける
GOSE137537308 君かため松のちとせもつきぬへしこれよりまさん神の世も哉
GOSE000037309 年星をこなふとて女檀越のもとよりすゝを
GOSE000037310 かりて侍けれはくはへてつかはしける
GOSE000037311 ゆいせい法師
GOSE00003731101【ゆいせい法師】-惟済」187ウ
GOSE137637401 もゝとせにやそとせそへていのりくる玉のしるしを君見さらめや
GOSE000037402 左大臣の家にけうそく心さしをくるとて
GOSE000037403 くはへける 僧都仁教
GOSE137737404 けうそくをゝさへてまさへよろつよに花のさかりを心しつかに
GOSE000037405 今上帥のみこときこえし時太政大臣の家
GOSE000037406 にわたりおはしましてかへらせ給御をくり
GOSE000037407 ものに御本たてまつるとて
GOSE000037408 太政大臣
GOSE00003740801【太政大臣】-貞信公
GOSE137837409 君かためいはふ心のふかけれはひしりのみよのあとならへとそ
GOSE000037410 御返し 今上御製」188オ
GOSE137937501 をしへをくことたかはすはゆくすゑの道とをくともあとはまとはし
GOSE000037502 今上むめつほにおはしましゝ時たき木こ
GOSE000037503 らせてたてまつり給ける
GOSE138037504 山人のこれるたき木は君かためおほくの(の&の)年をつまんとそ思
GOSE000037505 御返し 御製
GOSE138137506 年のかすつまんとすなるをもにゝはいとゝこつけをこりもそへなん
GOSE000037507 東宮の御前にくれ竹うへさせたまひけるに
GOSE000037508 きよたゝ
GOSE138237509 君かためうつしてうふるくれ竹にちよもこもれる心地こそすれ
GOSE000037510 院の殿上にて宮の方御より碁盤いたさ」188ウ
GOSE000037601 せたまひけるこいしけのふたに
GOSE000037602 命婦いさきよき子
GOSE00003760201【命婦いさきよき子】-清子
GOSE138337603 おのゝえのくちむもしらす君か世のつきむかきりはうちこゝろみよ
GOSE000037604 西四条のみこの家の山にて女四のみこのもとに
GOSE000037605 右大臣
GOSE138437606 なみたてる松の緑の枝わかすをりつゝちよを誰とかは見む
GOSE000037607 十二月許にかうふりする所にて
GOSE000037608 つらゆき
GOSE138537609 いはふこと有となるへしけふなれと年のこなたにはるもきにけり」189オ
GOSE000037701 哀傷哥(賀之同巻也<朱>)
GOSE000037702 あつとしか身まかりにけるをまたきかて
GOSE00003770201【あつとし】-敦敏蔵人右少将
GOSE000037703 あつまより馬をゝくりて侍けれは
GOSE000037704 左大臣
GOSE138637705 またしらぬ人も有けるあつまちに我も行てそすむへかりける
GOSE000037706 あにのふくにて一条にまかりて
GOSE00003770601【あにのふくにて】-贈太政大臣延喜九年四月九日薨卅九于時権中納言左兵衛督
GOSE000037707 太政大臣
GOSE00003770701【太政大臣】-貞信公
GOSE138737708 春の夜の夢のなかにも思きや君なきやとをゆきて見むとは
GOSE000037709 返し
GOSE00003770901【返し】-可有作者歟諸本無之」189ウ
GOSE138837801 やと見れはねてもさめてもこひしくて夢うつゝともわかれさりけり
GOSE000037802 先帝おはしまさて世中思ひなけきて
GOSE000037803 つかはしける
GOSE000037804 三条右大臣
GOSE138937805 はかなくて世にふるよりは山しなの宮の草木とならましものを
GOSE000037806 返し 兼輔朝臣
GOSE139037807 山しなの宮の草木と君ならは我はしつくにぬる許也
GOSE000037808 時もちの朝臣身まかりてのちはてのころ
GOSE000037809 ちかくなりて人のもとよりいかに思らむと
GOSE000037810 いひをこせたりけれは」190オ
GOSE000037901 時望朝臣妻
GOSE139137902 わかれにしほとをはてともおもほえすこひしきことの限なけれは
GOSE000037903 女四のみこのふみの侍けるにかきつけて内侍の
GOSE000037904 かみに 右大臣
GOSE139237905 たねもなき花たにちらぬやともあるをなとかゝたみのこたになからん
GOSE000037906 返し 内侍のかみ
GOSE139337907 結をきしたねならねとも見るからにいとゝ忍の草をつむ哉
GOSE000037908 女四のみこの事とふらひ侍て
GOSE00003790801【女四のみこの事とふらひ侍て】-天慶元年十一月事也
GOSE000037909 伊勢
GOSE139437910 こゝらよをきくか中にもかなしきは人の涙もつきやしぬらん
GOSE000037911 返し よみ人しらす」190ウ
GOSE139538001 聞人もあはれてふなる別にはいとゝ涙そつきせさりける
GOSE000038002 先帝おはしまさて又の年の正月一日
GOSE000038003 をくり侍ける 三条右大臣
GOSE139638004 いたつらにけふやくれ南あたらしき春の始は昔なからに
GOSE000038005 返し 兼輔朝臣
GOSE139738006 なく涙ふりにし年の衣手はあたらしきにもかはらさりけり
GOSE000038007 かさねて(て+そへて<朱>)つかはしける
GOSE000038008 三条右大臣
GOSE139838009 人の世の思ひにかなふ物ならはわか身は君にをくれましやは
GOSE000038010 めの身まかりてのちすみ侍ける所のかへに」191オ
GOSE000038101 かの侍ける時かきつけて侍けるてを見侍て
GOSE000038102 兼輔朝臣
GOSE139938103 ねぬ夢に昔のかへを見つるよりうつゝに物そかなしかりける
GOSE000038104 あひしりて侍ける女の身まかりにけるを
GOSE000038105 こひ侍けるあひたによふけてをしのなき
GOSE000038106 侍けれは 閑院左大臣
GOSE140038107 ゆふされはねにゆくをしのひとりしてつまこひすなるこゑのかなしさ
GOSE000038108 七(七=ふん<朱>)月許に左大臣のはゝ身まかりにける時に
GOSE00003810805【左大臣のはゝ】-寛平源氏欣子母女御菅原衍子菅丞相女
GOSE000038109 おもひに侍けるあひたきさいの宮より萩」191ウ
GOSE000038201 の花をおりてたまへりけれは
GOSE000038202 太政大臣
GOSE140138203 をみなへしかれにしのへにすむ人はまつさく花をまたてとも見す
GOSE000038204 なくなりにける人の家にまかりてかへりての
GOSE000038205 あしたにかしこなる人につかはしける
GOSE000038206 伊勢
GOSE140238207 なき人の影たに見えぬやり水のそこは涙になかしてそこし
GOSE000038208 やまとに侍ける母身まかりてのちかのくにへ
GOSE000038209 まかるとて
GOSE140338210 ひとりゆく事こそうけれふるさとのならのならひて見し人もなみ」192オ
GOSE000038301 法皇の御ふくなりける時にひいろのさい
GOSE000038302 てにかきて人にをくり侍ける
GOSE000038303 京極御息所(御息所=のみやむところ<朱>)
GOSE140438304 すみそめのこきもうすきも見る時はかさねて物そかなしかりける
GOSE000038305 女四のみこのかくれ侍にける時
GOSE000038306 右大臣
GOSE140538307 昨日まてちよとちきりし君をわかしての山地にたつぬへき哉
GOSE000038308 先坊うせたまひてのはる大輔につかはしける
GOSE00003830801【先坊うせたまひて】-文彦太子延喜廿一年三月廿一日薨廿一
GOSE000038309 はるかみの朝臣のむすめ
GOSE140638310 あらたまの年こえくらしつねもなきはつ鴬のねにそなかるゝ」192ウ
GOSE000038401 返し 大輔
GOSE140738402 ねにたてゝなかぬ日はなし鴬の昔の春を思やりつゝ
GOSE000038403 おなし年の秋
GOSE000038404 玄上朝臣女
GOSE00003840401【玄上朝臣女】-玄上延喜十九年参議刑部卿承平二年従三位三年薨七十八
GOSE140838405 もろともにをきゐし秋のつゆ許かゝらん物と思ひかけきや
GOSE000038406 清正か枇杷大臣のいみにこもりて侍ける
GOSE000038407 につかはしける
GOSE000038408 藤原守文
GOSE140938409 世中のかなしき事を菊のうへにをく白露そ涙なりける
GOSE000038410 返し きよたゝ
GOSE141038411 きくにたにつゆけかるらん人の世をめに見し袖を思やらなん」193オ
GOSE000038501 兼輔朝臣なくなりてのち土左のくに
GOSE000038502 よりまかりのほりてかのあはたの家にて
GOSE000038503 つらゆき
GOSE141138504 ひきうへしふたはの松は有なから君かちとせのなきそ悲き
GOSE000038505 そのついてにかしこなる人
GOSE141238506 君まさて年はへぬれとふるさとにつきせぬ物は涙なりけり
GOSE000038507 人のとふらひにまうてきたりけるにはやく
GOSE000038508 なくなりにきといひ侍けれはかえてのもみち
GOSE000038509 にかきつけ侍ける
GOSE000038510 戒仙法師
GOSE141338511 すきにける人を秋しも問からに袖はもみちの色にこそなれ」193ウ
GOSE000038601 なくなりて侍ける人のいみにこもりて侍ける
GOSE000038602 に雨のふる日ひとのとひて侍けれは
GOSE000038603 よみ人しらす
GOSE141438604 袖かはく時なかりつるわか身にはふるを雨ともおもは(おもは=わかれ)さりけり
GOSE000038605 人のいみはてゝもとの家にかへりける日
GOSE141538606 ふるさとに君はいつらとまちとはゝいつれのそらの霞といはまし
GOSE000038607 敦忠朝臣身まかりて又の年かの朝臣の
GOSE000038608 をのなる家見むとてこれかれまかりて
GOSE000038609 ものかたりし侍けるついてによみ侍ける
GOSE000038610 清正」194オ
GOSE141638701 君かいにし方やいつれそ白雲のぬしなきやとゝ見るかかなしさ
GOSE000038702 おやのわさしに寺にまうてきたりけるを
GOSE000038703 きゝつけてもろともにまうてまし物をと
GOSE000038704 人のいひけれは
GOSE000038705 よみ人しらす
GOSE141738706 わひ人のたもとに君かうつりせは藤の花とそ色は見えまし
GOSE000038707 返し
GOSE141838708 よそにおる袖たにひちし藤衣涙に花も見えすそあらまし
GOSE000038709 題しらす 伊勢
GOSE141938710 ほともなく誰もをくれぬ世なれともとまるはゆくをかなしとそ見る」194ウ
GOSE000038801 人をなくなしてかきりなくこひ(ひ+て)思ひいりて
GOSE000038802 ねたる夜のゆめに見えけれはおもひける
GOSE000038803 人にかくなんといひつかはしたりけれは
GOSE000038804 玄上朝臣女
GOSE142038805 時のまもなくさめつらんさめぬまは夢にたに見ぬわれそかなしき
GOSE000038806 返し 大輔
GOSE142138807 かなしさのなくさむへくもあらさりつ
GOSE142138808 ゆめのうちにも夢と見ゆれは
GOSE000038809 在原としはるか身まかりにけるをきゝて
GOSE000038810 伊勢」195オ
GOSE142238901 かけてたにわか身のうへと思きやこむ年春の花を見しとは
GOSE000038902 ひとつかひ侍けるつるのひとつかなくなり
GOSE000038903 にけれはとまれるかいたくなき侍けれは
GOSE000038904 雨のふり侍けるに
GOSE142338905 なくこゑにそひて涙はのほらねと雲のうへよりあめとふるらん
GOSE000038906 めの身まかりてのとしのしはすのつこ
GOSE000038907 もりの日ふることいひ侍けるに
GOSE000038908 兼輔朝臣
GOSE142438909 なき人のともにし帰年ならはくれゆくけふはうれしからまし」195ウ
GOSE000039001 返し つらゆき
GOSE142539002 こふるまに年のくれなはなき人の別やいとゝ
GOSE142539003 とほくなりなん
GOSE000039004 (巻第二十<朱>)」196オ
(196ウ)
GOSE000039201 天暦五年十月晦日於昭陽舎撰之
GOSE000039202 為蔵人左近少将藤原伊尹別当
GOSE000039203 寄人讃岐大掾大中臣能宣河内掾清原元輔
GOSE000039204 学生源順 近江少掾紀時文
GOSE000039205 御書(書+所)預坂上望城等也 謂之梨壺五人」197オ
GOSE000039301 御筆宣旨奉行文 謙徳公 順
GOSE000039302 右親衛藤亜将者当世之賢士大夫也雄
GOSE000039303 釼在腰抜則秋霜三尺雌黄自口吟又寒
GOSE000039304 玉一声逮于跪彼仙殿之綺莚[行+金]此
GOSE000039305 神筆之綸命天下弥知忠[魚+更]不朽艶
GOSE000039306 情相兼之臣(臣=ト云コトヲ)昔雖柿下大夫振英声
GOSE000039307 於万葉花山僧正馳高興於行雲而亦
GOSE000039308 伝人間之虚詞未賜聖上之其迹見」197ウ
GOSE000039401 今思古尠哉(尠哉=スクナイカナ)希哉于時天暦五年歳次
GOSE000039402 辛亥玄英初換(換=カハル)之月朱草将尽(尽=ツキナムトスル)之
GOSE000039403 期也」198オ
(198ウ)
GOSE000039601 天福二年三月二日庚子重以家本終書
GOSE000039602 功于時頽齢七十三眼昏手疼寧成
GOSE000039603 字哉 △△………△△(為伝授鍾愛之孫姫也#△△………△△)
GOSE000039604 桑門明静
GOSE000039605 同十四日令読合之書入落字等終[言+乞]
GOSE000039606 此本付属大夫為相頽齢六十八桑門融覚
GOSE000039607 (花押)」199オ
GOSE000039701 此集謙徳公蔵人少将之時奉行之由見于此文
GOSE000039702 万寿按察大納言之筆定為証本歟之致信
GOSE000039703 <料紙表紙/共有下絵>尋出彼本校合<色紙紗表紙/二十巻也>無珠珍事
GOSE000039704 近代説々相異事等以朱注之
GOSE000039705 さくさめのとし 或抄云此大納言筆真名ニ丁年と被書
GOSE000039706 於此本者全不異他仮名七字也
GOSE000039707 あとうかたり あとかたりと被書
GOSE000039708 そよみともなく とを山すりのかり衣 両事如此
GOSE000039709 作者 宮少将 此本又如此
GOSE000039710 おほつふね 又如此」199ウ
GOSE000039801 はちすはのうへはつれなき
GOSE000039802 あまのまてかた 如家説
GOSE000039803 北野行幸 みこしをか おほむこしをかと被書
GOSE000039804 陽成院のみかとのおほみうた
GOSE000039805 つくはねのみねよりおつるみなのかは
GOSE000039806 こひそつもりてふちとなりける
GOSE000039807 はるすむのよしなはのあそんのむすめ
GOSE000039808 さかのへのこれのり
GOSE000039809 天福二年四月六日校之」200オ
GOSE000039901 世間久云伝之説
GOSE000039902 題しらす よみ人しらす 古今如此
GOSE000039903 題しらす よみ人も 後撰
GOSE000039904 題よみ人しらす 拾遺抄如此
GOSE000039905 亡父命云此説不定事也 被書進 院之本
GOSE000039906 皆如古今被書
GOSE000039907 今見此本果而如古今如此事只後人之所称歟」200ウ