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渋谷栄一著(C)

定家本「後撰和歌集」研究ノート

目次
1.定家本の字母一覧
2.定家の仮名遣とその例外
3.定家の用字法とその例外
4.定家の表記法とその例外
5.定家の校訂方法

1.定家本の字母一覧

あ 安 阿
い 以 伊
う 宇
え 衣 盈
お 於
か 加 可
き 幾 起 木
く 久 具
け 計 个 遣
こ 己 古
さ 左 佐
し 之 志
す 寸 春 須 数
せ 世 勢
そ 曽
た 多 堂 太
ち 知 地
つ 川 徒
て 天 帝
と 止 登
な 奈 那
に 仁 尓
ぬ 奴
ね 祢 子
の 乃 能
は 者 八 波
ひ 比 飛 日
ふ 不 布 婦
へ 部 遍
ほ 本 保
ま 万 満 末
み 美 三 見 身
む 武
め 女 免
も 毛
や 也
ゆ 由 遊
よ 与
ら 良
り 利 里
る 留 累 流 類
れ 礼 連
ろ 呂
わ 和 王
ゐ 為 井
ゑ 恵 衛
を 遠 越 乎

けん 釼
だに 谷
てふ 蝶
とも 鞆
なん 南
らん 覧

2.定家の仮名遣とその例外

【あわ(泡)】(名)-「あは」(56ウ8・60ウ3・70ウ10・92ウ5・144ウ2)
《例外》「水のうへのあわ」(151オ4)「しらあわの玉」(165オ2)「たきのしらあわ」(186オ2)
【うう(植)】(動ワ下二)-「うふ」(37オ8・38ウ2・48ウ11・104ウ9・132ウ11・137オ8・143オ4・143ウ4・163ウ11・164オ2・165ウ2・165ウ4・188ウ9・193ウ4)
【おく(置)】(動カ四)-「をく」(27ウ11・34ウ10・36ウ5・36ウ10・37オ4・37オ8・37ウ8・38オ2・38ウ4・38ウ5・39オ1・39ウ7・40オ4・40オ5・40オ9・40オ10・40ウ4・40ウ6・40ウ8・40ウ9・40ウ10・41オ1・42ウ5・46ウ2・47オ9・48ウ7・52オ1・52ウ6・55オ3・55オ8・56ウ5・57ウ9・61オ6・65オ2・70オ8・82オ1・87オ1・93オ4・97ウ3・107オ8・111ウ9・115オ1・115オ3・116オ1・119オ2・121ウ10・127オ8・132オ1・133オ4・137ウ8・140オ5・140ウ9・142オ6・153オ4・156ウ2・160ウ5・162オ9・168オ7・173オ1・173オ9・173ウ1・173ウ3・177ウ7・185ウ8・188ウ1・190ウ7・193オ9)
「ゝ(を)く」(78ウ2・106オ2・133オ2)
《例外》「おきゐなから」(38ウ7)「おきてあひ見ぬ」(102オ9)
「越く」(148オ8)
【おく(起)】(動カ上二)-「をく」(37ウ6・50ウ10・66ウ8・107オ10・115オ1・116オ6)
「越く」(185ウ8・193オ5)
《例外》「おきゐつゝ」(79ウ3)「おきもあからす」(80オ7)「おきうかり」(114ウ8)
【おくりもの(贈物)】(名)-「をくりもの」(188オ6)
【おくる(贈・送)】(動ラ四)-「をくる」(4ウ7・11ウ8・12オ9・17ウ8・28ウ6・46オ5・52ウ11・64オ10・89オ4・91ウ10・92オ6・94ウ8・108ウ6・133オ5・135オ1・142オ9・145ウ10・148オ7・156オ10・173オ10・180ウ6・183ウ10・188オ2・191オ3・192ウ2)
「ゝ(を)くる」(120オ9・163オ8・189ウ3)
【おくる(後・遅)】(動ラ下二)-「をくる」(2ウ9・28ウ8・47オ9・135ウ10・182オ11・191オ9・194ウ10)
【おこす(遣)】(動サ下二)-「をこす」(12ウ3・15ウ5・31オ6・37ウ11・52オ3・53オ3・81ウ7・81ウ9・93ウ1・109ウ2・112オ4・116オ4・130オ6・153オ9・155ウ1・160ウ7・162ウ3・167ウ7・169オ10・190オ10)
「ゝ(を)こす」(168オ9)
【おこたる(怠)】(動ラ四)-「をこたる」(152ウ6)
【おこなふ(行)】(動ハ四)-「をこなふ」(139ウ8・170オ1・187ウ9)
【おさふ(押・抑)】(動ハ下二)-「をさふ」(182ウ6)
「ゝ(を)さふ」(188オ4)
【おしなべて】(副)-「をしなへて」(57ウ1・166ウ9)
「ゝ(を)しなへて」(179ウ7)
【おす(押)】(動サ四)-「をす」(26ウ4・85オ1)
【おそし(遅)】(形ク)-「をそし」(39オ4・47オ9・55オ4・92ウ1・149ウ11)
【おと(音)】(名)-「をと」(11オ9・22ウ7・35オ1・50ウ3・57オ10・69ウ5・71ウ3・73ウ2・86ウ9・95オ6・95ウ4・102オ1・105オ7・107オ5・109ウ2・126ウ10・127オ1・127ウ2・129ウ10・131ウ3・140オ1・152ウ5・159オ3・161オ11・174ウ1・174ウ4・174ウ6・183ウ5)
【おとづる(訪)】(動ラ下二)-「をとつる」(6ウ1・86ウ11・109ウ4・118オ8・126ウ4・171ウ4・176オ3)
【おとは(の)やま(音羽山)】(名)-「をとは(の)山」(23ウ6・34オ4・169ウ9)
【おの(己)】(名)-「をの」(92ウ9)
【おのれ(己)】(名)-「をのれ」(45ウ6・71ウ4・129ウ6・154ウ4)
【おふ(追)】(動ハ四)-「越ふ」(146ウ9)
【おふ(生)】(動ハ四)-「おう」(134オ3・163ウ7)
【おふ(追)】(動ハ四)-「をふ」(146ウ9)
【おぼろ(朧)】(名・形動)-「越ほろ」(89ウ5)
【おもし(重)】(形ク)-「をもし」(40オ5)
【おもに(重荷)】(名)-「をもに」(188ウ6)
【おや(親)】(名)-「越や」(117ウ10)
【おる(織)】(動ラ四)-「をる」(9ウ7・34ウ8・46ウ10・48オ1・49オ7・49オ8・49ウ5・49ウ6・54ウ9・184ウ1)
【おろか(疎・愚)】(名・形動)-「をろか」(72オ10・104オ5・104オ8・108オ1・125オ2)
【おろす(下)】(動サ四)-「越ろす」(140ウ7)
【かへて(楓)】(名)-「かえて」(193ウ8)
【かわく(乾)】(動カ四)-「かはく」(60ウ10)
*【きこえ(聞)】(動ヤ下二)-「きこ江」(49ウ3・56ウ4・81オ2・133ウ8・160オ4)
【ころほひ(頃)】(名)-「ころをひ」(38ウ8)
《例外》「ころほひ」(135ウ6)
【さしおく(差置)】(動カ四)-「さしをく」(116ウ1)
【さわぐ(騒)】(動ガ四)-「さはく」(61オ10・91オ1・129ウ8・151ウ8・152オ1・170ウ5)
【さを(棹)】(名)-「さほ」(19ウ2・41ウ1)
【したおび(下帯)】(名)-「したをひ」(142オ5)
【すう(据)】(動ワ下二)-「すふ」(79オ7・90ウ10)
【そこひ(底)】(名)-「そこゐ」(19オ9・99オ4)
【たはやすし】(形ク)-「たわやすし」(55ウ6)
【たはれじま(戯れ島)】(名)-「たわれしま」(145オ8・183オ6)
《例外》「たはれしま」(183オ7)
【つひに(遂)】(副)-「つゐに」(122ウ9)
【とほし(遠)】(形ク)-「とをし」(4ウ1・9ウ2・22ウ9・26オ1・33オ5・42オ3・61オ1・71ウ7・90オ7・107ウ8・108オ9・124ウ11・168オ8・168ウ8・177オ2・177ウ2・178ウ1・182ウ7・185オ6・185ウ4・188ウ1)
《例外》「とほし」(196オ3)
【とほやまずり(遠山摺)】(名)-「とを山すり」(199ウ8)
【とほやまどり(遠山鳥)】(名)-「とを山とり」(78ウ8)
【とをか(十)】(名)-「とうか」(41ウ8朱・42ウ6朱)
【なほ(猶)】(副)-「なを」(139ウ1)
【なほざり(等閑)】(名・形動)-「なをさり」(49オ8・72ウ3・95ウ3・108ウ4)
【はひ([艸+密])】(名)-「はい」(138ウ11)
《例外》「はひ」(139オ1)
【ひを(氷魚)】(名)-「ひお」(53オ2)
【まちとほし(待遠)】(形シク)-「まちとをし」(122オ3)
【まゐる(参)】(動ラ四)-「まいる」(86ウ9・148オ10・148オ10・149ウ7・149ウ8)
【みを(水脈)】(名)-「みお」(111オ8)
【ゆくへ(行方)】(名)-「ゆくゑ」(75オ10・100ウ1)
【ゆゑ(故)】(名)-「ゆへ」(78オ10・81ウ1・149オ3・164オ7)
【よひ(宵)】(名)-「よゐ」(59ウ1・92ウ3・95ウ7・102オ7・118ウ8・137ウ8・153オ4・185ウ7・185ウ7)
《例外》「よひ」(34ウ2・67オ11)
「こよひ(今宵)」(32オ1・32オ10・32ウ7・33オ3・43オ7・133オ8・144ウ6)
【をぎ(荻)】(名)-「おき」(35オ5) 【をし(惜)】(形シク)-「おし」(13ウ4・20オ10・21オ1・21ウ2・21ウ8・26オ3・37オ6・50オ4・54ウ1・73オ3・73オ5・79ウ5・110ウ10・149ウ6・156ウ9・178オ4・180ウ8)
【をしむ(惜)】(動マ四)-「おしむ」(14ウ12・21オ6・39ウ1・94オ7・179ウ5)
《例外》「ゝ(を)しむ」(86オ7・130ウ5)
【をとこ(男)】(名)-「おとこ」(2ウ3・3ウ7・5ウ4・12オ2・15ウ5・23ウ9・35オ10・38オ5・38ウ9・50ウ5・51オ1・51オ5・52ウ3・52ウ11・60オ10・62オ11・63ウ1・65ウ1・65ウ6・66オ3・67オ10・67ウ8・68オ5・68オ9・70ウ6・71オ10・72オ7・76オ11・79オ8・79ウ4・80ウ4・80ウ10・84オ7・84ウ10・86ウ5・86ウ9・87ウ8・89オ3・90ウ7・91オ9・93オ4・93ウ1・95オ11・95ウ3・96オ8・97オ7・99オ7・99ウ4・100オ2・101オ4・1001オ6・105ウ7・107オ11・112オ7・113オ6・113オ10・113ウ5・115ウ5・115ウ11・117ウ2・117ウ7・118オ3・118オ6・118ウ・123オ7・123ウ8・123ウ9・124オ7・125オ1・125オ5・126ウ8・127オ2・127ウ5・128オ10・129オ2・129オ11・129ウ2・130オ1・132オ11・145ウ2・149オ1・150ウ7・151オ3・151ウ8・152ウ1・153ウ7・161ウ1・162オ1・162ウ3・166オ9・170オ9・170ウ6・176オ1)
《例外》「越とこ」(49オ2・80ウ7・117ウ1・123ウ8・126オ10・126ウ4・131ウ1・132ウ2・149オ7・150ウ11・161オ4・163オ2・167ウ9・169オ5・174ウ9・175ウ1・180オ5)
【をの(斧)】(名)-「おの」(86ウ11・189オ3)
【をのへ(尾上)】(名)-「おのへ」(133ウ6)
【をはな(尾花)】(名)-「おはな」(38オ8・38ウ2・40オ6・45ウ3)
【をり(折)】(名)-「おり」(8ウ4・11オ1・16ウ1・43ウ6・76オ10・128ウ3・176ウ6)
【をり(居)】(動ラ変)-「おり」(5ウ6・86ウ8・194ウ8)
【をる(折)】(動ラ四)-「おる」(3ウ8・5オ8・5ウ3・9オ1・12オ5・16オ9・17ウ10・18ウ4・26ウ11・36ウ3・39ウ1・44オ6・44オ6・48オ10・51ウ9・52オ1・52ウ6・104ウ9・118オ7・135オ1・155ウ1・155ウ3・177オ1・186ウ4・192オ1)
「越る」(189オ6)
《例外》「ゝ(を)る」(7ウ3・8ウ7・14ウ3・17ウ8・23オ3・28ウ5・37オ10・52ウ11・139ウ6)

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