201041日掲載

201041日更新

 

発心和歌集

発心和歌集」(冷泉家時雨亭叢書第17巻 平安私家集4 199612翻刻本文

 

 「発心和歌集」は選子内親王(九六四年~一〇三五年)の私家集である。選子内親王は村上天皇の第十皇女で、母は右大臣藤原師輔の女安子。応和四年生まれ、天延三年十二歳で賀茂斎院に卜定され、長元四年、病により退下するまで五代の御世五十七年間にわたって斎院を勤めた。

 選子内親王の歌集として、「大斎院前の御集」(394首 私家集大成「選子内親王」Ⅰ系統)「大斎院御集」(135首 私家集大成「選子内親王」Ⅱ系統)「発心和歌集」(55首 私家集大成「選子内親王」Ⅲ系統)がある。

 「発心和歌集」の現存伝本は次の四本が知られている。

  (一)「島原松平文庫本」(一三五・一七)(「新編国歌大観」底本)

  (二)「書陵部蔵本」(一五〇・五四二)(「私家集大成 中古Ⅱ」Ⅲ系統の底本)

  (三)「  同  」(五〇一・八三三)

  (四)「群書類従本」

 冷泉家時雨亭文庫蔵本は、「書陵部蔵本」(一五〇・五四二)親本である。

 

《書誌・研究情報》

書名「発心和歌集」(外題)

綴方 綴葉装1帖

寸法 縦16.5cm×横14.3cm

表紙 茶色地の蝋箋紙 二重丸に蝶・唐草文様を萩の唐草文でからめた文様 なお同表紙に、『実方集』(天理図書館蔵、天理図書館善本叢書4所収)、『興風集』(大阪青山短期大学蔵、復刻日本古典文学館)、『仲文集』(冷泉家時雨亭文庫蔵、冷泉家時雨亭叢書17所収)、『斎宮女御集』裏表紙(同)、『伊勢大輔集』(同)がある

見返し 本文共紙

外題 藤原定家筆「発心和哥集」(表紙中央やや左寄りに打付書)

料紙 斐紙 全3括

第1括 4紙8丁(見返し1丁、本文1オ~7ウ)

      第2括 4紙8丁(本文8オ~15ウ)

      第3括 3紙6丁(本文16オ~17オ、遊び見返し4丁)

内題 藤原定家筆「大斎院御哥」

本文 墨付1オから17オ1行目まで 1面7~10行書

書式 和歌は2行書き、詞書は2字下げ

筆者 藤原定家 外題「発心和哥集」、内題「大斎院御哥」、本文1オ1行目の真名序「発心和歌集」~4オ2行目「たつとゐるとそゐやまはるへき」まで

   定家側近の人

本文系統 宮内庁書陵部本「発心和歌集」(「私家集大成」の底本)の親本

集付 勅(新勅撰集)3首(51247

   新(新古今集)1首(49

 

《参考文献》

石原清志『発心和歌集の研究』(和泉書院 昭和58年)

橋本ゆり「発心和歌集解題」(『新編国歌大観』第3巻 角川書店 昭和60年5月)

田中登「発心和歌集解題」(『冷泉家時雨亭叢書』第17巻 朝日新聞社 199612月)

鈴木知太郎・岸上慎二編『大斎院前の御集 日本大学図書館蔵』(笠間書院 昭和48年)

橋本不美男編『御所本大斎院御集 宮内庁書陵部蔵』(笠間書院 昭和48年)

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