伊勢集 Last updated 1/1/2005
渋谷栄一(C)

伊勢集


■「伊勢集」(一帖 天理図書館蔵) 天理図書館善本叢書影印 翻刻

■研究史・参考文献
1967年(昭和42年)7月 呉文炳『定家殊芳』(吉田幸一「解題」)

■研究情報
《吉田》「鎌倉時代初期写本。詳しくは、定家ならびに側近子女の筆。定家は例によつて最初の一面(一オ)を自ら書き、一丁ウから側近者に書かしめたもののやうである。付一丁オの文字は大振りで八行書き、枯淡な味はひのある定家老年の筆であるが、墨付二丁ウからは、書体は定家に似てゐるけれども、柔味と力弱さがある。しかも、墨付二丁ウは九行書きであるが、三丁からは十行書きに、さらに五丁からは十一行書きになり、次第に文字が小さくなつてゐる。」(吉田幸一『定家殊芳』「解題」42頁)
《吉田》「胡蝶装、一帖。書型、竪一六・五×横一五・三糎の桝型本である。表紙は本文と同じ厚さの薄茶の鳥の子紙。中央よりやや左上に、定家自筆で「伊勢集」の外題がある。本文料紙は、楮を多少交漉した鳥の子紙である。」(吉田幸一『定家殊芳』「解題」42頁)
《吉田》「本書は、六折より成り、第一折は七枚、第二折も七枚、第三折は六枚、第四折は七枚、第五折も七枚、第六折は八枚、合計八十四丁である。墨付八十一丁で、最後は片面のみ。遊紙は首に二丁、尾に三丁。」(吉田幸一『定家殊芳』「解題」42頁)
《吉田》「集中『古今』『後撰』『拾遺』の歌には、定家がやや薄墨で「古」「撰」「拾」の文字をもつて集付をしてをり、また「勅」「新」「続後」の集付もあるが、書体が柔軟な草体であつて、定家の筆跡とは少し異つてゐるやうであるから、これは後人の記入であらう。」(吉田幸一『定家殊芳』「解題」42頁)
inserted by FC2 system