道成集

「道成集」(尊経閣文庫蔵他)

2009.10.27見直し了

底本:『国宝別本道済集』(尊経閣複製叢刊 昭和10年10月)

太字が藤原定家筆の部分

 

あるところにて第ともを

たして歌よみはへりしに

物かゝぬかみをとりてはへ

りしかは

0001 みな人はそへたることは

ありけなりいさしらなみの

如何にせよとそ」(1オ)

 

女院御前にてゆきのひろ

うふりてはへりしにこ

れよめとおほせられしかは

0002 としことのふゆふるもの

としりなからとこめつらなる

ふすまゆき哉」(1ウ)

 

遍照かへしてはへりし

0003 ふすまゆきふるゆふくれは

とりわきて君をきませと

めすにやはあらぬ

大将(将$)殿わかきみの御はかまきに

やすのかはらかきてはへ

りしにしゝきしかたに」(2オ)

 

0004 ちとりすむやすのかはら

のまさこまてちとせのかけ

越おきつしら浪

女のもとにつかはしける

0005 さかきは越さしはへていのる

しるしあらはゆふつ

けてと」(2ウ)

 

もいはれにし哉

をむなのむめすこし

いひてはへりしにもゝ

越つかはすとて

0006 みな人のならすかすをし

かすふれはあやしく

梅もゝ

と」(3オ)

 

いはるゝ

うちつくりはへりしころ

小侍従の命婦に

0007 ひたゝくみいかにふし

する

いたなれはひきそき

すてゝよこめす」(3ウ)

 

    らしも

かへし

0008 ゆふくれはまちこそ

わたれすきのいたの

かたしや人のうらみ

かをなる」(4オ)

 

越むなのもとにまかりて

ああひはへらさりける

つとめてつかはしゝ

0009 あふさかのせきをこさせす

ありしかはいきしに

かへるこゝち

こそ」(4ウ)

 

すれ

はしめて女に

0010 あをやきのいと昔より

おもへともいひ

よらぬまそくるし

かりける」(5オ)

 

また

0011 いひいてゝすこしの

ほともなくさ

まて

よはにもまさる

ころのこひかな」(5ウ)

 

(白紙)」(6オ)

 

道済集」(6ウ)

 

おもひかけてはへりし

つれなくのみ侍りしかは

0013 つれなさをあつさの

ゆみのはるさへそ

みしらぬさまの

けしきなりける」(7オ)

 

あるやうありてしのひはへ

りし女に

0012 こゝろをはこゝろつ

よくとしのふれと

こゝろならすも

恋らるゝかな」(7ウ)

 

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