2010年4月1日掲載
2010年4月1日更新
藤原定家加筆「藤六集」（冷泉家時雨亭文庫蔵本）
底本：「藤六集」（冷泉家時雨亭叢書第17巻 平安私家集４所収 朝日新聞社 1996年12月）
太字が藤原定家加筆の部分
＝傍記 ＄ミセケチ ＃抹消 ＆重ね書き □△判読不明 ＜ ＞注記
「藤六集」（表紙 打付書）
輔相集＜越前権守弘経／六男也＞
弘経 昭宣公弟云々」（扉ウ）
つゝみやき
0001 わきもこか身をなけしよりさるさ
はのいけのつゝみやきみは恋しき
よこなはれてものいふひとし
たゝみをたいにてよませけれは
0002 あつまにてやしなはれたる人のこは
したゝみてこそものはいひけれ
かにかへる
0003 あつまちのうちかたらひてかへるには
□□つくるひとなりけり本に本」（１オ）
かやくき
0004 なにとかやくきのすかたはおも
ほえてあやしくはなの名こそ／わする（△△＆する）れ
ひとの四十つきすると
ころにて
拾
0005 秋風のよものやまよりおのかしゝ
ふくにちりぬるもみちかなしな
はしはみを
0006 かたはら（ら＝し）はみねにかゝれるしらくもの」（１ウ）
なか越わ（△＆わ）けてやかりかねはなく
くらけを
0007 おほあらきのもりにもひとつきも
かけのひろさはえたのさしから
すゝむし
0008 おほしまにこゝろにもあらすすゝむ
しはふるさとこふるねをやなくらん
あしかなへ
0009 つのくにのなにはわたりにつくる
たはあしかなへかとえこそみわかね
みつくるまを」（２オ）
0010 かたときにちゝの事のはかたらはゝみつ（みつ＄）
みつくるまにてあらしとそ思
つはいもゝ
＜いつかはこの／哥につはいもゝあるかきたかへか＞
0011 なにはえはきゝもとむるになけれは
やをゝくのあしを人のかるらん
うへのはかま越たゝてえんといふ事を
0012 すみよしのきしにおうてふわすれくさ
うへのはかまはたゝすてふなり
こからす
0013 とむれともいろはこからすみゆるかな
わかむらさきにあれはなるへし」（２ウ）
みつふゝき
0014 かゝみみつふゝきにかみはなりにけり
おいにはとりのねこそなかるれ
きしのおとり
拾
0015 かはきしに（に＆の、＝の）おとりおるへきところあ
らはうきよにすまて（すまて＝まとふイ）みやなけてまし
をしあゆ
0016 たかの△（△＆え）になに越かはましかまへ
つるをしあゆう（う＄か）すなねすみとるへく
はくりとはなにゝかあるらむとそ
＜本に本（本に本＄）＞」（３オ）
0017 ふゆなからうふねはくりのなけれはそ
はるたちてのみ人のいそける
うるかいり
0018 このいゑはうるかいりてもみてし
かなぬしもさなからかはむとそ思
たちはきてあか月にかへるとて
0019 みやまきに夜はきてぬるはことりに（に＆の）
あけてかへらむ事そわひしき
いまやまさき
0020 たかさこのとやまにいたくふりぬれは」（３ウ）
いまやまさきのはなはさくらん
おはりこめ
0021 いけおはりこめたるみつのおほかれは
いり（り＝ひ）へ（へ＄）のくちよりいつるなりけり＜本に本（本に本＄）＞
いしのかめにおゝりたるを
0022 おほやてらよはさかさまになりにけり
いしさへさけてかめす（す＄つ）けをする
のり物なくていかてか返たると
いふ人に
0023 はりまなるしかまのいちにこ（こ＆そ）むときゝ（きゝ＆きゝ）
て（て＄し）かちよりこそはわれはきにしか」（４オ）
ひとのしぬるを
0024 よのなかの人はしぬれとかゐのくにゝ
つるのこほりはわか身なりけり
とのゝ（ゝ＋御）とのゐにてふつかの
御ものいみにてまいりてかへら（ら＆さ）
れしに
0025 たまくしけそこのうら（うら＄かゝ）みはくら（ら＋から）しふ
たよにかへるちりの身なれは
かへ（へ＆へ）るのおきにいてゝ
0026 わたつうみのおきにこかるゝものみれは
あまのつりしてかへるなりけり」（４ウ）
くるみ
0027 かりのくるみねのあさきりはれすのみ
をもひつきせぬよのなかのうさ
ひたひくり
0028 あならゐをくものうゑまてゆくみには
ひたひくりかはいるへかるらん
めたゝみを
0029 みるめたゝみをすてゝこそかつく
なれあまのわたらひこゝろくるしな
たいかむし」（５オ）
（白紙）」（５ウ）
（白紙）」（６オ）
0030 よにふれはかひなかりける（る＃る）みをもたゝ
いかむしなむとおもひけるかな
ひちりき
0031 めくりくるはるこ（こ＆／＼）とにさく花は
いくたひちりきふくす（す＆風）やしる
やひ（ひ＝い）くり（り＄り） 本か本の本
0032 さるは人（人＄む）くものはあれと（と＋も）すえなしや
いくりかくれ（くれ＝きみイ）をきこしめすへき
よるきしなく
0033 わたつうみのな（な＝やイ）みにま（ま＆ま）とへるうき」（６ウ）
ふねはよるきしなくてわひしかるらん
せか（か＋り）うし（せかうし＃せうかむし）こゝろえす本か本（こゝろえす本か本＃）
0034 秋きりにしつらふやまのたまなれは
かせそ（かせそ＃かせう）かう（う＃む）しのなにてうらみん
しらつ（つ＋るはみ）はみこれもこゝろえす（はみこれもこゝろえす＃、す＋）とそ、とそ＃）
0035 うちみれははしのみあかししらつるの（の＆は）
みのいろかへてちよをこそみ（み＄へ）め
いたく（く＋ら）すゝめ」（７オ）
0036 むらさきのいろのあをみてみゆるかな
はゐのいたく△（く△＃くら）す（す＋す）めるかもし
人のもとにいきたるにほそち
をくひけるにしとみをたてゝ
かう（う＄く）しけるけしきをみて
0037 みなかみにせきなとゝめそ水／ほそき
うかり（うかり＄）かはゝしもにそなかるといふなる
ひとのわらひみつふきた（た＋か）う
なをよませしに」（７ウ）
0038 にわなかにわらひをたきてみつ
ふゝきゝえなんをりはなにをたかふな
はるとさのかみなる人のも
とにいきてをしあゆくはむと
いふをまつうたをよめてといへは（へは＃へは）
0039 心みにちりもやすると花の木を
をしあゆかせはうくひすそなく」（８オ）
（白紙）」（８ウ）