本書は藤原定家が藤原範兼の『五代集歌枕』の影響によって、『古今和か集』から歌枕を拾いだしたもの。内題及び本文すべて定家自筆。
2.主要研究史
1967年(昭和42年)7月 呉文炳『定家珠芳』(吉田幸一「解題」)
3.研究情報
《吉田》「胡蝶装。書型、竪一六・六×横一五・七糎の桝型本。表紙は金襴緞子、見返しは金銀箔押し。料紙は一折十丁の内、墨付四丁の部分は鳥の子紙で、その前に白紙、後に白紙四丁をおき、見返しの内部で紙縒をもつて上下三箇所綴ぢてある。なほ白紙の部分は墨付部分に比して紙質が異り、やや薄手の楮斐交漉紙である。内箱は桑木地に金泥で「古今名所 定家卿筆」と書いてある。箱の内側は金の梨地。
墨付第一丁オ左上に「古今名所」と題し、以下その裏から三丁半、一面八行書き、上下二段に『古今集』名所名が記されてゐる。そして本書全部が定家の筆跡である。」(吉田幸一『定家殊芳』「解題」140頁)